Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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60 巻 , 1-2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
  • 狩野 泰則, 加瀬 友喜
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 1-6
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    ジャマイカより記載されたTeinostoma(Calceolata)pusillum(C. B. Adams, 1850)〔新生腹足上目 : イソコハク科〕について, 総模式標本の調査に基づき分類学的再検討を行った。本種の原殻は後成殻に対し傾いており, 表面には石灰質薄層の付加がみられる。また後成殻の殻口内唇は直線的で歯をもたず, 殻口内底唇付近には弱い突起がある。これらの特徴に基づき, 本種をNeritilia Martens, 1879コハクカノコ属〔アマオブネ上目 : コハクカノコ科(新称)〕に所属変更した。これにより, 本種を模式種として設立されたCalceolata Iredale, 1918は前者のシノニムとなる。なお, 和歌山県田辺市より得られた本種とされる標本(A.Adams, 1863, 1864)は, 別の未記載種のものである可能性が高い。
  • ターナー H., カロモン P.
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 7-14
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    New additions to the Japanese marine molluscan fauna are here recorded : Neocancilla kayae Cernohorsky, 1978, hitherto known only from the Hawaiian Islands, Vexillum (Costellaria) delicatum (A. Adams, 1853) known from the tropical Indo-West Pacific, and V. (Nodicostellaria) sauternesense Suduiraut, 1997 known from the Philippines. V. (Pusia) charlesi n. sp. was previously known only as an undescribed species from the Philippines, but has recently also been found in Japan and is here described. Thala maxmarrowi Cernohorsky, 1980, originally described from Okinawa, is recorded from the Kii Peninsula, central Honshu.
  • 高田 宜武
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 15-25
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    九州天草の傾斜の緩やかな転石地潮間帯においてイシダタミの日周期活動を夏期に観察し, 個体群内で生息潮位と個体の大きさによる活動パターンの変異を認めた。イシダタミを, 殻幅サイズによって大型貝(>13 mm), 中型貝(9∿13 mm), 小型貝(≦9 mm)の3群のサイズクラスに分け, 転石上面で移動しているものを「活動中」, 転石上面で停止しているものを「停止中」として記録した。転石下面にいるものは全て「休息中」とみなし, 記録しなかった。全てのサイズクラスにおいて, 波に洗われている状態と夜間の干出状態で活動中の個体数が多かった。大型貝ではさらに, 中潮帯と低潮帯で夜間の水没状態での活動が認められた。中潮帯では, 中型貝と小型貝の活動は, 昼間の波に洗われている状態よりも, 夜間の干出および波に洗われている状態での活動の方が, より高い傾向にあった。ほとんど全ての貝は昼間の干出状態では休息中となるが, 夜間の干出状態では転石上面で停止中となる貝が見られた。これらの活動パターンの種内変異に関連すると思われる要因について考察した。
  • 豊原 哲彦, 仲岡 雅裕, 土田 英治
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 27-36
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    岩手県大槌湾の海草藻場において, 本州以南では初記録となるキタノカラマツガイの生活史と個体群動態について調査した。野外調査は1995年10月から1996年11月までおよそ一ヶ月または一ヶ月半おきに行われた。貝はアマモとタチアマモの各群落からかぶせ網で定量的に採集された。海草の葉上に付着する卵塊の観察により, キタノカラマツガイの卵塊は11∿22個の卵が入ったカプセル型であり, 卵はプランクトン幼生期を経ずに底生発生することが示唆された。キタノカラマツガイの繁殖期は初夏であり, 寿命は一年であった。新規加入により5月から6月にかけて個体群密度が急激に増加し, 夏期は比較的高い密度が保たれているが, 8月から10月にかけて著しく減少した。密度の増加はアマモとその付着藻類の豊富な時期と一致しており, また密度の減少はアマモと付着藻類の減少と一致していたことから, 生息場所や餌量が個体数の制限要因になっていることが推察された。特に密度の減少期には個体の成長が停滞していたため, 餌不足が個体数減少の重要な要因であると考えられる。タチアマモ上の個体群密度はアマモ上に比べ年間を通して低く, また新規加入がタチアマモではほとんど見られなかったことから, キタノカラマツガイは生息場所としてタチアマモよりもアマモの方を好むことが示唆された。生息場所の選択に関しては海草2種の群落構造の違いが影響を及ぼした可能性がある。例えば, 平面的な形態的特徴を持つ本種にとって, 一年を通して茎部が少なく平たい葉が優占するアマモの方が付着基質として優れていること, また笠貝は一般に移動力が小さいため, 株密度が低く間隙の多いタチアマモ群落よりもより連続的に分布するアマモ群落の方が生息に好条件であることなどが考えられる。
  • 石井 亮, 川上 真司, 関口 秀夫, 中原 康智, 陣内 康成
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 37-55
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    筆者らは、ホトトギスガイの底生個体群の形成・維持機構を解明するために、幼生加入過程を研究した。1997年2月から1998年12月にかけて、有明海東岸の20 km離れている2つの河口干潟において、浮遊幼生、着底稚貝、稚貝、大型個体の密度変動を調べた。1998年の大型個体を別にすれば、どの成長段階においても滑石より川口の方が密度は高かった。川口の着底稚貝・稚貝・大型個体の各成長段階の密度が滑石よりも高いのは、浮遊幼生の密度が高いことに起因していると推察される。
  • 近藤 康生, 横川 浩冶, 白土 史隆
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 57-69
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    沖縄と四国を中心とする西南日本の砂浜潮間帯で, 日本産のフジノハナガイ科全4種, およびチドリマスオガイ科の5種が生息する底質の粒度組成と堆積物にもぐる速さを計測した。底質はフルイを用いて1φ間隔で分析し, 中央粒径値(Mdφ)と淘汰度(σ : inclusive graphic standard deviation ; Fork & Ward, 1957)を用いて比較した。貝が堆積物にもぐる速さは, Stanley (1970)が定義したBurrowing Rate Index (BRI)によって比較を行った。サンゴ礁によって遮蔽された海浜の多い沖縄では, サンゴ屑や大型有孔虫などの生物源粒子から構成される海浜が多い。これらの海浜では, 比較的よく淘汰された砂(0.32<Mdφ<2.5;0.37<σ<1.22)にはナミノコガイ, やや淘汰の悪い, 粗粒の砂(-0.78<Mdφ<0.45;0.73<σ<1.5)にはリュウキュウナミノコという具合にほぼ分かれて分布している。より外海に面した海浜の多い四国では, ナミノコガイとフジノハナガイがよく淘汰された中粒砂&acd;細粒砂の砂浜潮間帯に共存することが多い。また, これら2種が分布している高知県の興津海岸(小室の浜)と浮津海岸の, それぞれ潮間帯最下部から潮下帯最上部付近にはキュウシュウナミノコも分布している。これら3種のうちで, 最も外海に面していて砕波帯の広い, 典型的な逸散型海浜に生息しているのはフジノハナガイである。フジノハナガイが生息する底質の粒度分布は, 中央粒径値・淘汰度ともに最も幅が狭い。一方, 西南日本(温帯域)の遮蔽された潮間帯砂礫底にはクチバガイが多く, 沖縄(亜熱帯・熱帯域)でよく見かける, サンゴ礁によって遮蔽され, 砕波帯の幅の狭い反射型海浜にはイソハマグリが多い。イソハマグリと, フジノハナガイ科のリュウキュウナミノコは沖縄の多くの砂浜で共存しているが, 底質に対する分布はイソハマグリの方が幅広い傾向が認められた。以上のように, 温帯・亜熱帯でも熱帯域でも相対的によく淘汰された堆積物からなる砂浜にはフジノハナガイ科二枚貝が生息しており, 淘汰不良な粗粒の海浜にはチドリマスオ科が多い。それぞれの種の海浜堆積物にもぐる速さも, このような底質分布と関係がある。すなわち, よく淘汰された細粒&acd;中粒砂に分布するナミノコガイ(3.6&acd;33.8)とフジノハナガイ(BRI : 10.7&acd;32.5, 以下同様)が最も速くもぐり, おもに淘汰不良の粗粒砂に分布するイソハマグリ(1.2&acd;4.5)やナミノコマスオ(0.7&acd;2.2)などのチドリマスオ科二枚貝が最も遅い。また, フジノハナガイ科の中では, 粗粒の貝殻砂に生息するリュウキュウナミノコのもぐる速度が3.3&acd;10.4と, 最も遅い。
  • 山中 寿朗, 溝田 智俊
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 71-78
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    インドネシア・中部スマトラのマングローブ林下に生息する巻貝および二枚貝の硫黄栄養を安定同位体組成(^<34>S/^<32>S ; δ^<34>S表示)を用いて研究した.3種のマングローブ(ヤエヤマヒルギRhizophora mucronata, Rhizophora apiculataおよびオヒルギBruguiera gymnorrhiza)は, 基質泥に含まれる, 海水硫酸の微生物還元に由来する同位体的に軽い硫化物硫黄(δ^<34>S=-20.3から-11.9‰)の一部を同化していることが, その低い硫黄同位体組成(δ^<34>S=-14.4から-6.2‰)から推察された。干潮時に盛んにマングローブ落葉および腐朽落葉落枝を摂食している3種の巻貝(キバウミニナTerebralia palustris, マドモチウミニナTerebralia sulcataおよびセンニンガイTelescopium sp.)の軟組織の硫黄同位体組成(δ^<34>S=-2.5から+9.5‰)に基づき, 軟組織に取り込まれた硫黄の40&acd;70%がマングローブ葉由来であると推察された。残りの硫黄栄養はおそらく直接, あるは間接的に海水硫酸に由来すると推定された。今回測定した硫黄安定同位体組成から, これらマングローブ林下の底生動物のうち, 通常目視観察では推定困難な硫黄栄養源について, 直接的な証拠が得られた。マングローブ林下の底泥中で生成された, 微生物起源の軽い硫黄源は, 近隣海域の一般的な巻貝(マイノソデガイStrombus (Euprotomus) aurisdianae ; δ^<34>S=+14.4‰)や二枚貝(アカガイ, Anadara sp.;δ^<34>S=+10.3‰)にも及んでいることが, その軟組織についての硫黄同位体組成から推察された。
  • 田代 美穂, 冨山 清升, 森野 浩
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 79-91
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Assiminea japonica Martens, 1877 is commonly distributed in brackish waters in the Japanese main islands. Some local populations of the snail, however, have been reduced due to recent coastal developments. Distribution of the snail was surveyed along the Hinuma brackish water system and the size distributions of two local populations were monitored between May 1995 and January 1996. The snail was mainly distributed in reedy marshes and gravelly shores, but not on sandy shores or concrete banks. The snails inhabited brackish water where salinity was less than 8‰ and did not inhabit seawater or fresh water. Four shell color patterns were recognized. The ratio of the four shell color patterns within the population was different at every observation site. The snail widely occurred from intertidal to very shallow subtidal bottoms, but most snails did not migrate between these two bottoms during the tidal cycle. Seasonal changes in size composition in two snail populations were very different. A population in a reedy marsh was composed of adult snails throughout the year without recruitment, but a population on a gravelly shore was mainly composed of small juveniles.
  • 勢村 均, 石田 健次, 中上 光, 林 育夫
    原稿種別: 本文
    2001 年 60 巻 1-2 号 p. 93-102
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Growth of hatchery-produced Iwagaki-oyster Crassostrea nippona suspended at a mean depth of 7 m at Dozen Bay, the Oki Islands, Shimane Prefecture, Japan was examined over 23 months. Means of shell height, weight of whole body, and volume of whole body after hatching, respectively attained 52.2 mm, 25.6 g and 19 cm^3 after 12 months and 106.2 mm, 183.9 g, and 126.9 cm^3 after 23 months. The growth of Iwagaki oysters was affected by spawning, gonad development, low water temperature and possibly food availability inferred from the abundance of phytoplankton. Eleven shell characters : Total shell height, shell height, shell length, shell width, weight of whole body, soft tissue weight, weight of right valve, weight of left valve, volume of valves, volume of whole body, and volume of inner space were measured, and analysis was carried out to determine which characters best represent growth in whole body volume. The results showed that weight of the whole body and weight of the left valve were the most representative, but suggested that shell height was the most convenient for practical use.
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