雑草研究
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27 巻, 4 号
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  • 第5報 栽培条件がスベリヒユ種子の発芽に及ぼす影響
    寺澤 輝雄, 広瀬 昌平, 浅野 紘臣
    1982 年 27 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    栽培条件がスベリヒユ種子の発芽に及ぼす影響について検討した。栽培条件としては土壌水分および遮光処理を用いた。これらの条件下で得られた種子を個体別に採種し, その後7, 28, 100日目に30℃の明, 暗両条件にそれぞれ100粒置床し, 20日目に発芽率を調査した。
    1) 栽培条件としての個体を込みにした場合, 土壌水分による発芽率の差異は明らかではないが, 遮光処理による発芽率の差異が認められた。両処理とも明条件での発芽率が暗条件でのそれに比較して明らかに高い。
    2) 採種後日数の経過にともない発芽率の増加が土壌水分区で認められたが, 遮光区では自然光区を除き明らかではない。
    3) 発芽の個体変異は土壌の過湿条件下で最も大きく,他の3区での個体変異幅は小さくなる。遮光処理では自然光区で個体変異が他区に比べてわずかに大きかった。
    4) 以上のようにスベリヒユにとって一種のストレス条件と考えられる過湿, 自然光条件下で得られた発芽率の個体変異は, 暗条件下で更に増大することが認められた。これらの現象は環境適応としての種子多型現象の発現と考えられた。
  • 第5報 静岡県における牧草地雑草の群落区分とその動態
    酒井 博, 佐藤 徳雄, 奥田 重俊, 秋山 侃
    1982 年 27 巻 4 号 p. 251-258
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    静岡県富士山麓および天城山地の牧草地について雑草調査を行い, 次のような結果がえられた。
    1. 静岡県における牧草地雑草の種類として, イヌタデ・オオバコ・エゾノギシギシ・メヒシバ・イヌビエ・ヘビイチゴの常在度が高い。
    2. 静岡県における牧草地の雑草群落は以下の型に区分された。
    I) スズメノカタビラ群落群 (区分種-スズメノカタビラ・アキメヒシバ・スズメノヒエ)
    (a) ヒメジソ群落 (区分種-ヒメジソ・キンエノコロ)
    (b) ナギナタコウジュ群落 (区分種-ナギナタコウジュ・ミゾソバ)
    (c) イヌビエ群落 (区分種-イヌビエ)
    (d) 典型群落
    (e) エゾノギシギシ群落 (区分種-エゾノギシギシ)
    (f) クサイ群落 (区分種-クサイ)
    (g) イグサ群落 (区分種-イグサ)
    (h) アマギザサ群落 (区分種-アマギザサ)
    II) ウシハコベ群落群 (区分種-ウシハコベ・キンエノコロ・イヌビエ・エノキグサ・テリミノイヌホオズキ)
    (a) ホソアオゲイトウ群落 (区分種-ハキダメギク・ホソアオゲイトウ・キツネノマゴ)
    (b) テリミノイヌホオズキ群落 (区分種-テリミノイヌホオズキ)
    (c) 典型群落
    (d) リードカナリーグラス群落 (区分種-リードカナリーグラス)
    (e) ヘビイチゴ群落 (区分種-ヘビイチゴ)
    (f) ヒメクグ群落 (区分種-ヒメクグ)
    (g) ツボスミレ群落 (区分種-ツボスミレ・ハコベ・ツメクサ・クサイ・イタドリ)
    (h) チカラシバ群落 (区分種-チカラシバ・ユウガギク・ヨモギ)
    (i) ススキ群落 (区分種-ススキ)
    III) オオアレチノギク群落群 (区分種-オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ヤブタビラコ・ヘクソカズラ・キツネノマゴ)
    (a) コブナグサ群落 (区分種-コブナグサ)
    (b) ベニバナボロギク群落 (区分種-ベニバナボロギク・ダンドボロギク・カタバミ)
    (c) ススキ群落 (区分種-ススキ・ニシキウツギ・ヤブマメ)
    3. スズメノカタビラ群落群は海抜800m以上, ウシハコベ群落群は海抜450~850m, オオアレチノギク群落群は海抜450m以下に分布している。
    4. 群落群を構成する各種群落の動態は, 牧草地の遷移系列, 管理状態, 土壌水分条件を軸にしてまとめられた。
  • 第1報 耕うん時期の影響
    坂本 真一, 江藤 博六, 梅木 佳良, 村社 久米夫, 梶本 明
    1982 年 27 巻 4 号 p. 259-263
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1978年から3年間, 水稲早期栽培田の稲刈りあと地を, 毎年, 8月上旬・8月下旬・9月中旬にそれぞれ1回だけ耕うんし, 本田の多年生雑草発生に及ぼす影響を検討した。
    1) 耕うん後, 初年次の水田では, 各耕うん区とも不耕起放任区にくらべて, ホタルイとミズガヤツリの発生量が減少した。ホタルイの減少程度は, 耕うん時期が早い区ほど大きかつた。
    2) 2・3年次のいずれも, 各耕うん区の多年生雑草発生量は, 不耕起放任区にくらべ減少し, 耕うん時期が早い区ほど減少程度が大きかった。8月上旬耕うん区・8月下旬耕うん区では, 年々ウリカワ優占の群落となり, 9月中旬耕うん区では, ホタルイ優占の群落となるなど, 多年生雑草の発生量や群落の遷移は, 耕うん時期によって異なった。
    3) このような耕うん時期による多年生雑草の発生量の差異や群落の遷移は, 主として耕うんに伴う土壌のかくはんによって, 雑草の繁殖器官の形成が抑制されるためと考えられた。また, 雑草の生育や遷移に対しては, 耕うん時期における生育段階や繁殖器官の形成量が, 草種によって異なることが大きく影響した。
    4) 暖地における水稲早期栽培田稲刈りあと地の耕うんは, 早期に行えばホタルイの防除に, 反復すればミズガヤツリの防除に, それぞれ効果的である。しかし, ウリカワに対しては, 耕うんによる効果は低いので, 防除上考慮しなければならない。
  • 第2報 作物の種類及び作畦方法の影響
    坂本 真一, 江藤 博六, 梅木 佳良, 村社 久米夫, 梶本 明
    1982 年 27 巻 4 号 p. 264-271
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1978年から3年間にわたって, 水稲早期栽培の稲刈りあと地に, ダイズ, ソバならびにイタリアンライグラスをそれぞれ適期に作付けし, 後作物の種類のちがいが, 本田の多年生雑草発生に及ぼす影響について検討した。また, 稲刈りあと地のダイズ作を対象にして, 作畦方法による影響についても検討した。
    1) 後作物作付け後, 初年次の本田では, 不耕起放任区にくらべ各後作物区ともホタルイとミズガヤツリの発生が減少した。ホタルイの減少程度は, 作付時期の早い後作物区ほど大きかった。
    2) 3年間, 稲刈りあと地に後作物を作付けした結果, 後作物の種類によって, 本田の多年生雑草発生に差異が認められ, その差異は前報8) の耕うん時期による場合と類似した。
    3) 後作物区における本田の多年生雑草発生が, 耕うんのみを行った場合と異なったのは, ミズガヤツリとマツバイの減少程度が著しいことであった。これは, 後作物の作付けによって畦地表面の日射量が減少し, さらに畦溝周辺部の除草によって雑草の再生育が抑制されたため, 繁殖器官の形成量が減少したことによるものと考えられる。
    4) 後作ダイズの作畦方法による影響は, 高畦区では平畦区よりミズガヤツリ・ウリカワがともに減少する結果となってあらわれた。これは, 高畦区の土壌水分が平畦区にくらべ低下したことによって, 塊茎の形成を抑制するとともに, 既存塊茎の死滅を助長したためと考えられる。
    5) 暖地の水稲早期栽培田では, 稲刈りあと地に作付けする作物の種類やその場合の作畦方法が, 本田の多年生雑草群落の遷移に大きく影響した。暖地における水田雑草防除の合理化を図るためには, これらの耕種的防除手段が積極的に推進されなければならない。
  • 駒井 功一郎, 植木 邦和
    1982 年 27 巻 4 号 p. 272-277
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ハマスゲ地上部を切除した場合のシュートの再生状態と再生に直接関与すると考えられる炭水化物の消長について若干の検討を行った。
    1) 40日間栽植の場合, 13日間隔の2回切除区で塊茎形成は抑制された。また2回切除区では, 親塊茎中のでんぷん量は, 対照区に比較して低レベルにあり, シュート再生にでんぷんが費されていることが認められた。一方, 切除区の還元糖あるいは遊離糖類は, 対照区や休眠塊茎に比べて高レベルにあった。
    2) 120日栽植区では, 24日間隔の4回切除区で, 塊茎形成数, 塊茎個体重などで抑制が認められた。また地下部のでんぷんは切除区で低下する傾向を示し, 4回切除区で顕著であった。しかし本条件下でもなお塊茎形成を阻止することは不可能であった。
    3) 1週間ごとに再生するシュートをすべて切除した場合, 自然条件下では9回切除後もなおシュートの再生は認められ, その上塊茎の形成が確認された。しかし, 遮光条件下では7回切除以後で, また暗条件下の場合は3回切除以後で, それぞれシュートの再生は停止した。
  • 第3報 イヌホタルイ種子の発芽ならびに出芽
    石倉 教光, 曾我 義雄
    1982 年 27 巻 4 号 p. 278-282
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    土壌中におけるイヌホタルイ種子の発芽ならびに出芽に及ぼす床土の性状, 播種深度, 土壌水分, 変温の影響について検討し, 大要, 次の結果を得た。
    1) 温度制御の変温下における休眠覚醒種子の発芽は, 湛水条件下の石英砂中, ガラス玉中, 土壌中のいずれにおいても播種深度 (0~150mm) の影響なく, 高い発芽率を示した。出芽深度は石英砂で10mm, ガラス玉30mm, 土壌20~30mmと播種床の材料によって異なった。
    2) 戸外の湛水条件下の土壌ならびにガラス玉中の休眠覚醒種子は, 表層20mm以内で高い発芽率を, 50mm以下の深さでは低い発芽率を示した。
    3) 含水比30% (圃場容水量の約70%) 以上の土壌水分下では高発芽率であるが, 含水比25% (圃場容水量の約60%) 以下になると著しく低い発芽率を示した。
    4) 12時間交代の変温では, 22-32℃の方が25.5-28.5℃よりも高い発芽率を示した。
  • 第1報 発生の状況とクリーク環境
    千蔵 昭二, 大隈 光善, 矢野 雅彦, 中村 盛三
    1982 年 27 巻 4 号 p. 283-287
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    筑後川下流域のクリーク雑草「チクゴスズメノヒエ」の発生の実態及びクリーク環境条件とチクゴスズメノヒエの発生程度との関係を調査検討した。
    1) 福岡県南部地域におけるチクゴスズメノヒエの発生面積は, 全クリークの31%にあたる370haに及んでいた。発生割合は市町により異なり, また, 同じ市町内でも水系により大幅に異なっていた。
    2) チクゴスズメノヒエの発生被度は, クリークの構造として, 水深が浅い方で, また法面が垂直に近いものより傾斜のある方で多かった。また, 流れのあるクリークでは少なく, 概してNH4-NやP2O5濃度が高いほど多い傾向がみられた。さらにクリークの水際に大型抽水雑草のマコモやヨシが多発している場合は少ない傾向がみられた。しかし, これら単要因については, チクゴスズメノヒエの発生被度との相関はかならずしも高くなく, 複合的にみる必要があろう。
    3) チクゴスズメノヒエが多発生しているクリークでは水中溶存酸素が著しく低下していた。
  • 片岡 孝義, 小松 良行
    1982 年 27 巻 4 号 p. 288-289
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 高柳 繁, 椛木 信幸, 松尾 和之, 野口 勝可
    1982 年 27 巻 4 号 p. 295-298
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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