イ) 本研究は, 芝草の栄養条件と亜硫酸ガス抵抗性との関係, 特に栄養条件の悪化すなわち窒素, 燐酸, 加里の欠乏が芝草の抵抗性におよぼす影響を明らかにすることを目的として行われた。供試芝草として, のしば, シーサイド・ベントグラスを用い, 夏季および冬季に, 栄養条件を変えて砂耕培養を30日間行った後, 公害実験用グロースキャビネット内にて亜硫酸ガス3ppmを一定条件下 (20℃, 3時間) で接触させて, その被害状況などを調査した。
ロ) 実験の結果, 栄養条件の差異は, 一般に夏季において亜硫酸ガス抵抗性に大きく影響した。完全栄養区および加里欠乏区はもっとも抵抗性大で, 燐酸欠乏区, 窒素欠乏区, 無栄養区の順に小さくなる。冬季は栄養条件による差異はあまりみられない。
ハ) のしばは亜硫酸ガスに対する抵抗性が強く, 栄養条件にあまり影響されない。シーサイド・ベントグラスは抵抗性弱く, 夏に被害が大きく, 特に栄養条件の悪いものは被害が大きくあらわれる。
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