雑草研究
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27 巻, 1 号
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  • 野田 健兒
    1982 年 27 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    en-abstract=A series of researches on ecology and control of weeds in paddy in the warmer regions of Japan has been performed at Kyushu Agricultural Experiment Station, MAFF for the purpose of obtaining basic information so as to establish the economic and effective technology of weed control in paddy since around 1960.
    Studies can be generally divided in several subjects. Brief content of each subject would be introduced as follows:
    1. A study of physiological and ecological characteristics of principal weeds in paddy.
    Taking up annual principal weeds in paddy, investigation and analysis of emergence pattern of seeds on six weed species, for example, a relation between emergence depth into soils and natures of seeds and/or seedling, and observation and discussion on anatomical and morphological features of leaf-blade of main weeds with reference to control have been made. Further, studies on ecology and control of some specific perennial weeds; Sagittaria pygmaea, Paspalum distichum and so on, have been conducted during the later period of this studies.
    2. A study of competitive effects and yield losses due to barnyardgrass on rice.
    Co-existence of barnyardgrass with rice gave yield losses on rice, and then ecological and physiological aspects of yield losses were observed and discussed. For example, a regression of the logarithm of rice yield as percent of weed free rice against barnyardgrass dry weight was expressed by a straight line, that is, a relation between rice yield and barnyardgrass weight can be in formula log Y=a-bx (See Figure 4). Further, it was understood that two critical periods of rice exist when barnyardgrass was allowed to compete with rice until harvest. They are an early stage of growing until maximum tillering and an early ripening stage of rice, as shown in Figure 5.
    3. Fundamental studies of weed control technology and herbicide properties in paddy.
    General properties, behaviors into soils and the physiology of several less toxic herbicides to rice have been investigated, as summarized in Table 2. Temperatures and phytotoxicity are particularly interested in Kyushu. The largest phytotoxicity due to high temperatures was found in prometryne and next to MCPCA (MCPA) and PCP. The relation of high temperatures to the phytotoxicity of peometryne on rice was considered as indicated in Figure 6.
    4. Discussion on future challenge of weed control technology in rice.
    Future direction of weed control in paddy has been discussed referring to changeable climatic conditions and socio-agronomic situations. A direction of the technology that is effective and economic but without side-effect should be in integrated one.
    5. Studies of ecology and control of annual winter weeds in drainage lowlands.
    Four principal weed species in winter were taken up to this studies. Particularly, the ecology of cleaver (Galium aparine) was intensivly investigated compared with other weed species, as shown in Table 4. Further, evaluation tests to obtain effective herbicides to control cleaver were conducted. Effective herbicides could be grouped into five as indicated in Table 5.
  • 高橋 健二, 坂井 義春
    1982 年 27 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ミカン園の雑草対策として除草剤を散布した場合, 園内に生息しているミミズが死滅する現象がしばしば発生し, 各地で問題になっているので, その原因を究明するとともに改善策について検討した。
    1) 数種の除草剤をミミズ (セグロミミズ) に直接散布した場合, パラコートでは害作用は全く認められなかったが, DCPA・NAC剤は散布後短時間でミミズを死亡させ, グリホサート, ブロマシルとターバシル・DCMU剤も同様な作用がみられた。
    土壌中のミミズに対して地表面から除草剤を散布すると, DCPA・NAC剤は約半数のミミズを死亡させたが, 他の除草剤ではミミズに対する害作用は全く認められなかった。
    2) 除草剤を散布する時に希釈水に加用する展着剤をミミズに直接散布すると, SWK, ASP-30, Yでは殺ミミズ作用は顕著に現われ, 散布後短時間のうちにミミズは死亡した。土壌中のミミズに地表面からこれらの展着剤を散布した場合には, 殺ミミズ作用は認められなかったが, ミミズが地表面に這い出す現象がみられ, その程度は展着剤の主成分の濃度に比例することが判明した。地表面に這い出したミミズは約半日ぐらいで地中に潜り, 正常な活動に戻るのが認められた。
    3) 以上のような諸結果から, 除草剤の散布園とその周辺で大量のミミズが斃死するといった現象は, 除草剤に加用する展着剤の刺激を受けたミミズが地表面に這い出し, 逃避の過程で日陰の少ない排水路などに集積して, 陽光下で表皮の過乾燥と脱水症状を起こして死亡することに原因があると推測される。なお, 展着剤のミミズに与える刺激は雨天時で小さく, 晴天時に大きく, とくに土壌が湿潤状態にある場合に顕著であった。
    4) AT-BIはミミズに対する害作用が全くみられなかった。この展着剤を除草剤に加用した場合の殺草効果は他の展着剤と同等であったので, 今後は除草剤にはこのような特性をもつ展着剤の加用が望ましいと考える。
  • 森田 弘彦
    1982 年 27 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    水田雑草ミズアオイはコナギと混同される場合があるため, 幼植物の形態的特徴をコナギのそれと比較検討し, あわせて開花期, 種子生産の特性につき調べた。
    1) 子葉の展開から6葉期までのミズアオイの幼植物をコナギのそれと比較した結果, 子葉先端に残る種皮は前者の方が大きいこと, および葉身の最大幅の位置が前者では基部であるのに対して後者では中央から基部1/3にかけてであることを有効な識別点として認めた。
    2) 既往の研究結果を含めて, 日本産ミズアオイ科雑草4種 (ホテイアオイ, アメリカコナギ, コナギ, ミズアオイ) について4葉期頃までの検索表を作成した。
    3) 寒地の水田雑草としての適応性を両種の開花期から検討した結果, ミズアオイは開花後種子の再生産に十分な期間があるが, コナギではこれが短かく, 適応性を十分に獲得していないことが示唆された。
    4) ミズアオイは, 平均で個体あたり1.6本の花茎, 花茎あたり3.8個の〓果, 〓果あたり54.7粒の稔実種子をつけ, 平均的な個体あたり種子生産量は約330粒であった。ただし, 花茎あたり〓果数, 〓果あたり種子数の変動が大きかった。
  • I. 自生集団の穎果の変異
    山口 裕文
    1982 年 27 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    日本各地11ヶ所14集団のカラスムギの穎果の変異を調査した。カラスムギの他に近縁6倍体の A. sterilis subsp. trichophylla とエンバクがみい出された。カラスムギの穎果はその色, 穎果基部の毛の長短, 外穎背部の毛の有無と粗密の程度から8種類に分けられた(Fig. 1)。外穎無毛で基部の毛の短い黄色の穎果と外穎背部に密に毛を付着し基部の毛の短かい褐色の穎果は小さく, 外穎背部に粗から密に毛を付着し基部の毛の長い灰白色から黒色の穎果は大きくなる傾向にあったが, 色, 毛の長短および背部の毛の粗密の個々の形質と穎果の大きさには明瞭な関係はみられなかった。穎果の種類の頻度から求めた多様度と穎果の大きさの汎分散には弱いが相関が観察された (Fig. 2)。単型的な集団では汎分散は小さく, より多型的な集団では汎分散は大きくなる傾向にあった。日本のカラスムギ集団の多様性の維持には移住の効果の大きいことが老察された。
  • 本江 昭夫, 福永 和男
    1982 年 27 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1978年から2年間, 混播草地内に侵入したシバムギとコヌカグサについて窒素水準 (5, 10, 20kg/10a) と刈り取り回数 (2, 4回刈り) を組み合わせて防除の可能性を検討した。また, 1979年には個体植えにした両種について刈り取りに対する反応性を調査した。
    1) 混播草地内のシバムギとコヌカグサの分げつ数は4回刈り区で減少し, 2回刈り区で増加した。
    2) 両種の乾物生産量は4回刈り区で減少し, 2回刈り区で増加した。また, 4回刈り区のイネ科牧草の占める割合は2年目で65~85%まで増加した。
    3) 個体植えにした両種は地上部の刈り取り後も旺盛な生長を示し, 乾物生産量, 分げつ数, 地下茎の全長は指数関数的に増加した。
    4) 混播草地内の両種が4回の刈り取りで減少したのは, イネ科牧草に比べて刈り取り後の再生速度が遅いためと推察された。
  • アハメド サエドアシューラ, 伊藤 操子, 植木 邦和
    1982 年 27 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    2,4-Dジメチルアミン塩, 3.34kg/ha処理及び細断処理後のホテイアオイ (Eichhornia crassipes (Mart.) Solms) の枯死・分解に伴う水質の変化について比較調査した。処理は25l容, 深さ45cmのプラスチックポットに入れたホテイアオイ植物体に対して行い, ポットは分解期間中20~25℃の制御温室に置いた。水のpHは処理前に7及び5に調整した。水質に関する測定は20cm深について, 処理後3日目と処理後2週間置きに18週間行った。
    細断処理では除草剤処理に比べ, 植物体が早期から分解可能な状態におかれたため, 酸素の消耗は速く, アンモニア態窒素, 硝酸態窒素, 可溶性正リン酸, 溶存炭素及びタンニン様物質の増加が著しく, 藻類の発生量も多く, 又pHの上昇も大きい傾向を示した。処理前にpH7に調整した水ではpH5に調整したものに比べ, 水質汚染はより顕著であった。水中の2,4-D残留量は, 処理後10週間で0.1mg/lとなった。
  • 第1報 優占雑草の種類とその分布
    伊藤 操子, 植木 邦和, 坂本 修一
    1982 年 27 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1) 鉄道敷において管理対象となる植生の概要を知るために, 国鉄沿線の問題雑草に関する全国的なアンケート調査を行うとともに, 大阪周辺の線路について優占草種とその分布に影響する人為的要因との関係を調査, 検討した。
    2) アンケート調査において問題雑草として最も回答の多かった種ススキであり, 北海道から鹿児島までほぼ全域でみとめられた。2~3位はイタドリ, クズで山形以南で広く問題視されており, さらにヨモギ属, セイタカアワダチソウ, ササ葉類, ヨシ, スギナも多かった。北海道における種類は本州以南とかなり異っていた。
    3) 大阪周辺についての車窓調査の結果, 発生量の多い大型草本は, ススキ, セイタカアワダチソウ, エノコログサ属, チガヤ及びクズであった。これらの発生量と線路側面の形態, 過去の草管理及び周囲の環境との間には関連性がみとめられた。すなわち, ススキ及びチガヤには市街地化の程度が進んだ地域において減少する傾向が, セイタカアワダチソウ及びクズには逆の傾向がみとめられた。クズは特に広い盛土法面に多かった。エノコログサ属の発生は, 明らかに刈取り下で非常に少く, 除草剤処理部分で多くなる傾向を示した。これに対してセイタカアワダチソウ及びチガヤは除草剤処理部分でやや少なかった。
  • 渡辺 泰, 本間 豊幸, 伊藤 一幸, 宮原 益次
    1982 年 27 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1. 埼玉県吹上町の荒川河川敷の桑園において, パラコートに対し強い抵抗性をもつハルジオン群落をみいだした。
    2. これら抵抗性個体とパラコートの散布歴のない場所から採集した感受性個体を素焼鉢に養成し, パラコートとジクワットを処理した。その結果, 感受性個体はパラコート成分量0.5kg/ha処理で地上部はほぼ枯死したのに対し, 抵抗性個体は2kg/ha処理では無処理区と有意差がない程度の地上部重を維持し, 16kg/ha処理でも完全枯死には至らなかった (Fig. 1)。
    3, パンチで打抜いた葉片ディスクをパラコート溶液に浸して, パラコートの濃度と葉色の退色程度との関係を検討した。その結果, 感受性のものは1ppmで48時間後には葉片面積の4/5程度褐変したが, 抵抗性のものは10ppmでも緑色を失うことがなく, 100ppmで部分的に褐変退色が起った (Fig. 2)。
    以上の2, 3の実験から抵抗性個体を感受性個体と同程度枯殺するためには, 50~100倍のパラコート濃度を必要とするものと推察された。
    4, 昭和56年3月時点では, 当該地域の桑園経営農家は48戸であった。これらを対象としたアンケート調査の結果 (回答数38戸) によれば, パラコート使用開始は8~11年前で当初は年2~3回の散布であったが, 最近では年3~4回散布に増加している。そして, 抵抗性ハルジオンの出現に気づいたのは3~5年前であったと答えているものが76%を占めた (Table 2)。
  • 植木 邦和, 小林 勝一郎, 坂 斉, 高林 実
    1982 年 27 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 1982/05/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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