雑草研究
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55 巻, 1 号
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原著論文
  • 浅井 元朗, 與語 靖洋
    2010 年 55 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/23
    ジャーナル フリー
    ムギ作の難防除雑草カラスムギの出芽時期と土壌処理型除草剤の効果との関係を解明するため,出芽時期の異なるカラスムギ3集団に対し,トリフルラリン粒剤およびクロロプロファム・ジフルフェニカン水和剤の表層処理または土壌混和処理の効果を野外ポット試験で評価した。供試した3集団のうち2集団の出芽盛期は11月中~下旬,1集団は2月上旬であった。11月中旬に処理した2剤ともに出芽時期の早いコホート(12月下旬以前の出芽)に対して抑制効果が高かった。トリフルラリン粒剤の表層処理は出芽時期の早いコホートの出穂個体数を無処理区の13~20%に抑制したが,出芽時期の遅いコホート(12月下旬以降の出芽)の抑制効果は劣った。クロロプロファム・ジフルフェニカン水和剤の表層処理は出芽時期の早いコホートの出穂個体数を8~40%に抑制したが,遅いコホートに対しては抑制効果を認めなかった。トリフルラリン粒剤の混和処理によって出芽の遅い集団の出穂個体数が表層処理よりも減少し,混和処理による効果持続期間の拡大が示された。クロロプロファム・ジフルフェニカン水和剤では混和処理による効果の増大は認められなかった。
  • 浅井 元朗, 中村 直紀, 與語 靖洋
    2010 年 55 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/23
    ジャーナル フリー
    ムギ作の難防除雑草カラスムギに対するトリフルラリン剤処理量およびコムギ播種時期の効果を検討するため,1998年,1999年の2ヶ年にわたって圃場試験を実施した。コムギ播種後のカラスムギの出芽は普通期播(11月上旬)後約1ヶ月間継続した。トリフルラリン乳剤の1.34kg a.i./ha(製剤投入量300ml/10a)処理はカラスムギの生残個体数を無除草区の約50%,2倍量2.68kg a.i./ha(製剤投入量600ml/10a)では約30%に抑制した。土壌水中のトリフルラリン濃度は処理後1ヶ月以内に初期濃度の10%以下に減少した。普通期播ではカラスムギ生残個体による種子生産量は初期密度の数倍~10倍と推定され,トリフルラリン乳剤を使用基準の2倍量処理しても慣行栽培体系ではカラスムギの密度が増加すると考えられた。一方,コムギ播種時期を1ヶ月遅延して12月上旬に播種すると,カラスムギ生残個体数は普通期播の4~12%に減少し,推定種子生産量は初期密度の0.9~3倍以下と推定され,大幅な密度増加は生じないと考えられた。
  • 市原 実, 山下 雅幸, 澤田 均, 石田 義樹, 稲垣 栄洋, 木田 揚一, 浅井 元朗
    2010 年 55 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/23
    ジャーナル フリー
    耕起および不耕起体系のコムギ-ダイズ連作圃場にて,一年生イネ科冬雑草ネズミムギ(Lolium multiflorum Lam.)の埋土種子動態と出芽動態を比較した。調査はネズミムギの多発する現地圃場3圃場にて行った。ダイズ播種直後(8月)の埋土種子は,不耕起区では91~97%が土壌表層0∼5cmに集中したのに対し,耕起区では44~51%が5~10cmに分布した。ダイズ播種直後の埋土種子数は耕起区(3,020~8,120m-2)と不耕起区(3,160~9,460m-2)でほぼ同数であったが,出芽動態は顕著に異なった。不耕起区では11月までに埋土種子数の36.8%が出芽したが,耕起区では9.6%であった。この期間の埋土種子は主に出芽により減少した。一方,冬期の減少要因は出芽と死滅(土中発芽後の死滅も含む)であり,耕起区の5~10cmの埋土種子は主に死滅により減少したと考えられた。翌年種子散布前(5月)までの埋土種子減少率は耕起体系にかかわらず90~94%と推定された。
総説
資料
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