粗飼料用イネの1回刈りおよび2回刈り移植栽培におけるイネ (
Oryza sativa L.) とヒメタイヌビエ (
Echinochloa crua-galli (L.) Beauv. var.
formosensis Ohwi) の混植による群落内のヒメタイヌビエの生育を解析した。イネ群落内のヒメタイヌビエの草丈は, イネ品種間で大きく異なり, 草丈の大きい Tetep および Taporuri ではヒメタイヌビェは常にイネの草冠内にあり, 草丈の小さいヒノヒカリではイネの草冠より高くなった。また, イネ単植区の群落内の相対光量子密度は, 5月および6月移植でともにイネ品種間で大きく異なり, Tetep および Taporuri で他の品種に比べて移植後および刈取り後ともに速やかに小さくなった。
1回刈り移植栽培における混植区の群落内のヒメタイヌビエの生育 (乾物重) は, 移植40日後の相対光量子密度や相対光量子密度が20%以下に達する日数と正の有意な相関関係が認められ, Tetep および Taporuri 区で大きく抑制された。一方, イネの生育 (乾物重) は, Tetep および Taporuri ではヒメタイヌビエによる抑制程度が小さかった。2回刈り移植栽培におけるヒメタイヌビエおよびイネの生育に及ぼすイネ品種の影響は, 1回刈り移植栽培と同様の傾向を示した。また, ヒメタイヌビエの乾物重は, 1回刈りに比べて2回刈りで減少した。
粗飼料用イネとして収穫した場合, ヒノヒカリではイネホールクロップサイレージにヒメタイヌビエが40%以上混入するのに対し, Tetep および Taporuri では混入率は10%程度となった。
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