都市有害生物管理
Online ISSN : 2435-015X
Print ISSN : 2186-1498
6 巻, 2 号
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原著
  • 角野 智紀
    2016 年 6 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/02/22
    ジャーナル フリー

    2002年から2013年までの12年間に当所に依頼された異物検査のうち,クモ類に関する検査件数は102件であった.クモ類に関連する検体は年間を通して当所に持ち込まれた.検査依頼のあった製造業種別にみると,食品の36件(35.3%)が最も多く,次いでフィルム17件(16.7%),ガラス容器13件(12.7%)と続き,プラスチック容器,医薬品,繊維,製紙,化粧品はそれぞれ10%に満たなかった.科レベルまで同定されたクモは102検体中87検体で,それらは17科に分類された.頻度としてはハエトリグモ科の29検体(33.3%)が最も高く,コガネグモ科12検体(13.8%)やユウレイグモ科9検体(10.3%)なども目立った.生活様式で分けると徘徊性が57.5%,造網性が42.5%となり,徘徊性のクモ類がわずかに上回った.一方,種レベルまで同定できたクモは20種(39検体)であった.ユカタヤマシログモとアシダカグモがそれぞれ5検体(12.8%)で最も多く,ミスジハエトリ4検体(10.3%),イエユウレイグモ3検体(7.7%),イエオニグモ3検体(7.7%)などがそれに続いた.種レベルまで同定できたクモの6割以上が屋内性で一年中見られる種であった.

短報
  • 小田 尚幸, 橋本 一浩, 福冨 友馬, 川上 裕司
    2016 年 6 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/02/22
    ジャーナル フリー

    ノシメマダラメイガは一般住宅の室内で普通に見られ,本種への微胞子虫の感染が海外で報告されている.しかしながら,本邦におけるノシメマダラメイガの微胞子虫感染状況は報告されていない.そこで,東京近郊の住宅5軒でノシメマダラメイガ用フェロモントラップを用いてトラップ毎の捕獲虫の微胞子虫感染状況を約3か月間調査した.その結果,5,358匹の捕獲ノシメマダラメイガから計16群の微胞子虫が単離された.そのうち6群の胞子サイズを計測した結果,同様のサイズ及び形状であった.10群のsmall subunit rDNA配列を解析した結果,同一配列でありNosema / Vairimorphaクラスターに分類された.

事例報告
解説
  • 大沢 啓子, 大沢 夕志
    2016 年 6 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/02/22
    ジャーナル フリー

    コウモリは,世界で1300種以上,日本では37種が記録されている多様な生物群である.生態系において,種子散布者・花粉媒介者・昆虫などの捕食者として重要な役割を担っている.人間生活に対しても,農業害虫や不快害虫の数のコントロール,果樹の花粉媒介などで貢献している.一部の種は家屋や建物もねぐらとするようになり,時にはその糞尿や外部寄生虫により人間と軋轢が生じることがある.捕まえなければ噛みつくことはなく,ましてや人間を襲うことは決してない.コウモリが棲みつくことによるコンクリート建造物の劣化も認められない.日本では人間への感染症の例もない.穏便に追い出す方法を紹介するとともに,いちばん身近な野生哺乳類として親しみ共存している事例も紹介する.

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