Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
Online ISSN : 2189-7697
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73 巻 , 3-4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 松田 春菜, 浜野 龍夫, 長澤 和也
    原稿種別: 原著
    2015 年 73 巻 3-4 号 p. 115-125
    発行日: 2015/11/19
    公開日: 2016/04/13
    ジャーナル オープンアクセス
    ハナゴウナ科のトクナガヤドリニナHypermastus tokunagaiは宿主であるハスノハカシパンScaphechinus mirabilisの腹面に外部寄生する種であるが,宿主から離れやすく,底質中からも生きた個体が見つかっている。そこで,宿主から離れたトクナガヤドリニナが再び寄生できるかを野外実験で確かめるとともに,どのようにして宿主を探索・認識するのかを室内実験で検討した。まず,寄生されていないハスノハカシパンをケージに入れ,海底で一定期間置いた後に取り上げたところ,成体のトクナガヤドリニナが見出され,底質中にいたトクナガヤドリニナが宿主を見つけ出して寄生できることが確かめられた。明暗の選択性実験では,トクナガヤドリニナは明るい領域を有意に好み,白黒の選択性実験では有意に白い領域を好む傾向を示した。白黒の境目では頻繁に留まる様子が観察されたことから,明るい環境下で白黒のコントラストを感知する可能性が高いことが示唆された。一方で,底質上にカシパンに見立てた黒色板を置くと潜砂して暗い領域に集まる個体が多く観察され,黒色板からカシパンの化学物質を溶出させた条件では有意に集まる傾向を示した。ハスノハカシパンの化学刺激だけで宿主を見出すことはできなかったことから,宿主を見出し,近づくプロセスの中で視覚の果たす役割があると推察された。宿主特異性を有するトクナガヤドリニナにおいて,化学刺激や接触刺激の存在が最終的に宿主に寄生する上での決めてとなる可能性が考えられる。
  • 近藤 美麻, 伊藤 健吾, 千家 正照
    原稿種別: 原著
    2015 年 73 巻 3-4 号 p. 127-136
    発行日: 2015/11/19
    公開日: 2016/04/13
    ジャーナル オープンアクセス
    フネドブガイ幼生の宿主適合性を調べるため,4科12分類群の魚類(スナヤツメ,ギンブナ,タイリクバラタナゴ,オイカワ,ヌマムツ,モツゴ,タモロコ,ゼゼラ,カマツカ,ドジョウ,シマドジョウ類,カワヨシノボリ)を対象として寄生実験を行なった。その結果,変態した稚貝が得られたのは12種中9種であり,タイリクバラタナゴ,ギンブナおよびドジョウからは稚貝は得られなかった。寄生幼生のうち稚貝へ変態した個体の割合が最も高かったのはヌマムツで30.3%,次いでカワヨシノボリが23.5%,シマドジョウ類が16.8%,モツゴが13.6%,オイカワが11.9%,スナヤツメが4.4%,ゼゼラが2.8%,タモロコが2.1%,カマツカが0.7%であった。既往知見で知られているフネドブガイの宿主魚種はヨシノボリ類のみであることから,本実験により新たに9魚種がフネドブガイの宿主としての適性をもつことが明らかになった。
  • 三浦 一輝, 藤岡 正博
    原稿種別: 原著
    2015 年 73 巻 3-4 号 p. 137-150
    発行日: 2015/11/19
    公開日: 2016/04/13
    ジャーナル オープンアクセス
    We investigated the occurrence of unionid bivalves during the non-irrigation season of 2013 at 132 locations in two agricultural channels in Kawajima Town, Saitama Prefecture, where a small number of the alien species Lanceolaria grayana(Lea, 1834)was first found in 2005. We found a total of 255 individuals at 56 locations widely distributed throughout the channels. Generalized linear models revealed that the density of L. grayana depends mostly on water depth and to a lesser extent on substrate type, but not on substrate compaction, current velocity, vegetation cover ratio, electrical conductivity, or dissolved oxygen. We found three native unionid species(Pronodularia japanensis, Unio douglasiae nipponensis, and Anodonta sp.), densities of which were much lower than that of L. grayana. Further studies are needed to address to what extent L. grayana has spread to surrounding areas and its impact on native unionid species.
  • 伊藤 寿茂, 横大路 美帆, 飯土用 柊子, 落合 博之, 長利 洋, 柿野 亘
    原稿種別: 原著
    2015 年 73 巻 3-4 号 p. 151-161
    発行日: 2015/11/19
    公開日: 2016/04/13
    ジャーナル オープンアクセス
    The host species for the glochidia of the freshwater unionid mussels, Hyriopsis schlegeli, Inversiunio jokohamensis and Sinanodonta spp. were identified by determining whether these glochidia had infected the following fish taxa collected from Lake Anenuma in Aomori Prefecture, Tohoku area, Japan: Carassius cuvieri, Carassius sp., Acheilognathus melanogaster, Rhodeus ocellatus ocellatus, Tribolodon hakonensis, Pseudorasbora parva, Misgurnus anguillicaudatus, Silurus asotus, Hypomesus nipponensis, Pungitius sp. 1, Tridentiger brevispinis, Rhinogobius spp. and Gymnogobius castaneus. The fishes were kept in tanks for 2-8 days, and the numbers of glochidia and metamorphosed juveniles detached from the hosts were counted. Living juveniles of H. schlegeli detached from the bodies of S. asotus, Trid. brevispinis, and G. castaneus. Living juveniles of I. jokohamensis detached from the bodies of Trib. hakonensis, Trid. brevispinis, and G. castaneus. Living juveniles of Sinanodonta spp. detached from the bodies of only G. castaneus. These fishes were identified as suitable new host species for the glochidia of H. schlegeli, I. jokohamensis and Sinanodonta spp. in Lake Anenuma.
短報
  • 長谷川 和範
    原稿種別: 短報
    2015 年 73 巻 3-4 号 p. 163-167
    発行日: 2015/11/19
    公開日: 2016/04/13
    ジャーナル オープンアクセス
    Seila yokoyamai Cossmann, 1923はCerithiopsis trisulcatus Yokoyama, 1922に対する置換名として提唱され,その後今日まで一貫してヨコヤマケシカニモリの有効な学名として使用されてきた。Cossmann (1923)は,置換名を与えた根拠として,「(属位変更の結果新たな組み合わせとなる)Seila trisulcataはパリ盆地産の同名の名義タクソンに先取される」と記しているが,関連する文献を精査した結果,この名前はDeshayesコレクションの中の標本ラベルに用いられただけで,印刷物では扱われていないことが判明した。従って,動物国際命名規約(ICZN)の条11.5(学名が提唱された時点で有効として使用されていること)に当てはまらない。すなわち,ICZN条59.3(1961年よりも前に置換されたがもはや同属だとは考えられていない二次同名)の要件を満たさないことから,Cerithiopsis trisulcatus Yokoyama, 1922の無効性が取り消される。さらに,置換名Seila yokoyamaiは現在ではより一般的に用いられているものの,ICZN条23.9(優先権の逆転)の前提条件「古参異名が1899年よりも後に有効名として使用されていなこと」を満たさないことから,優先権の逆転もあり得ない。従って,ヨコヤマケシカニモリの学名はCerithiopsis trisulcatus Yokoyama, 1922に変更されることになる。ヨコヤマケシカニモリは元々更新統瀬又層の化石種として提唱された名義タクソンであるが,その後関東各地の更新統のみならず,現生からも報告されている。現生では,太平洋では房総半島以南,日本海では佐渡以南,九州までの,水深150 m前後の潮下帯から知られている。属位について,Cossmann (1923)以来,今日までの主要な文献ではSeila A. Adams, 1861,あるいはその亜属とされるNotoseila Finlay, 1927に含められていたが,この度原殻や水管溝などの貝殻の形態を詳しく検討した結果,Cerithiella Verrill, 1882に所属を変更するのが適当であると判断した。
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