本研究は、他者と関わる際にストレスを感じるような場面(以下、対人ストレス場面)のシナリオを用いて、ストレス対処のために産出された具体的なユーモアについてボトムアップ的に分類することを目的とした。大学生396名を対象に、対人ストレス場面を提示し、自身がおもしろおかしく過ごすためにどう考えるかを自由記述で尋ねた。得られた回答についてKJ法を参考に分類した結果、大きく5つのカテゴリーにまとめられた。5つとは、他者を積極的に楽しませようとする「遊戯的ユーモア対処」、相手からの行動を引き出して場を和ませようとする「受動的ユーモア対処」、自らの欠点をさらそうとする「自虐的ユーモア対処」、皮肉やからかいなどの他者に対する攻撃性を含むような「攻撃的ユーモア対処」、話の内容を先読みするなど自分で楽しみを見出すような「自己中心的ユーモア対処」であった。人は場面によってユーモアを使い分けて対処していること、得られたユーモア対処のカテゴリーは、理論的に提唱されたMartin et al.(2003)のユーモアの機能的分類と類似していることも明らかとなった。
「16歳未満者(の鑑賞)は制限されるべき」という意味で、映画のタイトルの横などに“R-16”(restricted under 16)と、表記されているのをご覧になったことがあるだろう。「未満」があるなら「以上」もあるのか。あるいは英語の16(six-teen)と60(sixty)は発音が似ていることから、R-60(還暦未満お断り)もありそうだが、その場合は、どのような内容を指すのだろう、と近頃考えていた。しかしこうして、要旨の文字の半数近くを、今回“R-65(シニア未満お断り)のユーモア”を取り上げた経緯を説明するためだけに、費やしてしまった。このまま終わっては「要旨」の覧に、いやらしく「告知」をしたことにもなりかねない。そうならないために、どうか皆様には、この続きを読み進めて頂きたい。本編では、シニアに特有の笑い(従来の定番)として、容姿・病症・物忘れ。笑うに笑えない笑い(危険ユーモア)として、駄洒落・下ネタ・皮肉。そして注目すべき上昇株として、言い間違い・聞き間違い・書き間違いの笑いについて、紹介しつつ探究している。