雑草研究
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51 巻, 4 号
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原著論文
  • 大塚 広夫, 根本 正之, 桝田 信彌
    2006 年 51 巻 4 号 p. 229-238
    発行日: 2006/12/22
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 除草剤を用いない雑草管理体系が水田とその畦畔植生に及ぼす影響を明らかにするため, 隣接する除草剤施用の水田ならびに畦畔と比較検討した。調査は千葉県匝瑳市 (旧八日市場市) の谷津田で行った。年4回の植生調査の結果, 総出現種数は101種で, 水田内で確認された種が50種, そのうち非除草剤水田では39種, 除草剤施用水田では25種が確認できた。一方, 非除草剤畦畔で52種, 除草剤施用畦畔で60種が確認された。(1) TWINSPANによる植生分類の結果, いずれの雑草管理手法においてもその植生は概ね水田と畦畔に分かれ, また水田の植生には季節変動が認められた。(2) 非除草剤水田の平均出現種数は除草剤施用水田と比べて有意に多くなった。(3) 非除草剤畦畔では伝統的畦畔によくみられるチガヤ, スイバ, オオジシバリなど多年草が多く出現した。一方, 除草剤施用畦畔ではスギナ, ヨモギ, ハルジオンの他, メヒシバ, スズメノテッポウ, カヤツリグサなどの一年草が多くなった。
  • 石原 悟, 堀尾 剛, 小原 裕三, 横山 淳史
    2006 年 51 巻 4 号 p. 239-248
    発行日: 2006/12/22
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    除草剤が3種の微細藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata, Achnanthidium minutissimum 及びMerismopedia tenuissima) 細胞の形態に及ぼす影響を, 光学顕微鏡による観察と, フローサイトメーターで側方散乱光強度 (Side Scatter強度, 以下SSC強度という) 及びクロロフィルaの自家蛍光強度 (Autonomous Fluorescence, 610nm ; 以下AF610強度という) を測定した結果から評価した。これらの藻類のうち細胞の形態変化が最も顕著に観察されたのは, 緑藻P. subcapitata であった。細胞のドットプロットが示す特徴から, 40種類の除草剤がP. subcapitata 細胞の形態に及ぼす影響を4型 (Type A-D) に類型化した。さらに, 7種類の除草剤 (エスプロカルブ, キノクラミン, シメトリン, チオベンカルブ, プレチラクロール, ベンスルフロンメチル, メフェナセット) を, EC50 (50% Effective Concentration) の6~12倍の濃度で72時間暴露した後, 13日間再培養を続け, 形態が変化した細胞の回復性を調べた。その結果, すべての除草剤暴露区に関して, 除草剤による影響からの回復が確認された。形態変化を類型別に評価すると, AF610強度の低下した細胞 (白化した細胞) が多く観察される個体群で回復までの期間が長い傾向が示された。
    藻類生長阻害試験における細胞観察にフローサイトメーターを用い, SSC及びAF610強度を測定することで, 細胞の形態に及ぼす影響及び回復性を考慮した除草剤の影響評価が可能である。
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