1.この実験はリゾクトニアラージパッチの発生消長と合せて, 病原菌の発生消長, 病原菌の生息範囲について行なったものである。
2秋の病斑はコウライシバの休眠中でも痕跡が見られ, その大きさ, 形がそのまま春の病斑に移行し, さらに拡大するようであった。しかし, 春の病斑は夏場完全に回復することにより, 秋の病斑は新たに発生するようであった。また, 春の裸地化した激発型の病斑の回復は, その内側の裸地化した部分からも見られた。
3.この実験での病害の発生消長は, 春では3月下旬から4月中旬に始まり, 6月中旬まで続き, 発生盛期は4月中旬から5月中下旬であった。また, 秋では10月上旬に始まり12月下旬まで続き, 盛期は10月中下旬から11月下旬までであった。
4.この病害の病原菌とされる
Rhizoctonia solaniの発生消長は前の病害の発生消長とほぼ同じであったが, 秋に比べると春の方が分離率は高かった。また, 春, 秋の病斑発現前に既に病原菌の増加が見られた。さらに, 春の発生後期では病斑が見られても, 病原菌は分離されなくなり, 夏場では皆無であった。これに対し, 秋の場合には発生後期, 冬のコウライシバの休眠中でも, 病原菌は低率であるが分離され, 春の増加に移行した。
5.病原菌の生息範囲は土壌表層部から地表部にあると考えられ, また, 罹病地点に隣接した健全地点にも菌糸が伸展しているものと考えられる。
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