スズメノカタビラとベントグラスの土壌水分に対する生育反応の違いを明らかにするために, 異なる土壌水分条件下で両植物を育成した場合の草丈, 茎葉新鮮重, 根部新鮮重, 根長および根の深さ指数をガラス室内の土壌カラム試験と根箱試験で調べた。土壌水分条件を湿潤区と乾燥区の2つの水準に設定した土壌カラム試験では, スズメノカタビラの草丈, 茎葉新鮮重および根部新鮮重のいずれの値も乾燥区で低下した。ベントグラスにおいてもスズメノカタビラと同様の傾向が認められたが, 乾燥区における成長量の減少の程度はスズメノカタビラの場合よりも小さかった。一方, 土壌中の根の分布中心を表す根の深さ指数を乾燥区と湿潤区で比較すると, スズメノカタビラでは両区間に顕著な違いは認められなかったが, ベントグラスでは湿潤区よりも乾燥区で大きかった。また, 根の深さ指数を植物問で比較すると, ベントグラスの値は土壌水分条件にかかわらずスズメノカタビラよりも上回った。さらに土壌水分範囲の広い根箱試験で両植物の成長を比較すると, 地上部の成長 (草丈) に適した土壌水分域はスズメノカタビラよりもベントグラスで広かった。また, ベントグラスの根系はスズメノカタビラよりも土中深くに分布し, その伸長は乾燥領域においても阻害されなかった。以上の結果から, ベントグラスはスズメノカタビラよりも耐乾性に富み, しかも深根性であることが明らかになった。このことは散水や排水など土壌水分に重大な影響を及ぼす水管理の最適化によって, ベントグラスグリーン内のスズメノカタビラの制御が可能であることを示すもので, 芝地雑草の耕種的な制御技術の確立に貢献するものと期待される。
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