雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
25 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • I. ヒガンバナの繁殖に関する調査
    高橋 道彦
    1980 年 25 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本報告は, 四国地方におけるヒガンバナの生態を鱗茎の生体重, 乾物重および形態を中心に調査したものである。またその自生地における雑草発生の実態を実験的に検討した。そのほか, 救荒食糧としての利用法が自生地拡大に及ぼした影響を調べた。
    1) 四国地方におけるヒガンバナの鱗茎1個平均の生体重は14~15gであり, 400cm2当たりの鱗茎個数は31~55個である。鱗茎は群を作って自生し, 円形または楕円形状を呈する。その大きさは30cm×30cmあるいは50cm×50cm内外である。鱗茎群当たりの平均鱗茎個数は約150で, 鱗茎群が近接して集団を形成する。
    2) 香川県下の山間部と平坦部・河川流域の自生地間では, 鱗茎重には変動があるが, 組織粉末比重は0.05tで有意差は認められない。
    3) ヒガンバナの自生地で, 秋より翌春にかけて雑草の発生が顕著に少ないことが, 同一環境条件の実験で確かめられた。
    4) 救荒食糧としての利用の際, 鱗茎下部を切り捨てることが, 新しい自生地拡大の要因となる可能性が推論された。
  • II. 畦畔における鼠害予防効果に関する実験
    高橋 道彦
    1980 年 25 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本報告は, ヒガンバナの鼠害予防効果に関する文献的記述を, 実験によって検討したものである。鱗茎中に含まれるアルカロイドはマウスの忌避作用を促すことが, 鱗茎の生抽出液の強制的投与, 鱗茎を混入した土壁穿孔実験および鱗茎の生抽出液を土壌表面に処理した場所におけるマウスの行動観察から認められた。また, 花茎内にもアルカロイドを含み, マウスに対し鱗茎同様の作用をもつことが認められた。したがって, 間接的ではあるが, 鼠害の予防に緩慢な効果があると推察される。
  • 第1報 密度がメヒシバ, スベリヒユの生育と種子生産構造に及ぼす影響
    寺澤 輝雄, 浅野 紘臣, 広瀬 昌平
    1980 年 25 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    雑草の環境適応のメカニズムを明らかにする一環として, 本実験ではメヒシバ, スベリヒユを供試し, 密度条件の差異がこれら2草種の生育と種子生産構造に及ぼす影響を調べた。密度条件はa/2,000ワグネルポットにメヒシバで5, 20, 50および100個体, スベリヒユで5, 20, 45および65個体のそれぞれ4条件とした。
    1) 密度の増加によってスベリヒユは栄養生長期, 成熟期を通して, 10%前後の枯死個体が認められたが, メヒシバでは全く認められなかった。
    2) 2草種とも, 個体当たりの生長量は密度の増加に伴って減少し, 最高・最低密度間の差異は栄養生長期より成熟期で増大した。
    3) 種子生産量およびその構成要素のうち個体当たりの穂数 (メヒシバ) あるいははがい果数 (スベリヒユ), 種子重, 種子粒数は密度の増加に伴って減少したが, 1穂あるいは1がい果当たりの種子粒数, 種子重はメヒシバでは20個体区, スベリヒユは5個体区に最高値があった。
    4) 各形質の表現型可変性の変異を密度に対する回帰係数によって比較したが, スベリヒユがメヒシバに比較して表現型可変性が大であった。
    5) 2草種の再生産効率を求めたが, メヒシバがスベリヒユに比較して高く, スベリヒユで密度の増加によって減少する傾向が認められた。
    6) 2草種の生長量について各密度区内の個体変動を調査したが, 密度の増加に従い個体変動は増大する傾向が認められた。
    7) メヒシバは密度の増加に対し, 区内の個体変動は少なく, 平均的な個体と個体数を確保し, 一方, スベリヒユは個体間の競合によって生き残った個体の再生産力によって, それぞれ単位面積当たりほぼ一定の生産を維持しているのが認められた。
  • 第3報 秋田県・山形県における雑草群落区分
    酒井 博, 佐藤 徳雄, 奥田 重俊, 秋山 侃
    1980 年 25 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    秋田県・山形県の牧草地においては, エゾノギシギシ・ヒメスイバ・オオバコ・ススキ・ヒメムカシヨモギ・アキタブキ・イヌタデなどの雑草の常在度が高い。
    秋田県・山形県における牧草地の雑草群落は以下の型に区分される。
    I. イヌビユ群落 (区分種-イヌビユ・アキノエノコログサ)
    1. アオゲイトウ群 (区分種-アキゲイトウ・ツユクサ・スベリヒユ・ミチヤナギ・シロザ・ハコベ)
    2. ヒメスイバ群 (区分種-ヒメスイバ・オオバコ)
    II. ミノボロスゲ群落 (区分種-ミノボロスゲ・ヤナギタデ・イグサ)
    3. 典型群
    4. アブラガヤ群 (区分種-アブラガヤ・クサイ)
    III. エゾノギシギシ群落 (区分種-エゾノギシギシ)
    5. 典型群
    6. オオバコ群 (区分種-オオバコ・スズメノカタビラ・オオヨモギ)
    7. ヒメムカシヨモギ群 (区分種-ヒメムカシヨモギ)
    8. ワラビ群 (区分種-ワラビ)
    IV. ヒメスイバ群落 (区分種-ヒメスイバ・ヘラオオバコ・ハルガヤ・ブタナ)
    9. エゾノギシギシ群 (区分種エゾノギシギシ)
    10. 典型群
    11. チチコグサ群 (区分種-チチコグサ)
    12. アキタブキ群 (区分種-アキタブキ)
    13. ギンゴケ群 (区分種-ギンゴケ)
    V. アキタブキ群落 (区分種-アキタブキ・イワアカバナ)
    VI. ギンゴケ-ハイゴケ群落 (区分種-ギンゴケ・ハイゴケ)
    VII. ヒメムカシヨモギ群落 (区分種-ヒメムカシヨモギ)
    VIII. ススキ群落 (区分種-ススキ)
  • 第4報 秋田県・山形県における雑草群落の動態
    酒井 博, 佐藤 徳雄, 奥田 重俊, 秋山 侃
    1980 年 25 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    前報において, 秋田県・山形県における牧草地の雑草群落の区分を行ったが, 本報ではその動態について考察した。
    1) 牧草地の雑草群落の動態は, 土壌水分条件と草地の遷移状態を両軸にしてまとめられた。
    2) 遷移の進行方向は, 中性立地では, イヌビユ群落→エゾノギシギシ群落→ヒメスイバ群落→ススキ群落であり, 乾性立地では, ギンゴケ-ハイゴケ群落→ヒメムカシヨモギ群落→アキタブキ群落→ススキ群落であり, 湿性立地では, ミノボロスゲ群落典型群→アブラガヤ群である。
    3) 各種雑草群落について, P-A指数, 生活型の面から考察し, その関係を明らかにした。
  • 柳沼 泰衛, 河田 明芳
    1980 年 25 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現地において, 生産性はもとより, 管理上問題となっている桑園内のササに対し,茎葉吸収移行型の除草剤グリフォセートによる防除効果を検討した。
    その結果, アズマザサに対し, グリフォセート剤の20~40倍希釈液40l/10aの葉面処理で地下部までの枯殺効果が顕著に認められた。処理時期は盛夏期および初冬期いずれでもその効果は安定していた。
    一方, 本剤の畦間処理では, クワによる根からの吸収害はなかった。
    したがって, 桑園内のアズマザサの薬剤防除にはグリフォセート剤が有効な除草剤であろうと考えられる。なお, 本剤は非選択性除草剤であるので, 使用にあたってはクワにかからないように注意して散布する必要がある。
  • 沖井 三孔, 寺西 正行, 松隈 征夫, 近内 誠登, 竹松 哲夫
    1980 年 25 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    除草活性物質N-置換フェニルカルバモイルβ-アラニン誘導体[N-alkyl-N-(substituted phenylcarbamoyl)β-alanines (Str. 1)およびこれの脱水閉環体である1-alkyl-3-(substituted phenyl) dihydrouracils (Str. 2)] の除草活性を検定した。除草活性値 [pI50(s), pI50(f), log%(F), log%(T)] を疎水性因子 (log P) と対応させたとき高い関連性が認められた。そこで, log Pを説明変数としてFUJITA-HANSCH法による定量的構造活性相関の解析を行った。
    (1) N-Alkyl-N-(3,4-dichlorophenylcarbamoyl)β-alanine methyl esters (Str. 1-1) の除草活性値はすべてlog Pの二次式に高度な有意性をもって回帰された。また, 最適log Pは3.2~3.4の範囲にあり, alkyl基が iso-propyl 基で最大の活性を示した。これに対し, N-alkyl-N-(4-chloropenylcarbamoyl)β-alanine methyl esters (Str. 1-2) および1-alkyl-3-(4-chlorophenyl) dihydrouracils (Str. 2-1) ではポット試験結果のみが二次式様になり, シャーレ試験結果は一次式に回帰された。
    (2) ベンゼン環置換については3,4-diCl置換体で最も大きな活性を示した。また, 1-methyl-3-(substituted phenyl) dihydrouracils (Str. 2-2) でのベンゼン環の置換基効果はN-methyl-N-(substituted phenylcarbamoyl)β-alanines (Str. 1-4) およびこれの methyl esters (Str. 1-3) の置換基効果よりも大きく発現した。
    (3) 閉環前 (Str. 1-3, Str. 1-4) と閉環後 (Str. 2-2) の化合物間には高い相関性が認められ, これらの活性順位は疎水性の順位と一致した。
    (4) 閉環前 (Str. 1-1, Str. 1-3) および閉環後 (Str. 2-1, Str. 2-2) の両系統化合物において, ポット試験結果とシャーレ試験結果との間に高い相関性が認められた。
    (5) 最適化の結果, 3-(3,4-dichlorophenyl)-1-iso-propyl dihydrouracil がより高い活性を示すものと推定された。
  • 駒井 功一郎, 植木 邦和
    1980 年 25 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1) ハマスゲによるアレロパシー原因物質を検討するため, 塊茎のメタノール抽出物を分画して, F.1: 精油成分, F.2: 中性画分, F.3: フェノール成分画分, F.4: 酸性画分, F.5: 酢酸エチル可溶性画分, F.6: フラバノール型タンニン画分の6画分を得た。なお, F.5とF.6は塩酸-ブタノール反応が強陽性であるところから, ロイコアントシアンが主成分であると考えた。
    2) これら6画分のうち, F.1とF.6はレタス, ホワイトクローバに対する種子発芽ならびに幼苗の胚軸伸長を阻害した。また, この画分は, メヒシバ, エゾノギシギシ, レタスおよびホワイトクローバの生長に対して400ppm~600ppmで抑制活性を示したが, エゾノギシギシは感受性で, 100ppmで抑制を示した。さらに両画分は, ハマスゲの生長を抑制し, 塊茎形成を阻害した。
    3) 精油成分のハマスゲ生体内での分布は塊茎, 地下茎, 根部に比較して地上部茎葉組織では低かった。また, 生育に伴って親塊茎の精油含量は徐々に減少するが, 形成途中の塊茎は成熟化とともに漸増傾向を示した。また根部では発芽後45日程度までは著しい増大を示すが, それ以後は減少傾向にあった。
    4) ハマスゲ生育土壌の水蒸気蒸留物中にはハマスゲ精油組成の cyperene,β-selinene,β-elemene, caryophyllene,α-humulene, cyperene およびα-cyperone の7成分のセスキテルペンが検出された。また, これらの成分のうち含酸素テルペンである cyperenone とα-cyperone は, 栽植150日の土壌中においても一定した傾向で検出されることを認めた。
  • 1980 年 25 巻 1 号 p. 48-62
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 植木 邦和, 百武 博, 小林 勝一郎, 高林 実
    1980 年 25 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top