植生学会誌
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18 巻 , 1 号
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原著論文
  • 浅見 和弘, 齋藤 大, 児玉 奈美子, 渡邊 勝
    原稿種別: 本文
    2001 年 18 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1.福島県阿武隈川水系大滝根川に建設された三春ダムの下流において,試験湛水直後から湛水終了1年後までの計3ヶ年,河川植生の変化を追跡し,植生変化の原因を考察した.
      2.植生調査結果から,ツルヨシ群落等冠水域に特有の群落の減少が目立ち,代わりに乾性立地で生育可能なオニウシノケグサ群落,ノイバラ群落,フジ群落,クズ群落等の増加が認められた.
      3.植生変化の主な要因としては,洗掘と流況の変化が考えられた.
      4.ツルヨシ群落等,冠水域に特有の群落は水際部に生育するため,その立地は出水により洗掘されやすく基盤ごと消失した箇所であった.また,ダム下流は土砂の供給が少なく,新たな自然裸地が形成されないため,冠水域に特有の群落の生育立地は増加しなかったものと考えられる.
      5.試験湛水後から約1年9ケ月の間は,ダムがない場合に1年に5回程度の確率で起こる20m^3/sec程度以上の流量がなく,流況が安定していた.そのため,ノイバラやクズ等は破壊されることがなく,ツルヨシ群落に覆い被さる等により生育面積を拡大させたと推察される.
  • 上條 隆志, 磯谷 達宏, 星野 義延, 袴田 伯領
    原稿種別: 本文
    2001 年 18 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    伊豆諸島御蔵島の南東部の標高250mから800mの領域において,12箇所のプロットを設置し,高さ1.3m以上の樹木の種名および胸高直径,群落高,ササ類の被度を調査した.群落高,胸高断面積合計,最大胸高直径は標高の上昇に伴い減少したのに対して,立木密度は増加した.胸高所面積合計比でみると,標高の上昇に件いスダジイ1種の優占群落から,クロバイ,ツゲ,ヒサカキ,ヤマグルマなどが混交する群落へと変化した.また,多様性指数(a)は標高の上昇に伴い増加した.樹木の種組成にもとづき,TWINSPAN法による群落区分を行った結果,スダジイ林(250m-410m),移行型スダジイ林(470m-580m),ツゲ-ヒサカキ-ヤマグルマ混交林(600m-800m)の3タイプに類型化された.ツゲ-ヒサカキ-ヤマグルマ混交林は,温度条件的(WI=105-125)には本土のシイ林からカシ林への移行域に相当するが,その種組成と群落構造は本土とは大きく異なっていた.これは,御蔵島の山頂部が強風などの特殊環境にあることとともに,島効果によりカシ類などの本土の主要構成種を欠いていることが関係していると考えられた.葉の形態別の胸高所面積合計比からみると,低標高ではスダジイを含む常緑亜中型葉樹木が優占するが,標高の増加に伴い,より小型の常緑小型葉樹木と常緑微小型葉樹木が増加した.このような葉形態の変化は,東アジア全体でみると,温帯山岳ではなく熱帯山岳の垂直変化パターンと共通しており,暖温帯を合めた温帯域では特殊な垂直分布といえる.その一方で,御蔵島と同じく火山島である八丈島や,半島状の孤立火山である開聞岳でも常緑亜中型葉林から常緑小型葉林への変化が知られており,暖温帯域の小型火山島あるいは孤立火山では特徴的な現象であると考えられた.
  • 蛭間 啓, 福嶋 司
    原稿種別: 本文
    2001 年 18 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1.長野県北東部,雑魚川流域のブナ林において平坦面,斜面それぞれの林分に80m×80mのコドラートを設置し,林分構造を調べ,更新様式を比較した.
      2.林分構造は,亜高木層,草本層の平均植被率が平坦面よりも斜面で高く,第二低木層平均植被率,ササの平均被度は平坦面で高かった.木本種の全基底面積は平坦面で大きかったが,個体数は斜面で多かった.
      3.平坦面のブナの小径木と中径木の間には共存関係がみられ,大径木と小径木及び中径木との間には非共存関係がみられた.斜面ではブナのDBHサイズクラス間での明瞭な共存,非共存関係はみられなかった.平坦面では複数の異なる発達段階からなるモザイク状の再生パターンが明瞭にみられ,斜面ではモザイク状の再生パターンは不明瞭であった.
      4.平坦面ではブナの稚樹,幼樹の本数が少なく,斜面で多かった.
      5.斜面では倒木の本数が多くそのサイズが平坦面よりも小さかったことから,斜面では立地が不安定なためギャップが頻繁に形成されやすいと考えられた.
      6.平坦面では,林床にササが繁茂しているため後継樹が育ちにくく,ササの一斉枯死のような数少ない機会にギャップにおいて更新が行われており,更新が不連続である.斜面ではササの被度が低く,閉鎖林冠下でも後継樹の育ちが良く,頻繁に起こる倒木の直後に林冠をうめることができ,更新が連続的である.
  • 広木 詔三
    原稿種別: 本文
    2001 年 18 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    愛知県春日井市の弥勒山西斜面とその山麓部の丘陵地帯において,おもにアカマツとコナラからなる二次林においてツブラジイとアラカシの侵入する過程の解析を行った.この二次林内にツブラジイとアラカシの実生が広く分布し,シイ・カシ類の常緑広葉樹林へと遷移が進行しつつあり,その遷移の傾向について次の三つのパターンが認められた.すなわち,1)ツブラジイ林の周辺で急速にツブラジイが勢力を拡大する,2)アラカシとツブラジイの混交林が成立する,および3)ストレスを強く受ける立地でアラカシが長期的に優占する,という三つのパターンである.さらに,アラカシの種子散布にカケスが深く関与している可能性が認められた.
短報
  • 守田 益宗
    原稿種別: 本文
    2001 年 18 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    Pollen analysis of deposits from Ochiishi Mire was made with special references to the vegetation history of Nemuro Peninsula in easternmost Hokkaido since the Late Pleistocene. A landscape consisting of grassland and birch forest was seen around this area ca. 11500 years ago. Thereafter, conifers such as spruce, fir and larch began to invade and formed boreal forests. These coniferous forests, excluding larch, continuously occupied this area until ca. 6000 years ago. Though the coniferous forests deteriorated due to climatic warming, cool temperate deciduous forest has not fully developed in this area yet. The cool temperate oak forest slightly decreased and boreal birch forest developed in the peninsula ca. 2500 years ago.
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