雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
32 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 大城 幸尚
    1987 年 32 巻 4 号 p. 239-242
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 野村 信史
    1987 年 32 巻 4 号 p. 243-246
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • II. 新播草地におけるオーチャードグラスとエゾノギシギシの空間分布について
    梨木 守, 原島 徳一, 佐藤 健次
    1987 年 32 巻 4 号 p. 247-254
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    草地に雑草が侵入する基本的過程の情報となる牧草と雑草の生育空間獲得への競争の解析を試みた。すなわち, オーチャードグラスとエゾノギシギシを同時播種した草地とオーチャードグラスだけを播種した草地の造成1年後の両種の空間分布について, 分布の様式及び Voronoi 分割で決まる隣接個体数と個体間の距離を解析し, オーチャードグラスとエゾノギシギシの生育空間獲得の競争, 及びその適応状況を一例として明らかにした。結果は以下の通りである。
    1. エゾノギシギシの侵入はオーチャードグラス+エゾノギシギシの両種個体が混在する集団の集中的分布をもたらした (Table 1, Fig. 1)。
    2. 隣接個体数はエゾノギシギシとオーチャードグラスの両種に隣接するオーチャードグラスがもっとも多く, オーチャードグラスのみにとり囲まれているオーチャードグラス及びエゾノギシギシは少ない傾向にあった (Table 2)。
    3. エゾノギシギシとオーチャードグラスの両種に接するオーチャードグラス個体の, その隣接するエゾノギシギシ及びオーチャードグラス個体との間の平均距離はそれぞれ7.51cm, 7.03cmであった。また, 互いに隣接するエゾノギシギシ間およびオーチャードグラスだけに隣接するオーチャードグラスのそのオーチャードグラス個体までの平均距離はそれぞれ6.10cm, 5.08cmで前者より小さい値であった (Fig. 3)。これらの隣接する種の違いが隣接個体間の距離を不均一にし, これが個体の集中的分布化の原因と思われた。
    4. エゾノギシギシの侵入は近接オーチャードグラスの死滅を引き起すだけでなくオーチャードグラスの種内競争を加速させ, オーチャードグラスの個体密度の減少を助長した。これにより, エゾノギシギシは生育空間をさらに拡大し, 繁茂をより強固なものにすると考えられた。
    5. ここでの結果は生育空間の競争の解析の一例であり, その実証は今後の研究を待つ必要がある。
  • 保坂 秀夫, 稲葉 英雄, 佐藤 淳司, 田上 徹
    1987 年 32 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    Sethoxydim {2-[1-(ethoxyimino)-butyl]-5-[2-(ethylthio) propyl]-3-hydroxy-2-cyclohexen-1-one} のオオウシノケグサ (Festuca rubra L.) とオニウシノケグサ (Festuca arundinacea. SHREB.) に対する除草活性を根部処理法とカルス培養法を用いて検討した。
    Sethoxydim 根部処理2週間後において, 本薬剤に対して耐性種であるオオウシノケグサは, 1×10-4M処理区でもその生育は殆ど影響されなかったが, 本薬剤に感受性種であるオニウシノケグサは, 1×10-5M処理区で完全に枯死した (Fig. 1)。
    更に, sethoxydim の植物体内動態についても根部処理法を用いて比較検討した。根部における吸収, 及び根部から茎葉部への移行は, 耐性種であるオオウシノケグサの方が感受性種であるオニウシノケグサより若干多かった。(Table 1)。また, 根部より吸収された 14C-sethoxydim は, 植物体内に一様に分布しているようであった (Fig. 2)。両種の根部及び茎葉部全体における 14C-sethoxydim の代謝物, 及び代謝パターンの相違は認められなかった (Table 2)。
    また, sethoxydim の両種由来のカルスの増殖に及ぼす影響を検討した結果, 本系においても根部処理と同様な感受性差が認められた (Fig. 3)。
    以上のことから, オオウシノケグサとオニウシノケグサ間の sethoxydim 根部処理による感受性の差は, 根部及び茎葉部全体の吸収, 移行, 並びに代謝の違いによるものでなく, 両植物の有する性質の差異に基づくことが示唆された。
  • 山末 祐二, 植木 邦和
    1987 年 32 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    水田に発芽・発生するタイヌビエ種子の発芽過程におけるアルコール発酵系を前報 (YAMASUE et al., 1987) に引きつづき明確にするため, 幼芽, 幼根の伸長と alcohol dehydrogenase (ADH), cytochrome c oxidase (cyt. oxidase) 活性の関係, CO2放出とエタノール (EtOH) 生成との量的関係を検討した。
    タイヌビエ種子の好気 (Air), 嫌気 (N2) 条件下における幼芽 (子葉鞘および中茎胚軸) の伸長は, 30℃明条件の置床後48hrから始まり, その伸長量は Air 条件でやや大であった (Figure 1-A)。これに対して, 幼根の突出・伸長は幼芽と同様48hrに開始したが, N2条件下では根鞘の突出のみで幼根の突出は認められなかった (Figure 1-B)。Air 条件下のADH, cyt. oxidase 活性の変動は, 幼芽, 幼根の伸長とよく同調した結果が得られ, 一方, 置床後高い活性のあったADHは, Air 条件下で幼根の突出とともにその活性が急減し, cyt. oxidase 活性が増大し始めた (Figure 1-C, D)。しかし, 幼根の突出が認められないN2条件下ではADHは高い活性を維持し, cyt. oxidase は初期値の低い活性から大きく変動することがないことから, 幼根の突出・伸長は cyt. oxidase を含む好気呼吸に依存していることが示唆された。
    また, EtOH生成とCO2放出の量的関係を検討した実験においては, 休眠覚醒種子が Air 条件下に置床された48, 72hr後の EtOH/CO2比はともに0.8, N2条件下ではほぼ1.0を示した。このことから, 本実験では, Air, N2両条件下ともに幼根の未突出の72hrまでは嫌気的なアルコール発酵系の関与が大きいことが明らかとなった (Table 1)。
    以上の実験結果は, タイヌビエ種子はそれをとりまく環境の酵素濃度に係わりなく発芽初期は, 主にアルコール発酵系で嫌気的な呼吸をしていることを示している。したがって, 湛水された水田のような嫌気的条件に近い環境においてもタイヌビエ種子は発芽し, 幼根の伸長は抑制されるが, 幼芽はほとんど影響されることなく伸長すると考えられ, このことは水田におけるタイヌビエの発生生態をよく説明していると思われる。
  • 山末 祐二, 長谷川 亮, 植木 邦和
    1987 年 32 巻 4 号 p. 268-273
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    タイヌビエ種子の発芽初期過程において多量のエタノールが幼根突出以前に生成される。この内生的に生成されるエタノールを外生的に休眠種子に与え, その休眠覚醒効果を検討した。エタノールの休眠覚醒効果は顕著であり, 除穎した休眠種子 (果実) を5% (v/v) のエタノールとともに発芽床 (30℃, 明条件) に置床すると, 80%エタノールに30分間浸漬した場合とともに100%の発芽率が得られた (Table 1, 3)。他のアルコール類および有機溶媒の休眠覚醒効果とあわせて検討したところ, メタノールに効果が認められたが100%の発芽率を得るためには10%のメタノールが必要であった (Table 2)。
    除穎していない休眠種子 (小穂) をエタノールで処理しても休眠覚醒効果は認められないが, 5%エタノール中でこれを減圧処理すると, 61%の発芽率が認められたことから, 小穂に対してエタノールが休眠覚醒効果を発揮できない原因は透過性にあると考えられた (Table 1)。また, 吸水速度および吸水量においてエタノール処理種子と無処理種子の間に有意な差が認められないことから (Figure 1, Table 5), 休眠覚醒におけるエタノールの作用部位は, 果実表層の親油成分の可溶化などによるものでなく, 果実の内部に存在することが示唆された。
  • 石嶺 行男, 仲間 操, 松本 重男
    1987 年 32 巻 4 号 p. 274-281
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    琉球列島のサトウキビ畑雑草群落における優占種, イネ科多年生草タチスズメノヒエ, キク科多年生草タチアワユキセンダングサ, ナデシコ科越年生草ウシハコベの3種が, これらの雑草種および数種の作物に対してアレロパシー活性を有するかどうかを検定した。作物としてはインゲン, カボチャ, トマト, キュウリ, ダイコンの5種を用いた。実験は供与植物ポットよりの滲出液を受容植物のポットに供給する方式で行った。供与, 受容植物ともに砂耕法により栽培した。タチアワコキセンダングサについては枯死植物体の抽出液を作物および同種に供与する実験を行うとともに, 各部位の水抽出液が作物種子の発芽に及ぼす影響についても調べた。
    雑草の滲出液はインゲンの草丈, 地上部乾物重および葉数を有意に抑制した (Fig. 1, Table 1, Table 3)。タチスズメノヒエおよびタチアワユキセンダングサの滲出液はカボチャの地下部乾物重を有意に減少させたが, ウシハコベの滲出液による減少には有意差は認められなかった (Table 2)。タチアワユキセンダングサの生植物体および枯死体の滲出液は全作物の草丈を抑制し (Fig. 2), ダイコンでは地上部乾物重, トマトでは地下部乾物重をそれぞれ有意に減少させた (Table 4)。葉数に対する影響は概して小さく, カボチャでは枯死体の滲出液により葉数が逆に増加した (Table 4)。
    雑草の滲出液が雑草の生育におよぼす影響については, 草丈はタチスズメノヒエで最も強く抑制され, タチアワユキセンダングサでは影響は小さかった (Fig. 1)。地上部, 地下部乾物重はいずれもタチスズメノヒエで有意に減少した (Table 1, Table 2)。タチアワユキセンダングサの生植物体および枯死体の滲出液は同種の草丈を抑制し (Fig. 2), 地上部乾物重および葉数を有意に減少させた (Table 4)。
    タチアワユキセンダングサの地上部, 地下部および種子の抽出液の作物の発芽に対する影響をみたところ, ダイコンおよびトマトでは地上部, 地下部の抽出液による抑制が著しく, 種子の抽出液は逆に促進する傾向を示した (Table 5)。
    上述の結果よりタチスズメノヒエ, タチアワユキセソダングサおよびウシハコベの3種には作物および同種または異種の雑草の生育を阻害する或る種の物質が存在することが推測され, これらの雑草のサトウキビ畑雑草群落での優占化にアレロバシ現象が関与していることが示唆された。
  • 湯山 猛, Robert C. ACKERSON, 武田 俊司, 渡辺 嘉久
    1987 年 32 巻 4 号 p. 282-291
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    わが国の水田において初期~中期の雑草防除に用いられる除草剤のほとんどは粒剤として水面施用されるため, その効果ならびに選択性は土壌の吸着度合や処理前後の水管理などの影響を受けやすい。本報では水田モデル系を用いた実験により, ベンスルフロンメチル (以下BSMと略す) の田面水中ならびに土壌中での消長と効果・薬害との関連について得られた知見を報告する。
    実験1. 米国の畑土壌4種 (Table 1) をワグネルポットにつめ, 3cm湛水状態にした後にBSMの原体および2種類の混合製剤 (粒剤) をBSMの有効成分で100g/ha相当水面施用し田面水中濃度を経時的に測定した。BSM濃度は処理後24時間以内にほぼ理論値に近いレベルでピークになり, 2~4日目で急激な低下を示したが, その後7~15日目までは漸減するという傾向がみとめられた。土壌の種類による差は主に粘土および有機質含量 (OM) の違いに帰因するものと考えられ, 両方ともに少い土壌では4日目以降のBSM濃度が最も高いレベルにあった (Figure 1~3)。
    実験2. 1と同様の実験の日本の水田土壌7種 (Table 2) を用いて行なったところ, 実験1とはピーク時の濃度レベルに違いがみとめられたものの経時変化の全体的な傾向は同様であった。特に比較的粘土含量および陽イオン交換容量 (CEC) の低い土壌ではBSM濃度が比較的高いレベルにある傾向が見られた (Figure 4)。
    実験3. 実験2で用いた7種の土壌についてBSMの吸着を知るため, 次のような実験を行なった。まず各土壌の試料5gを遠沈管にとり, 異なる濃度のBSM水溶液100mlを加え25℃で土壌と水中の濃度勾配が一定になるまで (通常24時間) 振とうした。これを遠心分離して上澄液中のBSM濃度を測定し, その値からBSMの水中濃度1ppmにおける Freundlich の吸着係数 (K) を求めた (Table3)。また各土壌のpH・CEC・OM・粘土含量とK値との相関を調べたところ, 特にCECとの間に高い相関がみとめられた (Table 4)。
    実験4. 上記の実験とは別に処理後の水管理によってBSMの除草効果にどのような影響が生ずるかを知るために次のような実験を行なった。まず, 7種の水田雑草をワグネルポットで生育させ, 生育始期に湛水3cmでBSMを処理し, 処理当日から7日目までの所定日数後に田面水の一部又は全部を除去し5日間置いた後に水深を元に戻し, 処理後21日目に除草効果を比較した。その結果, 田面水全部を処理当日から3日目までに除去した場合には, 3cm湛水を保った対照区に比べて除草効果が約60%から20%程度減少したのに対し, 田面水を1cm残した場合には処理当日に除去しても15%程度の減少にとどまった。また, 処理後4日および7日目に除去した場合には, どちらもほとんど除草効果に影響がみられていない (Figure 5)。この結果はBSMの除草効果が処理後数日のうちに完成することを示唆しており, 実験1および2で明らかになった処理後の田面水中濃度の経時変化 (Figure 1-3) とよく符合している。前報のイネにおけるBSMの吸収および蓄積のパターンがこれらの雑草にもあてはまるとすれば, 処理後の田面水中濃度の経時変化の傾向がBSMの除草効果の安定性に強い影響を持たらすことが推察され得る。また水中土壌の特性, 特にCEC・粘土含量およびOMなどによって田面水中濃度が変わることも考えられる (Figure 1~4) が, 処理後の水管理を適切に行なうことによって実際上の除草効果の変動を最小限のものにすることができるといえよう。
  • 伊藤 操子, 伊山 幸秀, 植木 邦和
    1987 年 32 巻 4 号 p. 292-299
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    10数年来刈取りにより均一な雑草管理が行われている果樹園内の, 樹種, 樹齢, 整枝法が異なる27の小圃について, 夏季に下草群落組成を調査し, 果樹による庇陰の影響について解析した。
    1. 構成草種の出現頻度のユークリッド距離を量的指標とし, 小圃相互間の相似の程度を推定したところ, 庇陰という要因がこれに大きな影響を及ぼしていることが認められた。すなわち, 明るさの異なる小圃間の相似性は低かった。また明るさの類似する小圃間については, 弱庇陰条件では概して相似性が高かったが, 強庇陰条件では低下した。
    2. 幼木園については, 相互間においてさえ極めて相似性が低かった。これは各々の小圃に固有の多年生草種が優占化していたことによっており, 改植による土壌攪乱の影響を反映したものと推察された。
    3. 調査園を通しての最優占種であるメヒシバは暗い小圃で減少する傾向を示したが, 次優占種であるイヌタデは逆に庇陰の強い小圃に多くみられた。またキシュウスズメノヒエは明るい小圃で, セリ, ササガヤ, スズメノカタビラ, オオバコは暗い小圃で多く発生した。
    4. C4植物の出現種数は, 実数, 割合ともに明るい園の方がわずかに多い傾向はみられるものの, 小圃間で変動が著しかった。C4植物の被度は明るさの増加につれて高まる傾向を示したが, これはメヒシバ量の変動によるところが大きかった。
  • 重川 弘宣, 中谷 敬子, 渡辺 寛明
    1987 年 32 巻 4 号 p. 303-307
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top