沖縄の浅海域に生息するリュウキュウヒバリガイModiolus auriculatusとホソスジヒバリガイM. philippinarumの浮遊幼生(D-shaped larva, Umbo larva)及び初期稚貝(Post-larva)の種判別を目的として, 殻の形態について人工飼育より得られた2種の標本を実体顕微鏡及び電子顕微鏡を用いて観察した。本研究結果から, これら2種の殻頂期幼生(Umbo larva)は, 交装の構造, 殻色及び眼点出現時期の殻長等の差違から明確に識別することができた。また, 両種の初期稚貝は, 交装の構造, 殻色, 第一側歯と殻皮毛の出現殻長の差違から明確に識別された。本研究結果を含めこれまでに幼生の形態が明らかになっているイガイ科全22種の, 3種類の側歯(第一側歯, 第二側歯, 前側歯)及び2種類の靱帯(第一靱帯, 第二靱帯)の有無について比較した。殻頂期幼生において, 本研究対象種を含みミドリイガイ属(Perna)以外の種では何れの側歯も保持しないが, ミドリイガイ属の種では第一側歯を保持することが明らかになった。また, ヒバリガイ属の初期稚貝は, イガイ科他種と3種類の側歯の有無により識別された。
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