家庭犬の腫瘍の早期発見を促進するために、2013年度岐阜県犬腫瘍登録データ698例を用いて解析を行った。発見経緯を、健診、他疾患の診察中、飼い主に分類し、(1) 腫瘍発生部位と臨床ステージ、(2) 被毛の長さ、(3) 良性/悪性腫瘍、(4) 性別、(5) 体格について、χ
2 検定により発見経緯と各項目間の有意差検定を行った。腫瘍は飼い主により発見される確率が高かった。腫瘍発生部位では、他疾患の診察中が健診および飼い主よりも体表腫瘍に対して高率に体腔内腫瘍を発見した(p <0.01)。また、飼い主の発見した悪性腫瘍では、臨床ステージIとII、IとIIIの間で体表腫瘍に対して高率に体腔内腫瘍を発見した(p <0.05)。被毛の長さ、体表腫瘍と発見経緯では、健診よりも飼い主の方が短毛に対して長毛犬種の発見確率が高かった(p <0.05)。今後は、飼い主へのがん情報の具体的アドバイスやがんマーカーの開発によって早期発見の向上が期待される。
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