芝草類に対するネコブセンチュウの寄生形態と宿主の解剖学的変化について比較検討するため
M.marylandiと
M.incognitaを用いて接種試験を行い, ゴール形状ならびにgiant cellの組織形態を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察した。
M.marylandiを接種した供試植物ではいずれもゴールの形成はほとんど認められなかった。一方,
M.incognitaを接種した供試植物では小さなゴールが形成され, 両種の寄生形態に明らかな相違が見られた。
また, giant cellの形状は両種間で明らかに異なり,
M.marylandiによって形成されるgiant cellは寄生部位周囲の内鞘に接する維管束柔組織に偏って縦軸方向に拡がっていた。核は大きく数は少なかった。この特徴は他の
graminis-groupのネコブセンチュウが芝草類に形成するgiant cel1の特徴と類似していた。一方,
M.incognitaによって形成されるgiant cellは寄生部位の中心柱内の大部分を占め, 頭部の周囲に放射状に拡がっていた。核は数が多いが非常に小さく確認しづらかった。また, 両種ネコブセンチュウによるgiant cellの外側の細胞壁には多くの内方成長の発達が観察された。
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