耕起および不耕起体系のコムギ-ダイズ連作圃場にて,一年生イネ科冬雑草ネズミムギ(
Lolium multiflorum Lam.)の埋土種子動態と出芽動態を比較した。調査はネズミムギの多発する現地圃場3圃場にて行った。ダイズ播種直後(8月)の埋土種子は,不耕起区では91~97%が土壌表層0∼5cmに集中したのに対し,耕起区では44~51%が5~10cmに分布した。ダイズ播種直後の埋土種子数は耕起区(3,020~8,120m
-2)と不耕起区(3,160~9,460m
-2)でほぼ同数であったが,出芽動態は顕著に異なった。不耕起区では11月までに埋土種子数の36.8%が出芽したが,耕起区では9.6%であった。この期間の埋土種子は主に出芽により減少した。一方,冬期の減少要因は出芽と死滅(土中発芽後の死滅も含む)であり,耕起区の5~10cmの埋土種子は主に死滅により減少したと考えられた。翌年種子散布前(5月)までの埋土種子減少率は耕起体系にかかわらず90~94%と推定された。
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