都市有害生物管理
Online ISSN : 2435-015X
Print ISSN : 2186-1498
8 巻, 2 号
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原著
短報
  • 寺山 守, 富岡 康浩, 森 英章, 伊藤 元
    2018 年 8 巻 2 号 p. 39-43
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年実施された本州港湾部での外来アリ類のモニタリング調査の結果,日本初記録となるムネアカヒメアリ(和名新称)Monomorium salomonis が東京港から発見された.さらに,関東地方初記録となるフタイロヒメアリM. floricola が千葉港から得られ,本土初記録となるミゾヒメアリTrichomyrmex destructor が千葉港,清水港,名古屋港から発見された.ムネアカヒメアリはアフリカからマダガスカル,ヨーロッパ,アラビア半島からインド,スリランカ,さらに中南米から記録されている種で,物資の輸送に伴って世界に分布を拡大させている外来種である.
  • 小峰 幸夫
    2018 年 8 巻 2 号 p. 45-50
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    歴史的木造建造物におけるチビケカツオブシムシ(以下,本種と称する)の幼虫の生息場所,成虫の出現時期や食性を調査した.幼虫の生息場所については,石川県の歴史的木造建造物の本殿の縁にある勾欄の地覆と縁板との隙間16 箇所の堆積物を採取して,本種やその他のカツオブシムシ類の個体数を調査した.成虫の出現時期や食性については,千葉県にある複数の寺院における目視調査や羽化した本種の成虫の生態観察から過去の報告をふまえて考察を試みた.
    その結果,幼虫や蛹,脱皮殻は堆積物中の丸まった枯葉の内部に見られることが多く,幼虫はこのような場所を好むと考えられた.成虫の出現時期は,4 月から7 月末ごろと推測された.また, 羽化した成虫が市販の鰹節の粉に集まったこと,千葉県の調査で甲虫類(ゴミムシ類)の死骸に集まっていたことなどから,成虫は昆虫やその他の生物の死骸を餌としていることが推察された.
資料
  • 曲山 幸生, 古井 聡, 今村 太郎, 宮ノ下 明大
    2018 年 8 巻 2 号 p. 51-55
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    食品害虫サイトのアクセス解析結果から得られた閲覧数順位の情報から,ヒラタチャタテの重要度が2014 年ごろから上昇したこと,ヒメマルカツオブシムシに衣料害虫としての特徴が見られたこと,原因は不明だがタバコシバンムシの注目度が最近上昇していることがわかった.アクセス解析結果の十分な分析により,各貯穀害虫に対して社会がどのように認識しているかを推察できることから,食品害虫サイト(貯穀害虫・天敵図鑑)は貯穀害虫の動向を監視する定点観測装置としても有効であると考えられた.
  • 木村 悟朗, 宮ノ下 明大, 谷川 力
    2018 年 8 巻 2 号 p. 57-60
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    実験動物用飼料を用いて,コクヌストモドキとヒラタコクヌストモドキの発育試験を行った.コクヌストモドキの平均発育個体数は119.5 ± 51.7 個体,ヒラタコクヌストモドキでは87.5 ±39.7 個体であった.放飼36日後,コクヌストモドキでは発育個体の67.3 ± 9.2% が成虫であったが,ヒラタコクヌストモドキでは21.3 ± 4.1% が成虫であった.いずれの種においても,対照区である小麦全粒粉と比べて,発育が遅延した.これらの結果から,本試験で使用した実験動物用飼料でコクヌストモドキ類は発育可能であるが,それらの好適な餌ではないと考えられる.
  • 小田 尚幸, 植松 咲希, 橋本 一浩, 川上 裕司, 藤森 文啓
    2018 年 8 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,Schizophyllum commune (スエヒロタケ)などの担子菌(Basidiomycetes)を原因とする深在性真菌症の症例が広く認知されるようになってきた.しかしながら,生活環境における空中浮遊担子菌類の分布については報告事例が少なく,その実態が明らかにされていない.そこで,筆者らは,一般住宅の室内と近隣の児童公園3 か所を対象として,2017 年4 月から6 月にわたって空中浮遊担子菌類のサンプリング調査を実施した.調査の結果,担子菌類が含まれる白色糸状真菌が,全ての時期に調査対象場所から分離された.調査で分離された27 株の白色真菌を,ITS 領域の遺伝子配列解析によって同定した.その結果,26 株が担子菌門に属し,2 目4 科8 種に分類された.同定された菌株のうち,病原性担子菌として知られるTrametes hirsuta(アラゲカワラタケ)が10 株と最も多く,次いでスエヒロタケが5 株だった.アラゲカワラタケは6 月に半数以上が分離され,季節性が示唆された.本調査の結果,住宅内や近隣の児童公園でアレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis)の原因として知られる担子菌類が普通に浮遊していることが明らかになった.
事例報告
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