芝草研究
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21 巻, 1 号
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  • 第1報 地上部乾物生産量の季節的変化
    青木 則明, 縣 和一, 窪田 文武
    1992 年 21 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    ベントグラスとコウライシバを1990年と1991年の両年にわたり九州大学農学部内の実験圃場で栽培し, 地上部乾物生産量の季節的変化を比較, 検討した。芝草生育期間中には, 気象条件に応じて適宜灌水を行った。以下に結果を示す。
    (1) ベントグラス, コウライシバについては, 1990年, 1991年とも年間約30回の刈取を行った。コウライシバの乾物生産量の季節的変化は単頂曲線型を示し, 4月は50g/m2/month前後の値であったが, 夏期 (7月, 8月) には120g/m2/month以上の値となった。両年の乾物生産量やその季節的変化はほぼ同じであった。ソッドで造成したベントグラスの乾物生産量は, 初期段階では高い値であったが, 1990年夏の高日射条件に加えて高温が長期間続いたことや病害の発生のため越夏できなかった。播種で造成した1年目 (1991年) のベントグラスの乾物生産量は, 夏期の低温, 低日射のため低かったが, 北部九州地方において越夏が可能であった。
    (2) 1991年における両草種の地上部乾物生産速度を気温や日射量で重回帰分析することができた。これらの気象要因から地上部乾物生産速度を予測することが可能であった。
    (3) 刈取期間の葉身窒素含量は, ベントグラスで3~4%であったのに対しコウライシバでは約2%であった。
    (4) ベントグラスの夏枯れ現象は, 高温, 高日射が続き降水量が少ない条件下で発生するものと考えられた。
  • 吉田 重方, 堀 達雄, 松浦 大介, 鬼頭 誠
    1992 年 21 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    浄水場より発生する浄水ケーキおよび緩速濾過床の表面かき取り汚砂を芝草床土として利用できるか否かをライシメーター試験によって調査するとともに, 溶脱水への肥料成分および農薬の流出について調査した。その結果, 以下のことが明らかとなった。
    1.汚砂を表層土として用いた場合, 芝草の生育は園芸川砂を用いたものに比べて良好となり, 汚砂には植物に必要な養分が多量に含まれていることが明らかとなった。
    2.芝草床土の下層土として浄水ケーキを充填した場合, 溶脱水の濁度や溶脱リン酸濃度は顕著に低下し, リン酸脱軽減資材として有効利用できることが明らかとなった。また, その効果は脱リン効果をもつ発泡ケイ酸と比べて優れていた。
    3.浄水ケーキには硝酸態窒素やカリウムの溶脱に対して効果を示さず, 逆に浄水ケーキの下層への充填によって溶脱する硝酸態窒素濃度が高まった。
    4.芝草に散布した殺菌剤, 殺虫剤の溶脱は浄水ケーキや発泡ケイ酸資材の下層への充填によって顕著に低下し, その低下度合は浄水ケーキ区に比べて発泡ケイ酸区で高かった。
    5.これらの一連の試験結果から, 浄水ケーキはサンドグリーンからの肥料養分や農薬の溶脱を防止する有用な資材として利用できるものと考えられた。
  • 山岡 直人, 北田 一也, 小林 一成, 久能 均
    1992 年 21 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    最近, 各地のゴルフ場でドライスポットと呼ばれるサンドグリーン特有の病的症状が発生するようになり, 被害が問題となっている。現在までのところ, 本症状の発生状況や原因は完全には解明されていない。そこで, 本研究ではこの原因を解明する手掛かりを得るために, ベントグラスが植栽されているグリーンにおいて調査ならびに実験を試み, 以下の結果を得た。
    (1) ドライスポットに関するアンケート調査により, 本症状は関東地方から近畿地方を中心として発生し, その被害が問題視されていることが明らかとなった。しかし, 本症はさらに上記の地方よりも以西, 以南の地域にも発生していると推定される。
    (2) ドライスポット常発地で夏期に後期症状を呈する部分では, 症状が発生している夏期だけではなく症状が全く認められない秋期~初冬に至っても, 健全部よりも土壌水分量が低く, 土壌温度が高い状態にあることが明らかとなった。
    (3) ドライスポットはスプリンクラー灌水の不均一性によって灌水量が少ない地点に発生すると想定したが, 実際にグリーン上で灌水量試験を行ったところ, 常発地点はむしろスプリンクラー付近の比較的灌水量が多い地点に偏っていた。しかしこの因果関係は今回の試験結果のみでは明らかにできなかった。
    (4) 数種の市販の薬剤を用いて行ったドライスポットの回復効果試験により, 保水剤を処理すると初期症状は顕著に回復することが明らかとなった。
    以上の結果から, ドライスポットの発生原因を推定するいくつかの手掛かりを得ることができたと考えられる。本症状の発生場所は毎年ほぼ決まっていることや, 症状が現れていない時でも発生部分の土壌水分量や温度が健全部と異なることから, 夏の高温乾燥期到来前に発生地点の予測は可能であり, 異常部分に前もって保水剤処理を行えば, 予防効果があると推定された。
  • 増田 拓朗, 米倉 正樹, 谷 利一
    1992 年 21 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    数種の珪酸を主成分とする土壌改良資材を用いて, 芝草の生育基盤改良に及ぼす効果について検討した。
    実験Iとして, 高松パブリック・ゴルフコースのコウライグリーンにおける現地試験を行った。各資材を現地土に体積割合で20%混入し, 2年間の生育状況を追跡したが, 各資材の違いはほとんどみられなかった。この理由としては, 灌水, 施肥などきめ細かな管理が行われていたことによるものと考えられる。
    実験IIとして, ベントグラスを用いたポット実験を行った。播種後の発芽には土壌の透水性が大きく影響することが認められた。その後の成長については, 土壌物理性というよりは, 肥料とくに窒素含有量が大きく影響することが認められた。ただし, ポット実験ということで, 転圧や踏圧を加えない条件下の結果である。実際の芝生地では頻繁な踏圧を受けるため, 土壌固結が成長量にも影響することが考えられる。
    供試土壌の圧縮実験を行った結果, 三相分布, 透水係数, pF-水分特性など土壌物理性の圧縮に伴う変化は各資材によってかなり異なり, それぞれの特徴が認められた。各資材の特徴を理解して使用することが重要である。
  • 1.直立茎とほふく茎における外部形態の比較
    池田 一, 小山田 正幸
    1992 年 21 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    シバ (Zoysia japonica Steud.) , バミューダグラス (Cynodon dactylon Pers.) センチピードグラス (Eremochloa ophiuroides Hack.) , セントオーガスチングラス (Stenotaphrum secundatum O.Kuntze.) , ローズグラス (Chloris gayana Kunth.) , パンゴラグラス (Digitaria decumbens Stent.) 及びキシュウスズメノヒエ (Paspalum distichum L.) のイネ科の7草種を供試し, 直立茎とほふく茎とについて比較し, 出葉速度及び形態について次に述べるような傾向を認めた。
    1.ほふく茎における出葉速度は直立茎に較べ速く, 2.2~5.5倍の値を示した。また, バミューダグラス, ローズグラス及びパンゴラグラスではほふく茎における伸長速度も直立茎に較べ1.8~3.0倍の値が観察された。
    2.ほふく茎の形態は種によって違いはあるが, 直立茎に較べ, 葉身長は短く, 葉幅は広く, 茎の太さは太い傾向が認められた。
    3.直立茎における茎葉単位 (Sharman 1942) の発生過程は, その形態的特徴からみて, まず葉身が未分化で葉鞘と短い節間長をもった始原的茎葉単位から始まり, その種特有の形をもった葉身と長い節間長を有する完成された茎葉単位へ, さらに止葉をもつ茎単位から生殖器官を形成する茎葉単位へと漸次段階的に進行するが, センチピードグラス, パンゴラグラス及びキシュウスズメノヒエのほふく茎では, 茎葉単位の段階的発生過程が一時停滞し, 一定段階の茎葉単位の単純な繰り返しがみられた。また, シバ, バミューダグラス, ローズグラス, セントオーガスチングラスの4草種のほふく茎では, 発生過程のある段階から3~4段階逆方向への退化 (脱分化) が認められ, 再び発生段階を3~4段階進行した後, 再度脱分化するといった周期的繰り返しが認められた。
    これらほふく茎における茎葉単位の分化過程の繰り返しの型に基づき, 本報告では供試材料におけるほふく茎の型の分類を試み, 4型に分類した。
  • 諸住 高
    1992 年 21 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 平島 利昭
    1992 年 21 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 宝示戸 貞雄
    1992 年 21 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 荒木 隆男
    1992 年 21 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 大原 洋一
    1992 年 21 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
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