人工草地において, しばしば優占雑草となる大型雑草, ヒメジョオン, ヨモギおよびエゾノギシギシの刈取りに対する反応について比較検討した。
1) 孤立個体の反応
ヒメジョオンは, 刈り取られても直ちに分枝を出し, その先端に花芽を形成した。刈り取られた場合は, 無処理に比べて生育期間が延びた。刈取りによる障害は開花直後の7月1回刈区で顕著であった。
ヨモギは, 刈取りによって分枝を出すが, 蕾を形成するに至らなかった。また刈取りにより地下茎の先端が上向し, 出芽がみられた。
2) 採草地内での消長
採草地内では, 刈取り要因のほか, その再生過程における牧草との種間相互作用が大きく影響を及ぼした。
ヒメジョオンは, ある程度刈り取ることによってその個体が維持されるが, 刈取りが少ないか無刈取りの場合減少した。刈り取らない場合, イネ科牧草が過繁茂状態となるため, その生育が著しく抑えられた。
ヨモギは, 刈取りが少ないか無刈取りの場合のみ優占してきた。ヨモギは, 一度生育空間を占有してしまうと他種との競争に強い。刈り取られた場合, イネ科牧草などに比較して上方への再生長が遅く, しかも牧草によってその再生長はさらに抑えられた。
エゾノギシギシは, 従来から言われているとおり, 2~8回程度の刈取りではその防除が困難であることが確かめられた。
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