膿皮症および外耳炎由来菌に対する脂肪酸の抗菌効果を検討した。供試菌は膿皮症に罹患したイヌの膿疱および外耳炎に罹患したイヌの耳垢から分離し使用した。脂肪酸はカプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)を供試した。各希釈濃度の脂肪酸乳化液に菌を接種し、37°Cで24時間培養した後、各種寒天培地に植菌し、生育の有無から最少阻止濃度(MIC)を決定した。その結果、膿皮症由来菌に対する脂肪酸のMICはC8:0で0.16%、C10:0で0.32%、C12:0で0.16%、C18:2で0.32%となったが、C14:0、C16:0、C18:0、C18:1では0.32%以下の濃度では抗菌効果を示さなかった。外耳炎由来菌に対する脂肪酸のMICはC8:0で0.005%、C10:0で0.01%、C12:0で0.04%、C14:0で0.08%、C18:2で0.01%となった。C16:0、C18:0、C18:1では0.32%以下の濃度では抗菌効果を示さなかった。以上の結果から、脂肪酸が膿皮症や外耳炎の治療に効果的である可能性が本研究から強く示唆された。
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