Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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60 巻 , 4 号
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原著
  • 奥谷 喬司, 藤倉 克則
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 211-224
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    During recent dives by the crewed submersible Shinkai 6500 in abyssal depths on the landward slope of the Japan Trench (5343-5379 m), five gastropod and four bivalve species were collected from seep environments. The gastropods include a recently described species in the Neomphalidae, two new species in the Provannidae, a single species in the Buccinidae, and a new species in the Cancellariidae. Bivalves are represented by a single species of the Solemyidae, a single species of the Thyasiridae and two species of the Vesicomyidae, the most of which were previously described from greater depths in the same trench.
  • 藤倉 克則, 藤原 義弘, 小島 茂明, 奥谷 喬司
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 225-236
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    日本海溝陸側斜面の水深5295 mから6290 mにわたる6地点の冷水湧出生物群集に出現する軟体動物について, 詳細な分布を観察し, 動物相を他の化学合成生物群集と比較し特徴づけた。これらの地点から化学合成生物群集の固有種として出現したのは, 二枚貝類のナギナタシロウリガイCalyptogena phaseoliformis, ナラクシロウリガイCalyptogena fossajaponica, カイレイハナシガイParathyasira kaireiae, スエヒロキヌタレガイAcharax johnsoni, 腹足類のカイコウケシツブシタダミRetiskenea diploura, カイコウハイカブリニナProvanna abyssalis, シンカイハイカブリニナProvanna shinkaiaeであった。カイコウツムバイBayerius arnoldiとガラスコロモガイAdmete tenuissimaも出現したが, これらは化学合成生物群集に固有な種でなく侵入種と思われた。優占種は地点によって異なり, 底質が粒子の細かい堆積物(シルトや粗粒砂)の地点はナギナタシロウリガイ, 粒子の粗い堆積物(中礫)の地点ではナラクシロウリガイが優占した。しかし, 両種が共優占種として群集を形成する場合は, 小型化する傾向が認められた。カイコウケシツブシタダミは粒子の細かい堆積物(シルト)内に形成されたナギナタシロウリガイのパッチ内に, 30 cm四方に100個体以上と高密度に分布していた。カイコウケシツブシタダミはNeomphalidaeの種として日本周辺の化学合成生物群集から初めて発見された。日本海溝の冷水湧出生物群集を構成する軟体動物の分布や動物相は, 東太平洋の冷水湧出生物群集と科や属レベルで共通性が高い。なかでもアリューシャン海溝(水深4500∿5000m)に類似していることが明らかとなった。
  • 若林 敏江, 齋藤 和範, 土屋 光太郎, 瀬川 進
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 237-260
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    小笠原周辺海域および四国沖からフィリピン海で採集された, 外套長1.4∿12.4 mmのスジイカ稚仔53個体と, 外套長2.4∿5.4 mmのヤセトビイカ稚仔47個体を用いて記載を行った。スジイカ稚仔は眼胞上に1個, 直腸上中央に1個の発光器をもち, それらの出現時期は外套長4.0 mmであった。また融合触腕は, 外套長4.0 mmで分離が始まり, 外套長8.0 mmで完全に分離する。融合触腕指数の平均値は0.70±0.28 (S.D.)で, 融合触腕先端の吸盤は側部の2個が中央の6個よりやや大きく, 中央の吸盤に対する側部の吸盤の大きさの平均は, 1.57±0.14 (S.D.)であった。ヤセトビイカ稚仔は眼胞上に1個, 内臓上に2個の不等大の発光器をもち, それらの出現時期は外套長3.0∿4.0 mmであった。また融合触腕の分離は外套長2.5 mmで始まるが, 本研究では完全に分離した個体はなかった。融合触腕指数の平均値は0.43±0.10 (S.D.)で, 融合触腕先端の吸盤は側部の2個が中央の6個より顕著に大きく, 中央の吸盤に対する側部の吸盤の大きさの平均は, 2.09±0.01 (S.D.)であった。
  • 大田 直友, 渡慶次 陸範
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 261-271
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    転石潮間帯にすむ同属の肉食性貝類イソニナ・シマベッコウバイの個体群特性について, コドラートによる定量調査を行い, その時空間的変化を明らかにした。2種は類似の生活史をもち, 1994年7月から1995年10月にかけて安定的な密度で存在した。世代解析により両種は少なくとも4年間生きることが推察され, 安定的に個体群の加入が続いていた。新規加入個体は, 8月に6 mm程度の採集可能サイズになり, 暖かい季節により多くの成長が観察された。イソニナは1年で11 mm, 2年目に17 mm, 3年目には22 mmに, 一方, シマベッコウバイは1年で13 mm, 2年目に20 mm, 3年目には26.5 mmに成長すると推察された。小型個体の加入と産卵は垂直分布の中部に多くみられ, 成長に伴い分布域が高・低潮位に, とくに低潮位域に広がっていった。また, 分布パターンの解析から, 垂直分布の端の部分ではより集中した分布がみられた。
  • 冨山 清升
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 273-283
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    電波標識法によって同時的雌雄同体の陸産貝類であるアフリカマイマイの交尾行動を観察した。電波発信器を殻の上部に装着して行動を追跡し, 完全成熟個体と亜成熟個体の2つのグループに分けて比較をした。亜成熟個体の行動範囲は完全成熟個体よりも広かった。観察開始時からの累積移動距離は, 完全成熟個体よりも亜成熟個体の方が長かった。アフリカマイマイの交尾は, 交尾を仕掛ける個体と受け入れる個体の間で, 交尾行動がまったく異なっている。亜成熟個体は完全成熟個体よりも高い頻度で交尾を行った。多くの場合で, 亜成熟個体は交尾を仕掛ける場合が多く, 完全成熟個体は交尾を受け入れる場合が多かった。完全成熟個体が亜成熟個体に交尾を仕掛ける場合に比べて, 亜成熟個体が完全成熟個体に交尾を仕掛ける場合が多かった。観察期間中の多数回交尾はすべての個体で認められた。亜成熟個体は広い範囲を動き回って交尾相手を捜していると思われる。完全成熟個体は狭い範囲を動き回り, 受動的な交尾行動を行っているものと思われる。このようなアフリカマイマイの交尾様式は本種の雄性先熟の成長様式と密接に関連しているものと結論づけられた。すなわち, 精子しか生産できない亜成熟個体は, 卵を産める交尾相手を積極的に捜しているものと思われる。
  • 鎌田 育江, 野中 佐紀, 冨山 清升
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 285-294
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    The vertical distribution of Japeuthria cingulata (Reeve, 1847) was studied on Sakura-jima Island, Japan. Frequency distributions of shell size showed that newly hatched juveniles appeared in April, but their recruitment did not seem to be concentrated in any specific period over a year. In the intertidal area, the vertical distribution range of J. cingulata was larger than that of Cronia margariticola (Broderip, 1833) and Morula musiva (Kiener, 1836). Juvenile J. cingulata occurred in the lower zone, while adults occurred from the lower zone to the middle zone (broadly defined). No seasonal change of distribution in the intertidal area was observed.
  • 藤江 明雄
    原稿種別: 本文
    2002 年 60 巻 4 号 p. 295-302
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    The ancient Nakasuji sand dune on Taramajima Island in the Sakishima Archipelago features two layers of intercalated eolian dust paleosol. The eolian dust layers have yielded terrestrial molluscan fossils in large numbers. There are in all 21 species of land mollusc, including six now extinct on the island. The fossils are predominantly minute fossils, but larger specimens are also preserved well without severe damage. This indicates that these assemblages are autochthonous. The species composition of the minute fossils differs from layer to layer. Gastrocopta (Sinalubinula) armigerella and Tornatellides boeningi are dominant in the lower paleosol layer and the underlying sand layer, while Georissa japonica, Carychium cymatoplax, Platyrhaphe hirasei nudus and Aphanoconia yaeyamaensis dominate the upper layer. Judging from the habitats of their Recent counterparts, it is inferred that the fossil assemblages in the lower layers were formed near the coast lines and that those in the upper layer were formed in and around coastal forests. This could be due to a fall in sea level associated with glacial eustasy in the last ice age.
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