従来, ゴルフ場コース内の暗渠排水は, 有孔塩ビ管を用いた管暗渠が一般的であったが, 近年有孔塩ビ管より排水性能が高い, 合成樹脂系の水平排水材が開発され, ゴルフ場に用いられる機会が増えてきている。そこで本報は, その排水性能を確認するため, 有孔塩ビ管を用いた管暗渠の排水工, 水平排水材上にマサ土を用いた排水工および水平排水材上に砂を用いた排水工の計3区画からなる試験地を造成し, その排水特性と除草剤の流出特性に関して2, 3の実験を行った。
その結果は以下の通りであった。
1.各試験区とも強制散水 (40mm/h~47mm/h) により, 地表流去水が発生し, 中央部分の窪地にその貯留が認められた。地表流去水の発生は, 水平排水材型 (砂使用) が最も遅く, その量も少なかった。また中央部分の地表流去水の消失も, 水平排水材型 (砂使用) で最も早かった。
2.地下浸透水は, 水平排水材を用いた2区画において短時間で多量に排水する排水パターンを示したのに対し, 管暗渠型は他区画のような排水量のピークは認められず, 徐々に地下浸透水を排水する排水パターンを示した。
3.地下水位の低下は, 水平排水材型 (砂使用) が3区画の中で最も早かった。これに対し管暗渠型は, 地表から10cm深までの地下水が低下するまでに, 水平排水材型 (砂使用) の約4倍の時間を要した。特に地表から2cm深における地下水の低下が遅く, それ以下の地下水の低下に比べ倍以上の時間を要した。
4.各試験区の造成2年目における根重の垂直分布は, 顕著な差が認められなかった。しかし, 水平排水材型 (砂使用) の砂部分については, 他区画と比較して表層部分 (0~5cm深) の根重量が, 若干少ない値を示した。
5.管暗渠型と水平排水材型 (砂使用) の2区画について表面流去水中および地下浸透水中の除草剤濃度の測定を行った。試験には、土壌処理剤としてsimazineとisoxabenを、茎葉処理剤としてmecopropとasulamをそれぞれ使用した。土壌処理剤の濃度は, 両試験区とも, 地表流去水より地下浸透水において低い値を示した。これに対し, 茎葉処理剤の濃度はほぼ同じ値か, 若干地下浸透水のほうが高い値を示した。
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