雑草研究
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51 巻, 3 号
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原著論文
  • 小林 浩幸, 山本 眞, 國弘 実
    2006 年 51 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    17都県, 106市町村の農村的な景観を示す合計263地点で, 水生植物の分布と水質の関係を調査した。観察された水生植物は22科54種であった。これらの水生植物の生育地の水質は大きく変動する種もあったが, 生育型ごとにいくらかの傾向がみとめられた。すなわち, 栄養塩類を除く多くの水質項目について, 生育地の水質の中央値は抽水植物では相対的に汚濁した側に, 沈水植物では良好な側にあった。栄養塩類については, 良好な水質の場所で多くみられた種の生育地で濃度が高い場合がしばしばあった。水質が良好な側にはどの種も分布に制限がなかった。さらに, 112地点を対象として水質と水生植物の分布の対応関係を明らかにするため, 正準対応分析 (CCA) を試みた。分析結果から, 沈水植物では透視度やDOなどとの結びつきが, ヨシ, マコモなどの抽水植物では有機物による汚濁を示すCOD, BODや, SS, EC, Cl-との結びつきが認められた。オオアカウキクサなどではNOx-Nとの結びつきが認められた。複数の水質項目を総合的に分析することで, 水生植物の生育地の水質について, より明瞭な結論が得られることが示唆された。
  • 吉田 光司, 松尾 光弘, 寺尾 寛行, 小川 紹文
    2006 年 51 巻 3 号 p. 139-145
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    ツユクサ科の一年生雑草であるマルバツユクサについて, 地上部および地下部にそれぞれ生産される大小両種子の大きさについて調査した。また, 3月から9月の異なる時期に出芽した場合, および遮光下で生育した場合におけるマルバツユクサの生育および種子生産についても調査した。
    地上部および地下部に生産されたさく果は前後2心皮となって中央で裂けるが, 前方心皮中の2~4粒の種子とそれよりも大型となる後方心皮中の1粒の種子の大きさについて比較したところ, 地下部の大種子が長径, 短径および厚さのいずれも大きく, 次いで地上部の大種子, 地下部の小種子となり, 地上部の小種子のそれらは最も小さかった。
    3月から9月にかけて出芽したマルバツユクサの中で, 6月に出芽した個体において草丈および一次分枝数がいずれも最も大きく推移し, 9月に出芽した個体のそれらは, いずれも最も小さかった。出芽から開花までの日数は, 5月出芽の個体で21日と最も短く, 9月出芽の個体で42日と最も長かった。また, 種子の落下期間は5月出芽の個体で80日と最も長くなり, 9月出芽の個体では種子を生産しなかった。地上部および地下部における花序数および大小種子粒数は, 4月に出芽した個体の場合に共に最も多くなったが, それ以降に出芽した個体のそれらは減少した。
    82%, 50%および14%の相対照度下で生育したマルバツユクサの草丈は, 100%の相対照度下の場合よりも高く推移したが, 個体当たりの一次分枝数に有意差は見られなかった。地上部における花序数および大小種子粒数は, 82%の相対照度下で生育した個体において最も多くなったが, 相対照度の低下とともにそれらは減少した。一方, 地下部に生産された花序数および大小種子粒数は, 各相対照度間で有意差を示さなかった。
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