Cd除去植物としてペレニアルライグラスとトールフェスクを供試し, 両芝草のCd吸収能およびCd耐性を調査した。まず, 7日間のCd処理でCd高濃度領域での応答を明らかにした後, 21日問のCd処理でCd低濃度領域での応答をより詳しく調べた。
その結果, 両芝草とも1ppm区で最も高いCd吸収能を発揮することが明らかとなった。さらに, 1ppm区ではペレニアルライグラスはトールフェスクよりも植物体中Cd濃度根部から茎葉部へのCdの移行性 (Cd重量比) , Cd吸収率で高い値を示した。しかし, Cd処理濃度の上昇に伴いトールフェスクよりも下回り, トールフェスクの方が若干Cd耐性に優れていると推測された。
Cd処理期間によって, 植物体中Cd濃度, Cd重量比が一異なり, 場合によっては数値が2倍以上の差になることも明らかとなった。しかし, Cd吸収率に関してはCd処理期間に関係なく, 植物体の大きさ, つまり乾燥重量の大小が最も影響を与えていると推測された。
生育被害は, 7日間のCd処理では茎葉, 根部共に10ppm区から, 21日間のCd処理では茎葉部は2.5ppm区根部は1ppm区から観察された。このことから, Cd処理期間が長くなることによって, 比較的低濃度の実験区でも生育被害が現れることが示唆された。
本実験の結果から, 両芝草とも高濃度のCd汚染の除去には不向きであることが明らかとなった。しかしながら, 低濃度のCd処理区では生育被害が認められず, 高いCd吸収能を示し, なおかつ根部から茎葉部へのCdの移行性も高いことから, 茎葉部へ集積されたCdを刈り取り処分後, そのまま茎葉部を新たに再生させ, 繰り返しCdが吸収除去することが期待できる。
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