除草剤が3種の微細藻類 (
Pseudokirchneriella subcapitata, Achnanthidium minutissimum 及び
Merismopedia tenuissima) 細胞の形態に及ぼす影響を, 光学顕微鏡による観察と, フローサイトメーターで側方散乱光強度 (Side Scatter強度, 以下SSC強度という) 及びクロロフィルaの自家蛍光強度 (Autonomous Fluorescence, 610nm ; 以下AF
610強度という) を測定した結果から評価した。これらの藻類のうち細胞の形態変化が最も顕著に観察されたのは, 緑藻
P. subcapitata であった。細胞のドットプロットが示す特徴から, 40種類の除草剤が
P. subcapitata 細胞の形態に及ぼす影響を4型 (Type A-D) に類型化した。さらに, 7種類の除草剤 (エスプロカルブ, キノクラミン, シメトリン, チオベンカルブ, プレチラクロール, ベンスルフロンメチル, メフェナセット) を, EC
50 (50% Effective Concentration) の6~12倍の濃度で72時間暴露した後, 13日間再培養を続け, 形態が変化した細胞の回復性を調べた。その結果, すべての除草剤暴露区に関して, 除草剤による影響からの回復が確認された。形態変化を類型別に評価すると, AF
610強度の低下した細胞 (白化した細胞) が多く観察される個体群で回復までの期間が長い傾向が示された。
藻類生長阻害試験における細胞観察にフローサイトメーターを用い, SSC及びAF
610強度を測定することで, 細胞の形態に及ぼす影響及び回復性を考慮した除草剤の影響評価が可能である。
抄録全体を表示