雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
35 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 松本 宏
    1990 年 35 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 浅野 紘臣
    1990 年 35 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ハルジオンの表皮組織とパラコート抵抗性の関係について検討した結果, 次のようなことが明らかになった。
    1. 切断葉におけるパラコートの透過性について第1図のような処理方法で検討した。Rの切断葉の上にSのディスクを乗せた場合, 4×10-5M以下のパラコート濃度では枯死しなかった。しかし, 2×10-4M以上では, 切断葉の上に乗せたSのディスクは枯死した。このことから, パラコートは, 切断葉を透過していることが明らかになった。
    2. パラコート抵抗性ハルジオンの10系統の切断葉を用い, その表皮組織 (下側) を剥離して抵抗性の消失程度を調べた結果, 2×10-4M以下のパラコート濃度では, 抵抗性の消失にばらつきが認められた。しかし, 4×10-4M以上では全ての系統は枯死し, 表皮組織がハルジオンのパラコート抵抗性に関与していることが明らかになった。
    3. プロトプラストに対するパラコートの影響を調べた結果, Rでは, パラコート処理8~15分後にプロトプラストは偏平になり, 続いて細胞膜壁に葉緑体が凝集し, 16~31分後に一部は破裂した。Sは,パラコート処理8~14分後にプロトプラストの細胞膜は凹凸を示し, 9~21分後には細胞膜壁に葉緑体が凝集し, 一部は破裂した。
  • 浅野 紘臣
    1990 年 35 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ハルジオンの切断葉における14C-パラコートの吸収, 移行, 分布について検討し, 次のようなことが明らかになった。
    1. 14C-パラコートの経時的吸収量は, 葉面処理では処理後6時間, 葉柄処理では, 処理後24時間までR, S間に殆ど吸収差異は認められなかった。それ以後, いずれの場合もRの方が吸収量は増大した。なお, 葉柄処理と葉面処理では, 明らかに後者においてパラコートの吸収量が多かった。
    2. 葉面処理におけるパラコートの吸収, 移行は, R, S間では14C-パラコートの吸収, 移行および拡散のパターンが特異的に異なることが認められた。このパターンからパラコートはRでは葉肉組織の細胞間隙に大部分が留まり, Sでは大部分が葉肉組織に移行するものと考えられた。
    3. リーフディスク処理では, R, S間で14C-パラコートの吸収, 移行の状態に変化が認められなかった。
    4. 14C-パラコートの切断葉における組織別分布は, R, S間で吸収率に差が認められなかった。
    以上のことから, ハルジオンのパラコート抵抗性の発現は, 葉身におけるパラコートの吸収量やその分布の違いが抵抗性の原因ではないものと推察された。
  • 1. 各種植物のプレチラクロール抵抗性とグルタチオン含量およびグルタチオン S-トランスフェラーゼ活性との関係
    沈 利星, 臼井 健二, 石塚 皓造
    1990 年 35 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    イネ科植物4種類と水田の多年生雑草3種類を用いて, それらのプレチラクロール抵抗性とグルタチオン含量およびグルタチオンS-ランスフェラーゼ (GST) との関連性を調べ, 更にプレチラクロール処理によるGSTの誘導について植物種間差を調べた。また, 光と外から与えられた還元型グルタチオン (GSH) およびプレチラクロール薬害軽減剤 CGA-123407 の影響も検討した。
    イネ科植物ではイネ (Oryza sativa L. cv. nihonbare) とトウモロコシ (Zea mays L. cv. honeybantam) がプレチラクロールに対し抵抗性で, タイヌビエ (Echinochloa oryzicola VASING.) とシコクビエ (Eleusine concana GAERTN.) が感受性であった。多年生雑草ではウリカワ (Sagittaria pygmaea MIQ.) とクログワイ (Eleocharis kuroguwai OHWI) が高い抵抗性を, ミズガヤツリ (Cyperus serotinus ROTTB.) は比較的に感受性を示した (Table 1)。グルタチオン含量はイネ科の中で成苗の場合も幼苗の場合もトウモロコシで最も高くて, タイヌビエで最も低く, 成苗と幼苗の比較ではタイヌビエを除き成苗の方が低かった。また多年生雑草のグルタチオン含量はイネ科植物のそれより低かった (Table 2)。GSTは用いられた基質 (CDNB, 14Cプレチラクロール) に関係なくイネとトウモロコシで高い活性を、タイヌビエとシコクビエで低い活性を表した。プレチラクロール抵抗性とグルタチオン含量との関連性は見られなかった (Fig. 1)。供試した多年生雑草の酵素活性はイネ科植物より低くて, プレチラクロール抵抗性との関連性はなかった。GSTはプレチラクロールによって誘導され, 誘導能力はイネ科の抵抗性植物で高くて感受性植物で低かった (Table 3, 4)。
    光照射により植物体内グルタチオン含量が増加した。しかし, 光によって増加されたグルタチオンによるイネのプレチラクロールの薬害軽減は見られなかった (Table 5)。外から与えられたGSHは植物体内に容易に吸収されるが, 吸収によって増加されたグルタチオン含量もイネとシコクビエにおけるプレチラクロール薬害を変えなかった (Table 6, 7)。一方, CGA-123407は選択的にプレチラクロールによるイネの生育阻害を回復させた (Fig. 2, 3)。CGA-123407処理によってグルタチオン含量はイネとシコクビエでともに上がるが, GST活性はイネでのみ選択的に高くなり薬害軽減効果と一致した (Table 8, 9)。
  • 松本 宏, 小島 修一, 石塚 皓造
    1990 年 35 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジフェニルエーテル系除草剤は植物の内膜系の過酸化をひきおこすことが知られているが, その作用機構は完全には明らかにされていない。これらの作用機構を明らかにする端緒として, 本研究ではアオウキクサを用いて剤の作用発現の特徴を検討した。作用の指標としてアオウキクサから外液への電解質の漏出と過酸化脂質の分解物の定量を行った。まずいくつかのジフェニルエーテル系剤の影響を比較したところ, oxyfluorfen と bifenox の作用が強かった (Fig. 1)。また薬剤の処理後4時間を経てから, 膜機能の変化によると思われる電解質の漏出が測定された (Fig. 1)。作用の発現には4時間をこえる光照射が必要であり (Fig. 2), 照射強度の強いほど作用は短時間で現れた (Fig. 3)。窒素ガス下では作用は消失した (Fig. 4)。マロンジアルデセド量として求めた過酸化脂質の分解物含量も薬剤処理によって増加した (Fig. 5)。しかしこれらの作用は抗酸化剤, 活性酸素消去剤, および光合成電子伝達阻害剤の添加によって一部防御された (Fig. 6, 7, 8)。これらの結果から, これらのジフェニルエーテル系除草剤による過酸化には, 活性酸素および光合成電子伝達系の関与が示唆された。
  • 駒井 功一郎, 中杉 徹, 辻井 郁雄, 三浦 睦, 浜田 昌之
    1990 年 35 巻 1 号 p. 44-52
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    イリドイド配糖体類の植物生理活性の作用機構ならびに構造-活性相関について検討した。
    1) 供試配糖体のうち asperuloside, geniposidic acid, geniposide および aucubin は植物体より単離し, また genipin と deacetyl asperulosidic acid methyl ester は単離した配糖体より誘導した (Fig. 1)。
    2) イリドイド配糖体による生長阻害は, 茎葉部に比べて根部で著しく強く, またその阻害はレタスに比べてイネで著しかった (Fig. 2, 3)。
    3) 前報6)と合わせて考察すると, 供試イリドイド配糖体のうちでラクトン環が消失し, 6位炭素に水酸基, 4位炭素にカルボキシル基を配する成分は, ラクトン環を有する asperuloside に比較してその活性は低下した。 しかし6位炭素の水酸基が消失する場合は, かなり強い活性を維持した (Fig. 2, 3)。
    4) Deacetyl asperulosidic acid methyl ester や gardenoside など4位炭素にカルボン酸メチルを配し, 6位又は8位炭素に水酸基を有する配糖体の根部伸長阻害は著しく低下した (Fig. 2, 3)。
    5) 10-5~10-6mol濃度の配糖体を処理した幼根長の伸長は促進され, その傾向はレタスに比較してイネで顕著で, deacetyl asperulosidic methyl ester では180%以上もの促進を示した (Fig. 2, 3)。
    6) Geniposide をβ-glucosidase で非糖体とした genipin は, 配糖体に比べてその生長阻害程度は強く, またレタス種子発芽にも阻害を示した (Fig. 2~4)。
    7) ヤエムグラ幼苗に対する3種配糖体と genipin の生長阻害は1.2×10-3molでも認められたが, asperuloside の活性は著しく低かった (Table 1)。
    8) 生長阻害活性を示さない deacetyl asperulosidic acid methyl ester はβ-glucosidase に対して加水分解を受けず, glucose を遊離しなかった。従ってイリドイド配糖体類の生長阻害作用は, 生体内でのβ-glucosidase による非糖体化の結果発現するものと推察した。
  • スワンウォン スィーソム, 臼井 健二, 石塚 皓造
    1990 年 35 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    既に, ニンジン (Daucus carota L. cv. Harumakigosun) の培養細胞を10μMのグルホシネート (GLU) を含む培地中にて継代培養すると, 約500倍以上の耐性を持つ細胞が得られた。この耐性細胞を用いて, GLUに対する耐性機構を調べた。先づ, GLUの細胞内への取り込みを調べたが (Fig. 1), 耐性細胞は元々のGLU未処理の細胞 (通常細胞と称す) に比べて取り込みが著しく抑制されているということはなかった。次に, 細胞内に取り込まれたGLUの代謝を調べた (Fig. 2)。14C-標識GLUを培地に加え, 300分間細胞を暴露させた後に50%エタノールで抽出分画を行った。親化合物の細胞内集積を見ると, 通常細胞の細胞内量比は耐性細胞のそれより高く, またGLUの吸収に伴って通常細胞では経時的に直線的に増加するのに対し, 耐性細胞では120分後以降減少する傾向が認められた。このことから, 耐性細胞内におけるGLUの消失速度が通常細胞内より大であることが推察された。
    一方, GLUの作用点と想定されるグルタミン合成酵素 (GS) の活性とそれに対する影響を調べた (Fig. 3, 4) ところ, 耐性細胞内のGS活性が通常細胞のそれに対し著しく大であること, また細胞増殖期の方が定常期より大であることが認められた。GLUによる細胞内のアンモニア蓄積は耐性細胞では起こらないことが確認された (Fig. 5)。
    細胞内遊離アミノ酸とアミドの量をGLU存在下で通常および耐性細胞について比較定量した (Table 1)。GLU未添加のとき耐性細胞ではアミノ酸・アミド総量が通常細胞に比し22%多かった。GLUを細胞に与えると, 通常細胞ではアミノ酸・アミド総量の急激な減少, 特にグルタミンの減少が著しく, アラニン, バリン, セリン, グルタミン酸, アスパラギン酸が減少した。しかし耐性細胞ではその様な著しい減少は起らなかった。高いGLU代謝・消失能および高いGS活性が耐性機構に寄与し, 体内アミノ酸・アミド代謝の攪乱を少なくしているものと結論した。
  • 佐藤 姚子, 佐藤 守, 鈴木 隆之
    1990 年 35 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    畑地用除草剤ペンディメタリンの土壌中での主要な減衰要因と考えられる土壌微生物による分解について調べ, 以下の結果を得た。
    1. ペンディメタリン粒剤を処理した畑地圃場の土壌から10菌株の土壌細菌を分離し, これらの細菌のペンディメタリンに対する分解能を調べたところ, 3菌株 (P-1, P-3およびP-e菌) に分解能が認められた。
    2. これら3菌株による無機塩液体培地中でのペンディメタリンの分解は顕著で, ペンディメタリン5ppmを添加した培地中で40日間培養を行うと, ペンディメタリンの残存率はP-1菌で35.1%, P-3菌で9.8%およびP-e菌で12.6%であった。
    3. GC測定で分解代謝物と考えられる4個の新たなピークが認められた。これらをGC-MSで測定した結果, ニトロ基の還元物, ベンズイミダゾール化合物そしてメチル基またはプロピル基の水酸化物2種が推定された。このうちニトロ基の還元物とベンズイミダゾール化合物は3菌株に共通の代謝物として認められたが, 水酸化物はP-3菌においてのみ見られた。
    4. 主要な細菌学的性質の調査から, P-1およびP-3菌は Bacillus sp. であり, P-e菌は Alcaligenes sp. と推定した。
  • 佐藤 姚子, 佐藤 守, 鈴木 隆之
    1990 年 35 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジニトロアニリン系の畑地除草剤ペンディメタリンを分解する3種類の土壌分離細菌 (P-1, P-3およびP-e菌) を用いて実験を行い, 以下の結果を得た。
    1. 非滅菌土壌区, 滅菌土壌区および滅菌土壌にP-3菌懸濁液を添加した区におけるペンディメタリンの分解を経時的にGC測定して比較した。その結果, 非滅菌土壌区ではペンディメタリンは経過日数とともに減衰し, その半減期は約55日であった。一方, 滅菌土壌区では経過日数に関係なく90%以上が残存した。滅菌土壌にP-3菌を添加した区では試験開始後20日迄は非滅菌土壌区よりも低い残存率を示したが, その後の分解は進まなかった。
    2. ペンディメタリン分解菌による無機塩液体培地中でのトリフルラリン, ニトラリンおよびアラクロールの分解について調べた。その結果, トリフルラリンおよびニトラリンは各々3菌株により非常によく分解されたが, アラクロールはP-e菌でのみ, わずかに分解を示した。
    3. トリフルラリンおよびニトラリンの主要な分解代謝物をGC-MS測定により検討した。トリフルラリンの分解代謝物は, ニトロ基の還元物2種およびイミダゾール化合物と推定した。またニトラリンの代謝物もニトロ基の還元物2種と推定した。
  • 宇佐美 洋三, 小泉 博, 佐藤 光政
    1990 年 35 巻 1 号 p. 74-80
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1984年から1988年までの5年間に, 管理方法と施肥レベルを変えた休耕畑における植生の二次遷移過程について調査を行い, 大要次の結果を得た。
    1. 攪乱の程度が小さい放任区では放任後2年目までは一年生植物のメヒシバ, オオイヌタデ, シロザが優占した。3年目以降はセイタカアワダチソウ, ヨウシュヤマゴボウ, クズなどの多年生草本が優占し, 一年生植物や小型植物の種類数は減少した。出現した植物に対する一年生植物の種数の割合は急減し, 遷移度は急増した。
    2. 放任区に比べて攪乱の程度が大きい枯草除去区では, 経年による種組成は放任区と類似したが, 一年生植物の種数割合は放任区より概して高く, 遷移度は低かった。
    3. 攪乱の程度が大きい耕転区では, 多年生植物の侵入・定着が阻止され, 5年目においても一年生植物の優占する二次遷移初期の種組成が維持された。
    4. 施肥レベルと遷移度との関係を見ると, 施肥レベルが低い場合に遷移度は高い値を示した。施肥レベルが違っても生活型組成には大差が見られなかった。
  • 冨永 達, 小林 央往, 植木 邦和
    1990 年 35 巻 1 号 p. 81-83
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 根本 正之, 赤池 忠光, 山中 良忠
    1990 年 35 巻 1 号 p. 84-87
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 高柳 繁, 渡辺 寛明, 露崎 浩, 重川 弘宜
    1990 年 35 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 1990/04/27
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top