(1) 昭和53年度に被害を受けたゴルフ場の比率についてみれば, 関東, 甲信越北陸, 東海地区では, それぞれ58.8. 50.0. 64.1%であり, 甲信越北陸地区が最も少く, 次は関東.東海地区の順であった。またシバツトガの伝ぱん速度はきわめて迅速であった。
(2) 昭和53年度に初めて被害を受けたゴルフ場の数の最も多いのは関東地区で, 栃木県および東京都では, その数は回答を受けたゴルフ場の50%にもおよんだ。昭和53年度のような高温乾燥な年では, この虫による被害は北関東をはじめ周辺の山地のゴルフ場にもおよび被害が拡大されていることが推察された。
(3) この虫による被害を受けなかったゴルフ場の標高の分布は0~1000mの間にあり, 被害わ受けたゴルフ場の標高は500m以下で, それ以上の所では被害は発生しないものと思われる。
(4) 昭和53年に開場した1年目のゴルフ場でも, この虫による被害を被った。この様なゴルフ場では, シバツトガは芝草に付着して伝ぱんすることが推察された。この資料では開場後3年目にこの虫による被害を受けるケースが多かった。
(5) 開場後10年以上経過したゴルフ場でも, この虫による被害がみられた。この場合のシバツトガは, 芝生地の補植のために搬入された芝草に付着して, 侵入することが考察される。
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