雑草研究
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53 巻, 2 号
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学会長挨拶
原著論文
  • 市原 実, 和田 明華, 山下 雅幸, 澤田 均, 木田 揚一, 浅井 元朗
    2007 年 53 巻 2 号 p. 41-47
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/09
    ジャーナル フリー
    種子の乾熱処理および火炎放射処理が帰化アサガオ類(ホシアサガオ(Ipomoea triloba),マメアサガオ(I. lacunosa),マルバアサガオ(I. purpurea),マルバアメリカアサガオ(I. hederacea var. integriuscula)およびマルバルコウ(I. coccinea))の発芽に及ぼす影響と,火炎放射後の湛水が種子の生存に及ぼす影響について調査した。80°Cで30分間乾熱処理した場合,5草種の発芽率(吸水,膨潤した種子の割合)は21.1∼97.8%であった。マメアサガオ(21.1%)とマルバアサガオ(47.8%)を除く3草種は,72.2∼97.8%と高い発芽率を示した。一方,火炎放射処理を3秒間行った場合,発芽率は94.4∼100.0%と5草種ともほぼ完全に発芽した。さらに火炎放射処理後の種子は湛水条件下に2ヶ月間埋土されることにより,5草種全てにおいて100%死滅することがわかった。本研究より帰化アサガオ類の防除において,種子散布後に圃場地表面を火炎放射処理し,その後湛水することが有効であることが示唆された。
  • 牛木 純, 川名 義明, 森田 弘彦
    2007 年 53 巻 2 号 p. 48-54
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/09
    ジャーナル フリー
    熱水による高温が水田雑草の種子の生存におよぼす影響について検討した結果,タイヌビエ(Echinochloa oryzicola),イヌホタルイ(Scirpus juncoides var. ohwianus),雑草イネ(Oryza sativa)の種子は,熱水中において,70°Cでは約30分,60°Cでは約180分で死滅した。土壌に熱水を散布する熱水土壌消毒法によって,土壌温度は12cmの深さでは最高72°Cまで上昇し,60°C以上の温度が約150分間継続した。熱水を散布した土壌(熱水処理区)にイネを移植し,1ヶ月後に水田雑草の発生状況を調査した結果,熱水処理区における発生個体数は,慣行の除草剤を処理した区(除草剤処理区)とほぼ同等であったが,イネの収穫時における残草量は新鮮重で除草剤処理区の2∼3倍と多かった。移植後1ヶ月目の熱水処理区におけるイネの生育は,除草剤処理区のイネの生育とほぼ同等であった。移植後4ヶ月目に土壌中に埋設したイヌホタルイの種子の生存率を調査した結果,除草剤処理区では生存率は約50%で埋設深度と一定の関係は見られなかったのに対し,熱水処理区では埋設深度9cmまで生存率は0∼5%,12cmでは約60%であった。
  • 神宮 字寛, 露崎 浩
    2007 年 53 巻 2 号 p. 55-62
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/09
    ジャーナル フリー
    ガムシ科の甲虫コガムシHydrophilus affinis Sharpは,卵のうを形成する際に生の雑草の葉を利用する。近年,コガムシの個体数の減少が各地で報告され,絶滅危惧種に指定した県が複数ある。筆者らは,コガムシの個体数の減少には,卵のうを形成するために必要な水田内および畦畔雑草の減少が関与していると考えた。そこで,本種の保全を図るためにコガムシの産卵と雑草の関係を調査した。
     コガムシは主に畦畔の雑草の葉身を卵のう形成に用いた。平均卵のう数は,水田内区の0.5個/m2に比べて畦畔隣接区で9.3個/m2と有意に多かった。畦畔隣接区で確認された草種の18科40種のうち,11科16種が卵のう形成に利用された。Jacobsの選択指数から,正の選択指数を示す種(ツユクサ,クサヨシなど),畦畔辺によって正あるいは負の選択指数を示す種(ヤナギタデ,イヌタデなど),および負の選択指数を示す種(スズメノテッポウなど)に分類できた。
     卵のう形成に用いられた葉身の76%は,畦畔水際から30cmの範囲内に存在し,葉身の切除位置は水面下1cm∼水面であった。葉身の大きさは,長さ23mm∼34mm,幅9∼20mmの範囲に分布した。卵のう内の平均卵数は69∼81卵数を示し,草種ごとに大きな差は認められなかった。以上の結果を基に,卵のう形成に用いる草種の選択性および利用様式について考察するとともに,保全生物学的な観点から畦畔雑草の管理を考えた。
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