水稲用除草剤イマゾスルフロンの除草効果に影響を及ぼす要因について, 温室内のポット試験により検討した。また, 生物検定法を用いて, イマゾスルフロンの土壌中の移動性についても検討した。
1. ミズガヤツリ, イヌホタルイおよびタイヌビエのイマゾスルフロン (90g a.i./ha) 薬液との接触期間がそれぞれ1, 7, 14日間およびそれ以上で地上部乾物重を90%以上抑制した (Fig. 1)。
2. 萌芽期における90g a.i./ha処理では, ウリカワ塊茎の大きさの違いにより, 地上部乾物重の抑制は変動しなかった。しかしながら, 3g a.i./ha処理では, 塊茎の大きさが大きくなるにつれて地上部乾物重の抑制は低下した (Fig. 2)。
3. 湛水深および温度の違いによる有意な除草効果の差はなかった (Fig. 3, 4)。
4. 出芽前または1.5葉期のイヌホタルイに対し, 無漏水条件下では漏水条件下より効果は有意に高く, 処理時期の違いによる効果の差はなかった。一方, 漏水条件下では1.5葉期処理の効果は出芽前処理の効果より有意に高かった (Fig. 4)。
5. イヌホタルイまたはウリカワに対する出芽前処理では播種または植え込み深度の浅い方が有意に効果は高かった。しかしながら, イヌホタルイの2葉期処理では, 播種深度の違いによる効果の差はなかった (Fig. 5, 6)。
6. 150g a.i./ha処理後, 4cmの湛水深から1.5cm/日の割合で漏水させた水田土壌を用いて, 土壌中の移動性を検討した。土壌表面下2cm以内の深さにあった土壌に播種したタマガヤツリおよびイヌホタルイの生育は大きく抑制されたことから, イマゾスルフロンの水田土壌中での移動性は比較的小さく, 大部分が土壌表面下2cm以内に存在すると考えられた (Fig. 7)。
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