この報告は, 北海道 (北緯42度30分) から沖縄 (北緯26度10分) に至るわが国各地から集められたシバ (
Z.japonica) 24点の形態的及び生理的特性の変異について検討したもので, 得られた結果の大要は次のとおりである。
1) 形態的な特性―葉身長, 葉幅, 稈長及び穂長―には供試した生態型間に有意な差が認められた。
上記特性の最小及び最大値は, 葉身長においては10.1-20.4
cm, 葉幅は0.34-0.51
cm, 稈長は7.2-15.0
cm及び穂長は3.2-4.9
cmであった。
大型のものは, 長久手, 阿蘇―3の生態型であり, 小型のものは北海道, 岩手の生態型であった。一般に高緯度地帯から集められた生態型に小型のものが多かった。
2) 出穂始期は4月4日から5月17日の範囲にあった。出穂始期と採集地の気温や日長との間に相関関係は認められなかった。
3) 萌芽期と冬枯れ始期は低緯度地帯から採取された生態型に較べ, 高緯度地帯から採取された生態型が早い傾向があった。
4) 数生態型間で, 耐塩性, 耐肥性及び刈取り抵抗性などの特性に有意な差が認められた。
5) 一般に, 夏季及び秋季における地上部の生長量は高緯度或は高標高地帯より採集された生態型よりも低緯度或は低標高地帯より採集された生態型の方が大であった。
抄録全体を表示