雑草研究
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53 巻, 3 号
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原著論文
  • 稲垣 栄洋, 今泉 智通, 汪 光熙, 冨永 達
    2007 年 53 巻 3 号 p. 123-127
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/04
    ジャーナル フリー
    コナギのスルホニルウレア系除草剤(SU剤)抵抗性生物型がこれまで顕在化していない静岡県において,この抵抗性生物型の発生の有無を調査した。その結果,静岡県東部から西部地域にかけて抵抗性生物型が広く発生していることが明らかとなった。認められた抵抗性生物型は,すべてALS1あるいはALS3のPro197部位に変異が認められたが,そのうち2地域からのSU剤抵抗性生物型は,コナギではこれまで報告のないプロリンからトレオニンへのアミノ酸置換であった。抵抗性生物型が採集された伊豆地域では,1km以内の距離にある異なる水田で異なるアミノ酸置換が認められたことから,抵抗性生物型は,それぞれの地域で独立して起源したと考えられた。この結果から,コナギの残草が顕在化していない水田においても抵抗性生物型が発生していることが明らかとなった。
  • 牛木 純, 赤坂 舞子, 手塚 光明, 石井 俊雄
    2007 年 53 巻 3 号 p. 128-133
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/11/04
    ジャーナル フリー
    国内に発生する雑草イネの生態的特性を明らかにすることを目的として,2003年に長野県から採取した74集団,岡山県から採取した40集団の発芽様式と休眠性の特徴について,出穂後100日目の発芽試験によって調査した。その結果,雑草イネ集団の約25%は休眠性を持ち,最高で播種後約200日目に発芽する種子を持つ集団も存在した。発芽様式は集団によって多様であったが,播種後30日目の発芽率と発芽率が95%に達するのに要した日数との関係から,大別して3タイプの発芽様式があると考えられた。最も多かったのは,栽培品種と同様に播種後30日以内に95%以上の種子が発芽する集団(以下,GP1,全体の約75%)であった。これに対し,GP1よりも発芽は遅延するが,播種直後から日数に応じて徐々に発芽が進む集団(以下,GP2,全体の約18%),あるいは播種直後はほとんど発芽しないが,一定期間を過ぎると急速に発芽が進む集団(以下,GP3,全体の約7%)も存在した。上記の発芽様式を持つ雑草イネ集団の割合を発生地区ごとに比較すると,GP2あるいはGP3の集団の割合が高い地区は,長野県と岡山県の雑草イネが高い密度で発生している地区であることが共通していた。以上の結果から,国内に発生する雑草イネの休眠性は概して栽培品種と同程度だが,一部地域には休眠性の深い集団も存在し,その集団の休眠性は発生密度と関連する可能性が示唆された。
短報
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