多収水稲品種である「モミロマン」と「タカナリ」にみられるベンゾビシクロン感受性形質の遺伝要因を解明する目的で,これら2品種と「日本晴」の正逆交配により得られたF
2系統のベンゾビシクロン感受性を評価した。感受性評価にあたり,8水稲品種と市販の混合製剤を用いて条件検討を行ったところ,移植1日後の水稲実生にピラゾスルフロンエチル+フェントラザミド+ベンゾビシクロン1kg混合粒剤を標準量の2倍量を処理することにより,供試した水稲品種の大半でベンゾビシクロン感受性評価ができることを確認した。この条件で親系統およびF
2系統に除草剤を処理し,処理後29日目の生育程度を調査したところ,親系統である「日本晴」はベンゾビシクロン非感受性,「モミロマン」と「タカナリ」は感受性であった。さらに,F
2系統の結果をもとに行った適合度検定において,非感受性個体と感受性個体の分離が3 : 1になることが示された。このことから,「モミロマン」と「タカナリ」のベンゾビシクロン感受性には細胞質側の遺伝的関与は認められず,核に存在する劣性の主働遺伝子に支配されていることが示唆された。
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