敬心・研究ジャーナル
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  • 職業-地域的社会化の観点から
    植上 一希
    2025 年9 巻2 号 p. 1-12
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    職業的社会化を通した地域的社会化の観点からみた地方圏における専門学校教育の意義とは何か。この問いにアプローチするために、本論では、職業-地域的社会化の観点を設定し、その観点から長野県の4つの専門学校の教育を検討した。その結果、地方圏における専門学校は、職業教育を通して、職業-地域社会のメンバーを育成し、それらのメンバーを職業-地域社会に受け入れさせる土壌を形成している、ことを示すことができた。その実態や意義がとらえられることがなかった地方圏における専門学校教育の意義を、職業-地域的社会化の観点から描き出したことに、本論の学術的な意義がある。また、専門学校教育を把握する際のとらえ方として、職業-地域的社会化という観点が有効であることを示すことができたことも、本論の意義である。

  • 水田 真理
    2025 年9 巻2 号 p. 13-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本研究は専門学校の設置主体による経営行動と専門学校の分野的・地域的な多様性の関係を明らかにすることを目的としている。専門学校の特徴は多様性としてまとめられているが、多様性の時代的・地域的差異や発生メカニズムについての議論はなされてこなかった。そこで専門学校の設置主体による経営行動が多様性に影響しているという仮説を基に、経営行動を設置と廃止及び同一法人による展開と定義し、分析を行った。その結果、専門学校は制度開始以降、継続して設置と廃止を繰り返していた。またそれらの傾向は時期別、地域別に異なっており、その結果として分野の多様性に地域差が生じていた。また、展開は年々増加しており、特に商業実務分野及び文化・教養分野で展開比率が高いことが明らかになった。さらに、展開比率は多様な分野が設置されている地域で高くなっていることから、専門学校の展開比率が高い地域ほど分野の多様性が高まっていると結論付けた。

  • 太原 靖一郎, 小村 有紀
    2025 年9 巻2 号 p. 24-33
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本研究は、外国人介護留学生7名を対象に、来日初期段階における社会関係資本の形成状況についての予備的研究である。日本では、介護人材不足が予測され、外国人介護留学生の受入れが急増しているが、彼らの社会的ネットワーク形成に関する実証研究は限定的である。介護留学生7名を対象に、質問紙調査とインタビューで、日本と母国における社会関係資本をネットワーク、信頼、互酬性規範、資源アクセスの4次元から分析した。結果として、日本での友人形成は多国籍な外国人留学生との交流が中心で、日本人との関係構築は進んでいなかった。信頼は母国の家族に偏重し、互酬性規範では学校・職場の先生への期待が最も高く、専門職への資源アクセスは制限されていた。来日初期の介護留学生は、制度的支援への集中と地域住民としての役割の希薄化という課題に直面しており、学校・教師への信頼を起点として、段階的に地域住民との関係構築へと展開する支援策が必要である。

  • パターン化させた暗記対策が及ぼす効果
    細野 真代, 三村 美緒
    2025 年9 巻2 号 p. 34-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本研究は、増加する外国人介護人材の専門性向上を目的とし、留学生の介護福祉士国家試験合格率の低迷という課題に取り組むものである。特に、日本語能力試験N2未取得者を中心とした留学生に対し、短期間で効果が期待できる暗記中心の学習支援プログラムを設計・実施し、その有効性を検証した。対象は、本校の留学生のうち模擬試験で特定の基準に満たなかった者である。2024年10月から4ヶ月間、アクティブリコールやプロテジェ効果などの学習科学の知見を取り入れた補足授業を実施した。その結果、参加者の国家試験平均点は模擬試験から16点上昇し、半数近くが合格に至った。アンケート調査からは、学生主体の能動的な学習(アウトプット)や、定着度を確認する小テストが学習効果とモチベーション維持に寄与したことが示唆された。本研究の結果は、留学生の日本語レベルのみを問題とするのではなく、個々の学習状況に合わせた科学的根拠に基づく指導法を導入することが、合格率向上に不可欠であることを示している。

  • 大学学園祭企画にて実施した肩こり予防・改善プログラムの実践報告
    包國 友幸
    2025 年9 巻2 号 p. 49-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    促通を用いて即座に身体を動かしやすくするなどの効果(即時効果)を実感することができる運動プログラムは1997年に開発された。本研究は2024年11月のA大学学園祭においての実践報告であり、目的はその運動プログラムの効果を検証することである。対象者はA大学学園祭肩こり予防・改善講座参加者の中から調査用紙の提出のあった男性22名、女性18名であった。質問紙による調査項目とその結果を以下に示した。(1)NRS調査では腰に対する主観的な感覚が運動後に有意に改善した(p<0.01)、(2)対象者の年齢区分では50歳代が最も多く続いて40歳代であった。(3)運動後の肩の感覚については「とてもすっきりした」が77%、「ややすっきりした」が23%、(4)講座を受講してどのように感じたかでは「大変良い」が75%、「良い」が25%、(5)自由記述では肯定的内容がほとんどであった。

  • 逸脱・周縁・変容の教育空間へ
    古谷 淳
    2025 年9 巻2 号 p. 57-65
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本評論は、保育者養成制度において「ふさわしくない」とされる学生の存在に着目し、制度が前提とする「適性」や「保育者らしさ」の構築性を批判的に検討する。学生の語りや経験に現れる「できなさ」「揺らぎ」「語れなさ」などは、しばしば制度的評価においてマイナスとされ、矯正や排除の対象とされてきた。だがそれらは、制度が想定していない感情や倫理、関係性を開く契機でもある。本評論では、制度の外側に現れるこれらの経験を、教育的失敗ではなく、生成と変容の可能性と捉え直す視座を提示する。評価や実習制度、カリキュラムに内在する統治装置を批判的に読み解きつつ、ドゥルーズ=ガタリの「生成」概念を基盤に、「逸脱」から出発する保育士養成の思想的枠組を構想する。

  • 川廷 宗之
    2025 年9 巻2 号 p. 66-75
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    現代日本の高等教育における最大の問題点は「シラバス」の軽視である。教員は、授業と言う学習支援において、生活体験⇔暗黙知⇔形式知の相互展開の行い方を学ぶという原点を踏まえる必要がある。さらに、学習支援を、学生中心の学習コミュニティを通じて行うことで、学習効果を高めなければならない。この様な学習支援には、多くの要素を踏まえた授業設計が必要である。シラバスはその授業設計を踏まえ、学生にその授業を受講することのメリット、学習の楽しさ、有効性、及びそのための自己学習の課題などを提示する必要がある。

  • 吉田 直哉
    2025 年9 巻2 号 p. 76-84
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本稿では、現象学的保育研究を展開してきた論者の代表格のひとりとして、教育学者中田基昭の保育論を取り上げ検討する。中田の保育論は、育児論・親子関係論と重なり合いながら、2000年代の半ばから陸続と刊行され今日に到る。中田の保育論、特に実践解釈を読み解き、そこにおける自他関係の描き出され方を明らかにする。中田の子ども理解論は、子ども-保育者の関係論と一体のものとして構築されており、子ども理解は、単に子どもの内面理解に留まらず、子ども-保育者の関係性そのものへの省察的理解として、保育者自身に対する再帰的問いを不可避に生じさせるものとして提示されていることにおいて特徴的である。そして、その関係性把握において、〈身体〉による共鳴性に焦点が当てられている。

  • オートエスノグラフィーが破壊する知の制度
    古谷 淳
    2025 年9 巻2 号 p. 85-93
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本研究は、オートエスノグラフィー(AE)が質的研究として制度化される現状に対し、方法論的・理論的・倫理的・制度的観点からの包括的な批判を試みる。AEは「語りの正義」や「周縁の声の可視化」を掲げるが、その過程で科学的知識に求められる基準―方法の透明性、理論的抽象、反証可能性、他者との対話、制度内評価―を構造的に回避している。本研究は、AEがいかにして批判不能性と評価不能性を制度的に内在化し、質的研究の基盤を掘り崩しているかを、哲学・社会科学・科学論の理論を援用しながら論証する。そのうえで、AEの語りを表現として尊重しつつも、学術的知識としての「研究」とは区別されるべきであると結論づける。

  • 吉田 直哉, 豊田 真知
    2025 年9 巻2 号 p. 94-98
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本稿は、英国教育水準局(Ofsted:オフステッド)が編集・刊行した、保育施設に対する査察の手引きの全訳である。本手引は、保育施設事業者に対するのみならず、施設に子どもを通園させている保護者に対して、オフステッドによる査察の概要を、簡明に解説している。オフステッドは、英国において1992年に成立した学校監査法に基づいて設置された学校に対する第三者評価機関である。英国においては、統一的な基準と方法による査察を、教育関連の政府機関が実施することによって、保育サービスの提供が、就学前教育の一環として位置づけられたことが明確となっている。査察報告がインターネット上で公開されることによって、親を初めとする国民への説明責任(アカウンタビリティ)が保障されている。

  • 実習園のアンケートを通して
    水引 貴子, 馬場 千晶
    2025 年9 巻2 号 p. 99-105
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    本稿では、幼稚園教育実習における実習園へのアンケート調査を通して、幼稚園教育実習の望ましい時期を明らかにしようと試みた。1年次では11月、6月、10月に希望が集中し、2年次では6月、10月、9月に集中した。KJ法により理由をカテゴリー化してみると、園の行事が少ないことや子どもたちが落ち着いているなどの「園の都合」と、十分な実習前指導を期待していることや実習での経験の期待、就職活動を意識している「学生への配慮」の大きく二つに分かれた。さらに希望月と理由をクロス集計してみると、希望が集中していた6月は「園の都合」が大きく影響していたが、同じく希望の多い11月は「学生への配慮」も影響していることがみられ、その内実が異なることが明らかになった。

  • 笹本 良行
    2025 年9 巻2 号 p. 106-110
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー

    現在、日本において、労働を巡る社会状況は大きく動いている。厚生労働省はそもそも労働者とはいかなるものかという、労働法制における「労働者性」の判断基準へも大きく踏み込み始めている。働くということはいかなる意味を持つか。経営学の視座からみた人事管理を考えたい。とりわけ、来年には、日本経営学会創立100周年を迎える節目の時期にあたり、あらためて、経営学における人事管理の在り方が歴史的転換点を迎えていると考える。まず、近時の重要判例として、社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会事件(最高裁判所2024年4月26日第二小法廷判決)を取り上げ、裁判所の判断を分析する。そして、経営学における人事管理の学説を紐解く。とくに、昨年お亡くなりになった加護野忠男氏を中心とした神戸大学における日本企業研究は、今後の日本社会においても重要と考える。

  • 2025 年9 巻2 号 p. 111-127
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/16
    ジャーナル フリー
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