雑草研究
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37 巻, 4 号
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  • 森田 弘彦, 中山 壮一
    1992 年 37 巻 4 号 p. 267-275
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1990年に帰化雑草ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus L.) の発生が熊本県の早期水稲栽培田で確認された。このショクヨウガヤツリの発生状況と水田条件下での生育および塊茎形成の特性を調査し, 水稲の作期幅の広い暖地水田においてショクヨウガヤツリが早期水田に侵入する要因を解析した。
    1) 熊本県本渡市と天草郡苓北町のショクヨウガヤツリが多発する水田の深さ8cm迄の土中にはm2当たり9,600~10,000個の新塊茎と1,900~2,400個の旧塊茎が含まれていた。
    2) 水田状態でのショクヨウガヤツリの発生数と生育量は, 早期栽培である4月下旬の水稲作付けの場合に大きく, 普通期栽培である6月下旬の作付けでは小さかった。また, 5月中旬の水稲作付けでは, ショクヨウガヤツリの発生数と生育量は著しく小さく, これは新塊茎の未成熟と母塊茎の消耗時期に湛水条件が加わって発生が抑制されたためと推察された。どの作期でも, 中干しはその期間に発生するショクヨウガヤツリの株を増加させ, その程度は6月作付け>4月作付け>5月作付けの順に大きかった。ショクヨウガヤツリは, 5月作付けと6月作付けでは耕起前に形成した塊茎から発生し, 4月作付けでは主に母塊茎から発生した。水稲作期の違いや中干しの有無によって生じる塊茎形成数の変動は, 水稲収穫時の地上部乾物重の変動と高い相関を示した。
    3) 塊茎は湿潤ろ紙上では30℃の条件下で置床後3日目から萌芽し, 7日目には萌芽率は, 新塊茎で94%となり, 旧塊茎では24%となった。含水比50%の土壌では, 塊茎の90%以上は30℃の条件下では3日目に, 18℃の条件下では11日目に出芽したが, 含水比100%以上では塊茎は出芽せず, 含水比が80%台に低下すると塊茎は30℃では2~3日目, 18℃では5~8日目に出芽した。
    暖地水田でのショクヨウガヤツリの発生は, 耕起・代かき前の生育状態によって異なり, 作期が早いほど多かった。また, その後のショクヨウガヤツリの発生と生育は中干しによって促進されたが, 湛水条件への適応性はミズガヤツリより低いと考えられた。
  • 貴志 淳郎, 臼井 健二, 石塚 皓造
    1992 年 37 巻 4 号 p. 276-282
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    グルホシネートは, 窒素同化酵素であるグルタミン合成酵素 (GS) を特異的に阻害することが知られている。また, グルタミン合成酵素には植物の細胞内分布の違う2種類のアイソザイムが存在すること, およびそれらの活性の比率は, 植物種により違うことが知られている。本報では, C3植物のキュウリ, イネおよびC4植物のトウモロコシ, タイヌビエを使用し, アイソザイムの分離, およびアイソザイムに対するグルホシネートの影響について検討した。
    供試植物の茎葉部と根部からグルタミン合成酵素を抽出し, イオン交換カラムクロマトグラフィーによってアイソザイムの分離を行った。茎葉部由来のグルタミン合成酵素は, 全ての供試植物で2つのアイソザイムに分離された (Fig. 1)。それらの活性ピークの高さを植物種間で比較すると, 本実験で使用したC3植物では2番目のピーク(GS2)のほうが, 最初のピーク(GS1)よりも高いことが示された。しかし, C4植物ではGS2はGS1とほぼ同程度, もしくはそれ以下であることが示され, 植物種間でアイソザイムの比率が異なることが示された。GS1は細胞質に, GS2は葉緑体に局在すると言われているものに相当する。一方, 根部由来のグルタミン合成酵素には1つのピーク(GSr)しか測定されなかった (Fig. 1)。GSrは, 細胞質に局在すると言われているものに相当すると思われる。またGS1とGSrとは, 全ての植物種においてほぼ同じKCl溶出濃度を示した (Table 1)。
    グルタミン合成酵素アイソザイムの至適pH, 至適温度について検討を行ったところ, 植物種やアイソザイムの種類により若干異なることが示された (Table 1)。また, これらのアイソザイムに対するグルホシネートの影響を検討したところ, 全ての植物種でグルホシネートの濃度の増加により, 酵素活性の低下が示された (Fig. 2)。次に, それぞれのアイソザイムに対するグルホシネートのI50値を求めたところ, 全ての植物種でGS2の方がGS1よりも低い値を示した (Table 2)。そしてGS1とGSrとを比較するとほぼ同じI50値が得られた。
  • 宇佐美 洋三, 小泉 博, 佐藤 光政
    1992 年 37 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    休耕期間中の管理方法を異にする2種類の畑地を復元する目的で, 畑地に耕種的または化学的処理を施し, その後出現する植生の種組成および遷移度に注目して3年間にわたり調査した。耕転や除草剤処理を行わず, 放任した場合には, 遷移度は増加して1000程度になり, クズとセイタカアワダチソウが優占した。年4回耕転した場合には, 遷移度は急減し, メヒシバ, エノコログサなどのイネ科植物を中心とした群落になった。年間に2回除草剤 (パラコート) を処理した場合には, 復元前の休耕期間中に放任した畑地では遷移度はやや減少し, 毎年1回耕耘した畑地では逆に増加したが, いずれの畑地でもクズが優占した。年間に4回程度耕耘すれば, 荒廃した畑地を比較的早く復元することができるが, 除草剤 (パラコート) の処理のみでは復元は困難であると結論された。
  • 稲村 達也
    1992 年 37 巻 4 号 p. 290-295
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    クログワイ (Eleocharis kuroguwai Ohwi) の増殖抑制の観点から, 塊茎形成に緊密に関係する雑草生育量の診断基準を選定し, 水稲生育時期別の雑草許容限界と水稲減収との関係について, 除草剤の連年施用の圃場試験結果を用いて検討したところ, 以下のことが明らかとなった。
    1) クログワイによる水稲減収に対して, 穂数の寄与する割合は40.5%と高く, 次いで千粒重の寄与する割合が27.8%, 登熟歩合および一穂穎花数の寄与する割合はそれぞれ約16%であった。
    2) クログワイのm2当り株数と平均草丈との積で求めた地上部生育量は, 試験年次によって水稲精籾重と雑草生育量との関係に生じる変動を捨象でき (第2表), 雑草生育量と経年的な雑草の抑制効果との関係の診断基準として有効と診断された。
    3) 水稲収量に影響しないクログワイの最大生育量 (許容限界) は, m2当り萌芽塊茎数1.0個, 中干し期のm2当り株数7.2株, 塊茎形成期のm2当り地上部生育量11.7であった (第3表)。
    4) 対無雑草区比5%の精籾重の減収をもたらすクログワイの最大生育量は, m2当り萌芽塊茎数4.4個, 中干し期のm2当り株数15.6株, 塊茎形成期のm2当り地上部生育量30.0であった (第3表)。
  • 臼井 健二, 足立 純一, スワンウォン スィーソム, 石塚 皓造
    1992 年 37 巻 4 号 p. 296-300
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    10-8Mベンスルフロンメチル (BSM) 抵抗性ニンジン細胞のアセトラクテート合成酵素 (ALS) の活性を通常細胞と比較した。細胞は, 2, 4-Dを1mg/1含むLS培地で懸濁培養し, 約2年間1週間ごとに植え継いだ。対数増殖期 (植え継ぎ後4日目) の細胞よりALSを抽出し, pH, ピルビン酸濃度およびBSM濃度を変えて活性を測定した。活性は, 生じたアセトラクテートを硫酸で脱炭酸しアセトインに変え比色定量したが, 脱炭酸しないブランクにも相当量のアセトインが検出された (第1, 2図)。このブランクの値は, pH7.5以下では脱炭酸した値 (全活性)の約1/2以上を占めたが, 高いpHでは低い値を示した。また, この値は, ピルビン酸濃度に依存して増加し高濃度のBSMで阻害されなかったので, ピルビン酸よりアセトラクテートを経ないアセトイン生成によるものと考えられた. そこで, 脱炭酸した値から脱炭酸しないブランクの値を差し引いたものがより正確なALS活性を示すと考えられた。
    その結果, 通常, 抵抗性細胞とも, ALSの至適pHは8.5付近, 飽和ピルビン酸濃度は約40mM, 見掛けのKmは5~6mMであった (第1, 2図)。BSMによるALSの阻害は, 抵抗性細胞 (I506×10-7M) が通常細胞 (I501×10-8M) より小さく, 約60倍の差があった (第3図)。この抵抗性細胞の値は既に発表されたもの (5.2×10-8M) より約10倍大きく, 長期間培養中にALSの不感受性化が進んだ可能性も考えられる。
  • 梨木 守, 目黒 良平, 須山 哲男
    1992 年 37 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ペレニアルライグラス実生個体がエゾノギシギシの初期生育に及ぼす影響について, ポットおよびコンテナを用いた二つの試験により検討した。
    1) ペレニアルライグラスの地上部と地下部の競争の影響: エゾノギシギシの初期生育はペレニアルライグラス実生個体との地上部, 地下部の競争によって抑制された。初期生育が最も抑制されるのは地上部, 地下部ともに競争状態にある完全競争区で, 次いで地上部競争区, 地下部競争区, さらに無競争区の順であった。
    エゾノギシギシの初期生育における地上部競争と地下部競争はどちらもエゾノギシギシの生育に有意に影響するが, 地上部競争の方が初期生育の抑制により大きく影響する要因であった。
    2) ペレニアルライグラスの播種密度および定着期における刈取りの影響: エゾノギシギシの初期生育はペレニアルライグラスの高播種密度・無刈取り区で最も抑制された。次いで, 低播種密度・無刈取り区, 高播種密度・刈取り区, さらに低播種密度・刈取り区の順に抑制された。エゾノギシギシにとって, 競争相手のペレニアルライグラス個体が多く, またそれらが刈り取られない条件では, 光に対する競争が強まりそれに養水分の競争の影響が加わって生育が抑制されるものと考えられた。
    以上のことからエゾノギシギシの初期生育の抑制には, とくにペレニアルライグラスとの地上部の競争を強めることが重要で, 播種密度の増加はその一方法と考えられた。
  • 李 度鎭, 臼井 健二, 松本 宏, 石塚 皓造
    1992 年 37 巻 4 号 p. 309-316
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    発芽直後のイネ幼苗の生育に対するジメピペレートと, 作用機作の異なる7剤の除草剤との混合処理による相互作用について検討した。土壌による除草剤の不活性化などの要因を排除するために水耕法を用いて根部処理し, イネの地上部と根部の新鮮重を測定した。薬剤間の相互作用については Colby 法で, ベンスルフロンメチルの場合のみ Isobole 法を併用して評価した。これらにより, 以下のような結果が得られた。
    1) スルホニルウレア系除草剤ベンスルフロンメチル, クロルスルフロンとジメピペレートとの混合処理では, 拮抗的効果が示され, ジメピペレートとの混合による薬害軽減効果が認められた。
    2) オキシフルオルフェン, ビフェノックス, クロメプロップおよびピリブチカルブとジメピペレートとの混合処理でも各薬剤に基因する生育抑制に対しジメピペレートによる拮抗的効果が認められた。
    3) クロロアセトアミド系除草剤プレチラクロール単剤処理では, 地上部より根部の方に抑制効果が強く認められたが, ジメピペレートとの混合処理では相加的効果が示され, 生育抑制軽減効果は認められなかった。
  • 宮島 大一郎
    1992 年 37 巻 4 号 p. 317-320
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    雑草種子を採取した年の冬または翌年の春に実験を行うため実生苗が必要になるという仮定で1990年に採取し, 湿度のみをコントロールして貯蔵した52種類の雑草種子の発芽率を1990年12月, 1991年5月に調べた。ジベレリンの発芽促進効果も調べた。12種類の種子はジベレリン無処理でも両時期の試験において高い発芽率を示した。多数の雑草種子はジベレリン無処理では1990年12月よりも1991年5月においてより高い発芽率を示したがその逆もいくつか見られた。ジベレリンは多くの種類の雑草種子の発芽を促進した。しかしいくつかの雑草種ではその効果の大きさは1990年12月と1991年5月の間で異なった。
  • 松尾 和之, 川名 義明, 中山 壮一, 與語 靖洋
    1992 年 37 巻 4 号 p. 321-324
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 中谷 敬子, 露崎 浩, 小荒井 晃, 與語 靖洋
    1992 年 37 巻 4 号 p. 325-329
    発行日: 1992/12/24
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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