本稿では, 誤差方程式に基づく, バックプロパゲーション適応IIRフィルタのための2次元LMSアルゴリズムを提案し, リヤプノフ安定定理を用いて, このアルゴリズムの収束性を考察する.とくに, 分母分離形2次元IIRフィルタのために適応アルゴリズムを提案し, 収束性を考察する.このアルゴリズムでは, フィルタの分母の水平セクションと垂直セクションの縦続結合に望ましい信号がバックプロパゲーションされることにより, フィルタの係数に関して, 線形な中間誤差関数を生成する.提案したアルゴリズムの性能を明らかにするためシミュレーション結果を示す.しかし, 望ましい信号が加法ノイズに乱されている場合は, 推定値のバイアス誤差が多いという問題点がある.そのバイアス誤差を無くすための方法を提案し, シミュレーション結果を示す.
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