雑草研究
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39 巻, 1 号
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  • アリール=カーバメート誘導体の除草活性 (第2報)
    森中 秀夫, 村上 充幸, 渡辺 博幸, 野中 悠次, 中西 明, 続木 建治, 近内 誠登, 竹松 哲夫
    1994 年 39 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ある種のカーバメート, チオール型チオカーバメートおよびジチオカーバメート誘導体が除草活性を有しており, 除草剤として使用されていることはよく知られている。しかし, チオノ型チオカーバメート誘導体の除草活性に関する報告は未だ無い。
    新規除草活性化合物探索のため, β-NAC (β-ナフチル=N-メチルカーバメート; (Fig. 1; I)) を母核化合物とする種々のO-アリール=N-アルキル-N-アリールカーバメート誘導体 (Fig. 1; III) について, 温室内湛水土壌処理ポット試験によりタイヌビエ (Echinochloa oryzicola Vasing.) に対する除草効果および移植水稲 (Oryza sativa L. cv. Nipponbare) への薬害を調べ, さらに化学構造と除草活性の関係について検討した。供試したカーバメート誘導体のいくつかは, タイヌビエの生育を強く抑制し, また移植水稲に対してはいずれの化合物も100g a. i./aの有効成分量でも薬害を示さなかった。
    検討結果は以下の様に要約される。
    1. O-アリール=N-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチルチオカーバメート誘導体のフェノキシ残基に種々の縮合アリール基を導入したところ, 2-ナフチル基, 5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基, 1,4-メタノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチル基等に高い除草活性が認められた (Table 1)。
    2. フェニル=N-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチルチオカーバメート誘導体でフェニル環上の置換基について検討したところ, 2-位置換体よりも3-位および4-位置換体が高い除草効果を示した。置換基の種類としては, アルキル基では3-イソプロピル基, 3-tert-ブチル基, 4-tert-たブチル基が高い除草効果を示した。無置換フェニルおよび大きなアルキル基の場合には除草効果を示さなかった。アルキル基以外では, ハロゲンおよびトリフルオロメチル基が高い除草効果を示した (Table 2, 3)。
    適応最小二乗法 (ALS) による構造活性相関解析の結果, 3-イソプロピル基, 3-tert-ブチル基, 4-tert-ブチル基の様な適当な疎水性および立体性を有する置換基が高い除草効果を示すことが明らかになった。
    3. カーバメート誘導体には酸素原子と硫黄原子の組合せにより4種類の系統があるが, 4-tert-ブチルフェニル=N-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチル誘導体では, チオノ型のチオカーバメートが最も高い除草活性を示し, カーバメートがそれに次いだ。チオール型チオカーバメートおよびジチオカーバメートは活性を示さなかった (Table 4)。
    4. O-3-tert-ブチルフェニル=N-アルキル-N-(6-メトキシ-2-ピリジル) チオカーバメート誘導体でN-アルキル基の種類を検討したところ, メチル基が最も高い除草活性を示した (Table 5)。
    5. O-3-tert-ブチルフェニル=N-メチル-N-(2-ピリジル) チオカーバメート誘導体におけるN-(2-ピリジル) 環上の置換基としては, 6-メトキシ基が高い活性を示した (Table 6)。
    6. N-フェニル基をO-3-tert-ブチルフェル=チオカーバメートに導入した場合, N-3-メトキシフェニル誘導体が高い活性を示した (Table 7)。
    7. 活性の強い化合物について1.5葉期のヒエに対する活性も検討したところ, O-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル=N-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチルチオカーバメートおよびO-3-tert-ブチルフェニル=N-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチルチオカーバメートが最も高い活性を示した (Table 8)。
    以上の検討からピリブチカルブ (O-3-tert-ブチルフェニル=N-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチルチオカーバメート) を選抜した。
  • 1994 年 39 巻 1 号 p. 10
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • アリール=カーバメート誘導体の除草活性 (第3報)
    森中 秀夫, 村上 充幸, 渡辺 博幸, 野中 悠次, 中西 明, 続木 建治, 近内 誠登, 竹松 哲夫
    1994 年 39 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    新規除草剤探索研究の一環として, 2,4-D等の植物ホルモンに対して拮抗的に働き, また混合施用によりDCPAの除草効果を相乗的に高めることが知られているβ-NAC (β-ナフチル=N-メチルカーバメート; (Fig. 1; I)) を母核化合物とし, 種々のアリール=N-アルキル-N-アリールカーバメート誘導体の除草効果を検討してきた。今報では, アミン残基をN-(6-メトキシ-2-ピリジル)-N-メチル基に固定して, ジおよびトリ置換フェニル=カーバメート誘導体 (Fig. 1; IV) の化学構造と除草活性について検討した。
    供試したカーバメート誘導体のいくつかは, 発芽前湛水土壤処理によりタイヌビエの生育を強く抑制し, また移植水稲に対してはいずれの化合物も100g a. i./aの有効成分量でも薬害を示さなかった。
    検討結果は以下の様に要約される。
    1. フェノール残基に2個の置換基を導入した場合の除草効果をジクロロおよびジメチル誘導体で検討したところ, その置換位置により除草活性は大きく影響を受けた。置換位置としては, 3,4-ジ置換体が他のものより高い除草活性を示し, 3,5-体がこれに次いだ。2個の置換基の内の1個がフェノール残基の2位に結合した場合, 除草活性は認められなかった (Table 1)。
    2. 3,4-ジ置換体と3,4,5-トリ置換体の比較では, 3,4-ジ置換体の方が高い除草活性を示した (Table 2)。
    3. 置換位置を3,4-位に限定して, 置換基の種類を種々検討したところ, 3-アルキル-4-ハロゲノ誘導体および3,4-ジアルキル誘導体に高い除草活性が認められた。3-アルキル-4-ハロゲノ誘導体では, チオノ型チオカーバメートだけでなく, カーバメートにも高い除草活性が認められた。3,4-ジアルキル誘導体では, 3-tert-ブチル-4-メチル等に高い除草活性が認められた (Table 3)。
    4. 種々の3-アルキル-4-ハロゲノ誘導体について除草活性を検討したところ, 3-メチルおよび3-エチル誘導体ではチオノ型チオカーバメートの方がカーバメートよりも高い除草活性を示した。しかしながら, 3-イソプロピルおよび3-tert-ブチル誘導体では, チオノ型チオカーバメートとカーバメートはほぼ同じ除草活性を示した (Table 4)。
    5. 適応最小二乗法 (ALS) による構造活性相関解析の結果, O-3,4-ジ置換フェニル誘導体の置換基として, 適当な疎水性および立体性を有するものが高い除草効果を示すことが明らかになった。
    6. 活性の強い化合物については, 1.5葉期のヒエに対する活性も検討したところ, いくつかのチオノ型チオカーバメートおよびカーバメートはピリブチカルブと同等の高い除草活性を示した (Table 5)。
  • 佃 和明, 村上 充幸, 森中 秀夫, 続木 建治, 一前 宣正, 近内 誠登, 竹松 哲夫
    1994 年 39 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    温室条件にてピリブチカルブフロアブルおよび粒剤のタイヌビエ (Echinochloa oryzicola Vasing.) への除草効果および移植イネ (Oryza sativa L.) への薬害に及ぼす変動要因を検討し, 下記の結果を得た。
    1) ピリブチカルブは, フロアブル化することで単位面積当りの有効成分量を低減させても粒剤と同等以上の除草効果を示した。また, ピリブチカルブフロアブルおよび粒剤共に, 移植4日前の高薬量処理では稚苗イネに弱い薬害を示したが, 通常薬量および移植後の処理ではほとんど薬害を示さなかった。
    2) 両剤型共に, 1cmから6cmの湛水深では除草効果の変動はほとんど認められなかったが, 0cmでは効果がやや低下した。また湛水深の変動による稚苗イネの薬害に及ぼす影響は, ほとんど認められなかった。
    3) 漏水程度の変動による除草効果, 薬害への影響は, 両剤型共にほとんど認められなかった。
    4) ピリブチカルブフロアブルおよび粒剤は, いずれも置苗 (移植深度0cm) 条件で稚苗イネの生育を阻害したが, 移植深度1cm以上では根部先端の地上部への露出の有無に関わらずほとんど薬害を示さなかった。
  • 中村 直紀, 根本 正之
    1994 年 39 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    Eupatorium odoratum はキク科の多年生低木で熱帯アジアの焼畑放棄地にしばしば侵入し優占群落を形成する。焼畑放棄地でよくみられるベニバナボロギク, カッコウアザミ, ギョウギシバ, カタバミおよび E. odoratum の実生成長に及ぼす E. odoratum の他感作用とその庇蔭効果について検討した。石英砂を充填したポットに各植物の実生を移植し, その表面に粉末にした E. odoratum 生葉を添加して, これらを温室内の相対照度が各々100%, 30%, 10%の人口庇蔭条件下で栽培した。また E. odoratum の粉末の代わりに他感作用のみられない腐葉土の粉末を添加して同様の庇蔭条件で栽培し, 両者を比較した。E. odoratum 粉末の添加と庇蔭の双方の処理を施した場合, ギョウギシバを除く他の実生の成長は, 庇蔭処理のみのものと比較してより強く抑制され, しかも抑制の程度は10%区の方が30%区より強かった。一方ギョウギシバの実生は庇蔭処理単独で著しく成長が抑制された。そのため庇蔭条件下での粉末添加による成長抑制効果は明らかでなかった。
  • 鈴木 光喜
    1994 年 39 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    25年間地中30cmに埋土した7科12種の畑雑草種子の発芽力について検討し, 次の結果を得た。
    1) 供試雑草種子は埋土翌年の4月から11月における最大出芽率はヒメイヌビエ, アキメヒシバ, スズメノカタビラ, イヌタデ, エゾノギシギシ, シロザ, ハコベは81~96%, エノコログサは78%, メヒシバ, ツユクサは52~58%, スベリヒユは30%であった。
    2) 埋土25年目の4月28日と6月30日にはヒメイヌビエ, エノコログサ, メヒシバ, アキメヒシバ, スズメノカタビラ, イヌタデおよびハコベの種子はほとんど腐敗し, 健全種子はなかった。健全種子の認められた5種の埋土種子数に対する発芽率はシロザ2~3%, スベリヒユ2%, エゾノギシギシ1~2%, エノキグサ0~1%, ツユクサはで12~14.5%であった。
    3) 発芽したツユクサとシロザの芽生えは移植後開花・結実に至った。
    4) 埋土25年目の9月6日に掘り上げたツユクサ種子はほととんど発芽しなかったが, 3ヵ月間4~6℃の低温処理をした後では22%発芽し, 25年経過後も休眠の季節的周期性が認められた。
  • 松尾 和之, 窪田 哲夫
    1994 年 39 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    畑雑草の種子発芽と温度条件との関係について, 休眠覚醒程度を異にするシロザ (Chenopodium album L.) 種子を中心に解析し, さらに主要な一年生夏雑草種子 (ハルタデ; Persicaria vulgaris Webb et Moq., エノコログサ; Setaria viridis (L.) Beauv., ヒメイヌビエ; Echinochloa crus-galli (L.) Beauv. var. praticola Ohwi, メヒシバ;. Digitaria ciliaris (Retz.) Koeler) について比較検討した。
    シロザ種子の発芽率 (発芽歩合) は, 休眠覚醒処理の種類や程度および温度条件 (日平均気温や日較差) に大きく影響されたが, 発芽速度 (G50-1) と日平均気温 (t) との間にはG50-1=at+b (ただし, G50は発芽を示す種子の半数が発芽に要する日数) で近似される関係が認められた。
    冬期間の埋土および長期間の低温暗所湿潤処理を行った5種の一年生雑草種子でも, 日平均気温と発芽速度との間に直線関係が認められた。また低温条件 (日平均気温15℃以下) での発芽速度を比較すると, シロザ≧エノコログサ≒ハルタデ>ヒメイヌビエ>メヒシバであり, 越冬後の発生の早晩と一致した。
  • 鈴木 宏一, 繩巻 勤, 渡辺 重臣
    1994 年 39 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    水田条件における各種環境要因がピラゾスルフロンエチル (PSE) の除草効果に与える影響を, 温室内のポット試験で検討した。
    1) ミズガヤツリ (Cyperus serotinus Rottb.) を用いてPSEの植物における吸収部位の推定を行った。PSEの拡散を活性炭層で防いだ条件で, 湛水中あるいは地下部にPSEを処理した結果, 湛水中処理では殆ど活性を示さなかったのに対して, 土壤中に混和処理した場合に, 顕著な除草活性を示した。従って, PSEの植物体における主な吸収部位は地下部にあると考えられた。
    2) 湛水深, 減水深, 発生深度, 温度の各条件について, これらの変動がPSEの除草効果に与える影響をミズガヤツリを用いて検討した。 地下部からのPSEの吸収を助長する条件, つまり適度な減水深を与えた場合, あるいは, 発生深度の浅い場合に除草効果は向上した。温度条件では, むしろ低温下 (20/15℃) で除草効果が高い傾向がみられた。
    3) 15種の水田土壤を用いて, PSEの土壤吸着と, タイヌビエ (Echinochola oryzicola Vasing.) に対する土壤処理効果の関係, 及び, それらと土壤の性質との関係を検討した。低pHの土壤で, PSEの土壤吸着が大きい事が示されたが, 除草効果との相関は見られなかった。PSEの除草効果は炭素含量の少ない土壤でより高い傾向が見られた。
  • 本江 昭夫
    1994 年 39 巻 1 号 p. 52-53
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 39 巻 1 号 p. 54-64
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 松本 宏, 冨永 達, 住吉 正, 橘 雅明, 石坂 眞澄
    1994 年 39 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1994/05/13
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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