芝草研究
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22 巻, 2 号
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  • 酒井 隆, 石塚 千司, 島津 是之, 大城 和文, 内山 武夫, 廣田 秀憲
    1994 年 22 巻 2 号 p. 197-207
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    前報に引き続き完全集水設備を施した試験グリーンを使用して, 地下排水量と地下排水中に含まれる流出農薬濃度の測定を行った。
    その結果は以下の通りであった。
    1.造成1年目と同様に造成2年目においても集中降雨量と地下排水量の間には, r=0.9301という高い相関関係が得られた。また, 造成1年目と造成2年目の両直線の傾向においては, 顕著な違いが認められず, ほぼ同じ傾きを示した。
    2.造成1年目において流出動態が他の農薬と異なったacephate, chloroneb, flutoluanilの3農薬について, 造成2年目においても流出濃度の測定を行った。その結果, 造成1年目より流出濃度が高くなった農薬はflutoluanilのみで, 他の2農薬については, 地下排水中には検出されなかった。
    3.造成2年目において新たに流出濃度の測定を行った農薬は, isoxathion, chlorothalonil, isopro-thiolane, trichlorfon, metalaxyl, isofenphos, thiram, tolclophosmethy1の8種類で, そのうち, もっとも高い流出濃度を示した農薬は, trichlorfonであった。次いでmetalaxyl, isoprothiolaneが高い値を示した。これに対し, その他の農薬は, 流出濃度が微量もしくは検出されなかった。
    4. acephate, isoprothiolane, trichlorfon, metalaxyl, chloronebの5種類の実験では, 地下排水の採水期間中に更新作業としてエアレーション (コアリング) も行った。このうちエアレーション直後より流出濃度が高くなった農薬は, metalaxylとisoprothiolaneであった。特にisoprothiolaneは, エアレーションを行う前までは, 地下排水中に検出することさえできなかった。これに対し, その他の農薬は, エアレーション後もその流出濃度に変化は認められなかった。
  • 廿日出 正美, 井上 忠彦, 山口 純弘
    1994 年 22 巻 2 号 p. 208-214
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    昆虫生育制御剤 (IGR剤) のひとつである, キチン合成阻害剤, テフルベンズロンを対象に, 4種の重要な芝草害虫にたいする殺虫効果を, 室内および圃場試験によって検討した。
    (1) 室内試験 (薬剤を処理した餌を与える方法) においてスジキリヨトウ, シバツトガ, セマダラコガネ, ドウガネブイブイの各幼虫にたいして, 高い殺虫効果が認められた。
    すなわち, スジキリヨトウ若令幼虫では20ppm (有効成分, 以下同様) , 中令幼虫では50ppm, また, シバツトガ1令および中令幼虫では, 50ppmで100%の死虫率が認められた。
    セマダラコガネ1令および2令幼虫, ドウガネブイブイ2令幼虫にたいしても, 25~50ppmで90%またはそれ以上の死虫率が認められた。
    ドウガネブイブイをもちいた試験によれば, 致死量以下の濃度において, その後の体重増が顕著に抑制された。このような場合, 幼虫の発育は大幅に遅延し, 芝にたいする加害力は著しく減退すると判断された。
    また, 薬剤を4日間のみ与え, その後無毒餌とした場合も, 処理10日以降に殺虫効果が認められるようになった。したがって, 虫体内にとりこまれたテフルベンズロンは, 容易には無毒化されず, 確実な毒作用を示すことがうかがわれる。
    コガネムシ類幼虫にたいする本剤の殺虫速度は, 鱗翅目幼虫に比較してかなり遅く, 殺虫効果が十分現れるまでには15ないし30日を要した。
    (2) スジキリヨトウおよびシバツトガ幼虫を対象に圃場試験をおこなった結果, テフルベンズロン10%乳剤3000ないし4000倍液の300ml/m2の散布により, 実用的な防除効果が認められた。その効果は, 従来から使用されているフェニトロチオンの約1/15の有効成分量で発揮された。ただし, 本剤の防除効果の発現は, フェニトロチオンに比較して遅効的であることが, シバツトガにたいする試験において認められた。したがって, 薬剤散布後調査までの期間が短いと, 本剤の防除効力を正しく評価できない恐れがあると考えられる。
  • ―空気整根育苗法による芝ソッド栽培に関する実験―
    龍 吉生, 渡辺 兼五, 東城 清秀, 藍 房和, 近藤 三雄, Barney, K. HUANG
    1994 年 22 巻 2 号 p. 215-225
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    芝ソッド生産に空気整根法区を導入するために, ペンクロスを供試芝とし, 空気整根法及び慣行法による芝ソッド栽培実験を行った。栽培法による生育環境 (温度, 湿度) の違いを明らかにしたうえ, 育苗中及び移植後の芝草の生育, 特に根の生育状況を調査し, 空気整根法の効果について検討した。その結果は次のとおりである。
    (1) 培地温度については, 冬期では, 慣行法区が一日中, 終始, 空気整根法区より高かった。しかし, 晩春初夏では, 夜間の培地温度は慣行法区の方が高かったが, 日中の培地温度は空気整根法区は慣行法区以上であった。育苗箱底面の温度は, 培地温度とほとんど同じ変化傾向を示した。
    また, 育苗箱底面の湿度平均値では, 慣行法区の方が82.44%で, 空気整根法区の63.78~66.72%より高かった。
    (2) 発芽については, いずれの季節においても, 空気整根法区が慣行法区より1日程度遅れたが, 最終の発芽率には両栽培法の間で顕著な差はなかった。しかし, 発芽速度では, 慣行法区の方が速く, その差は晩春初夏において顕著ではなかったが, 冬期において明らかであった。
    (3) 冬期では, 地上部生育は慣行法区の方が空気整根法区より1.4~2.0倍ほど良好であった。晩春初夏では, 慣行法区と空気整根法区の間の芝草の地上部生育の差はほとんどなかった。
    (4) 芝ソッド収穫時の芝ソッドの最大根長については, 冬期の実験1と晩春初夏の実験IIにおいて, 慣行法区はそれぞれ4.1cmと4.4cmで, 空気整根法区の2.7~2.9cmと2.9~3.0cmより1.4倍程度長かったが, 芝草1本当たり根数では, 空気整根法区は慣行法区の1.4~1.6倍の値であった。
    (5) 移植後の根数の変化は, 両栽培法区間の差が顕著ではなかった。しかし, 生長するにしたがい, 最大根長は育苗段階では根の短かかった空気整根法区の芝草の根が慣行法区よりも長くなった。
    冬期では, 育苗段階の芝ソッド地上部の生長は空気整根法区と慣行法区はほとんど同程度であった。しかし, いずれの時期でも地下部の根数は空気整根法区の方が多く, 移植後の活着も慣行法区の芝ソッドより速かった。つまり, 空気整根法区の芝ソッドは空気整根効果により根の二次分枝が速く, 根の徒長がないことが示された。
    芝ソッドの生産・造成システム化を進めるうえで, 芝ソッド生産において空気整根法を導入することは様々な利点があると考えられる。具体的には, まず, 空気整根法は導入が容易であり, 特別な管理も必要としない。そして, 現在芝ソッドの多くは畑地で栽培されているが, 育苗箱を利用して空気整根法を導入すれば, 集約的管理が出来るようになる。さらに, それに適した管理機械を開発すれば, 作業や管理が効率的になり, 省力化も可能となる。また, 芝ソッド生産を施設化することで, 環境条件が制御しやすい利点もある。
    なお, 今後は健全な芝ソッドをより迅速に供給するためには, 管理方法 (刈り込み, 転圧, 目土など) , 日照条件等の検討が必要であると思われる。また, 規模を拡大した場合に設備, コストの点も検討する必要がある。
  • ―ウレタンフォーム芝ソッドの張り付け―
    龍 吉生, 渡辺 兼五, 東城 清秀, 藍 房和, 近藤 三雄, Barney, K. HUANG
    1994 年 22 巻 2 号 p. 226-233
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    慣行芝ソッドの形状及び芝張付機による張り付け状況について調査した。慣行収穫法及び培土の特性により, 慣行芝ソッドの形状にばらつきがあり, 供試芝張付機では, 張り付け不良をもたらし, 張り付け後の芝ソッドの状態を矯正する必要があった。
    これに対し, ウレタンフォーム芝ソッドの場合は, 慣行芝ソッドに比べ, 作業量の低減, 張り付け精度の向上, 作業環境の改善に関して有効であった。しかし, 軟質ウレタンフォーム芝ソッドの場合は, ランディングプレート上で湾曲した芝ソッドがそのまま張り付けられたことがあり, 実用上問題が残った。これを解消するためには, ランディングプレートの傾斜角度を現行の35度より大きく調整することが考えられるが, ランディングプレートの傾斜角度を大きくすると芝ソッドの着地姿勢を不良にする。そこで, ランディングプレートの材料を現行のステンレスよりも滑りの良い材質にかえることを検討し, テフロンの場合に付着角が最小となり, 現行のプレートの傾斜角度でも芝ソッドの湾曲現象の発生を抑制できることが確認できた。
    また, ウレタンフォーム芝ソッドは, 慣行芝ソッドより付着角が大きくなるので, 今後の芝張機の改良にも重要な示唆を得ることができた。
  • ―保護, 保全, 復元から多様性の生態学へ―
    大沢 雅彦
    1994 年 22 巻 2 号 p. 234-238
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 柳 久
    1994 年 22 巻 2 号 p. 239
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 青木 孝一
    1994 年 22 巻 2 号 p. 240-246
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 浅野 義人
    1994 年 22 巻 2 号 p. 247-251
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 古賀 博則
    1994 年 22 巻 2 号 p. 252-261
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • Ali HARIVANDI
    1994 年 22 巻 2 号 p. 262-264
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 眞木 芳助
    1994 年 22 巻 2 号 p. 265-268
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 外木 秀明
    1994 年 22 巻 2 号 p. 269-271
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 笹倉 正司
    1994 年 22 巻 2 号 p. 272-275
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 平野 和弥
    1994 年 22 巻 2 号 p. 276-282
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • ~日本芝草学会の発展を願って~
    矢野 文雄
    1994 年 22 巻 2 号 p. 283-284
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
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