本稿では,物理モデルであるポテンシャルネットとK L展開を組合わせた個人識別手法を提案する.ポテンシャルネットは,入力顔画像のカテゴリー対応を考えない幾何学的変換に不変な特徴抽出が可能な物理モデルであり,ノードが2次元グリッド状に相互にバネで連結された構造を持つ.画像力により各ノードが顔器官の特徴に移動するためネットは変形する.変形したネットの形状は顔の特徴を反映しているため,識別に有効な特徴となる.K L展開により,この不変特徴で張られる高次元の特徴空間から識別に有効な低次元の統計的特徴抽出を行い,その特徴を用いて個人識別を行う.本手法を表情変化を伴う顔画像に対する識別能力,照明条件変動に対する耐久性,位置ずれに対する安定性の観点から評価し,その有効性を確認した.
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