グルホシネートは, 窒素同化酵素であるグルタミン合成酵素 (GS) を特異的に阻害することが知られている。また, グルタミン合成酵素には植物の細胞内分布の違う2種類のアイソザイムが存在すること, およびそれらの活性の比率は, 植物種により違うことが知られている。本報では, C
3植物のキュウリ, イネおよびC
4植物のトウモロコシ, タイヌビエを使用し, アイソザイムの分離, およびアイソザイムに対するグルホシネートの影響について検討した。
供試植物の茎葉部と根部からグルタミン合成酵素を抽出し, イオン交換カラムクロマトグラフィーによってアイソザイムの分離を行った。茎葉部由来のグルタミン合成酵素は, 全ての供試植物で2つのアイソザイムに分離された (Fig. 1)。それらの活性ピークの高さを植物種間で比較すると, 本実験で使用したC
3植物では2番目のピーク(GS
2)のほうが, 最初のピーク(GS
1)よりも高いことが示された。しかし, C
4植物ではGS
2はGS
1とほぼ同程度, もしくはそれ以下であることが示され, 植物種間でアイソザイムの比率が異なることが示された。GS
1は細胞質に, GS
2は葉緑体に局在すると言われているものに相当する。一方, 根部由来のグルタミン合成酵素には1つのピーク(GS
r)しか測定されなかった (Fig. 1)。GS
rは, 細胞質に局在すると言われているものに相当すると思われる。またGS
1とGS
rとは, 全ての植物種においてほぼ同じKCl溶出濃度を示した (Table 1)。
グルタミン合成酵素アイソザイムの至適pH, 至適温度について検討を行ったところ, 植物種やアイソザイムの種類により若干異なることが示された (Table 1)。また, これらのアイソザイムに対するグルホシネートの影響を検討したところ, 全ての植物種でグルホシネートの濃度の増加により, 酵素活性の低下が示された (Fig. 2)。次に, それぞれのアイソザイムに対するグルホシネートのI
50値を求めたところ, 全ての植物種でGS
2の方がGS
1よりも低い値を示した (Table 2)。そしてGS
1とGS
rとを比較するとほぼ同じI
50値が得られた。
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