雑草研究
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58 巻, 2 号
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原著論文
  • 楢原  愛, 酒井 憲司
    2012 年 58 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    耕うんピッチの異なるロータリ耕により,試験ほ場に砕土程度が異なる区画を設け,雑草被覆率を画像処理により定量的かつ経時的に求めた。試験期間中,雑草被覆率は粗砕土区が細砕土区を常に有意に下回り,雑草抑制効果が示された。また,雑草発生の水分応答から,粗砕土区においても水供給量が十分である場合,雑草被覆率が高い値を示すことが明らかになった。
  • 西村 愛子, 浅井 元朗
    2012 年 58 巻 2 号 p. 52-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    農耕地における雑草の発生状況を定量化するためには,植生調査が有用である。既存の手法では効率性に乏しいため,雑草管理の現場ではより短時間で簡易的に行える手法が望ましい。本研究では,従来からある植生調査法を改良した簡易法を提案し,既存の目視法と比較することにより,調査精度と効率性,データの再現性について検討した。作物収穫後の圃場に不耕起刈取り区および耕起放任区を設け,簡易法と目視法による植生調査を行った。測定された被度や出現種の順位は手法間において高い相関を示し,種の検出力は低かった一方で,既存の植生調査法と比較して上位優占種について概ね同程度の調査精度を得ることができた。データの再現性指標として用いられる級内相関係数(ICC)を計算したところ,簡易法による調査結果は,39名の観測者間で高い再現性(ICC = 0.8)を示した。また,簡易法では,上位出現種の構造について,およそ1/5の所要時間で従来の手法と同程度の調査精度を得ることが可能であった。以上の結果から,簡易法による雑草発生量の定量化は,精度や再現性が高く,農耕地における雑草発生量の定量化に有効かつ効率的であることが示された。
  • 垣内 仁, 川西 孝秀
    2012 年 58 巻 2 号 p. 60-68
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    水田雑草防除に使用可能な資材を探索し,その防除効果を評価するため,ウメ,ミカン,カキ,およびモモの剪定枝とスギ・ヒノキ樹皮について,コマツナの発芽試験による抽出液の評価とライシメーターおよび圃場での施用実験を行った。圃場実験ではそれぞれの資材をイネ移植直後もしくはノビエ2葉期に100∼500 gm-2施用し,移植後31∼47日に雑草調査を行った。また,イネの生育および収量についても調査した。コマツナの発芽試験では,ウメ剪定枝およびミカン剪定枝で発芽抑制が認められた。圃場実験では200 gm-2以上施用したウメ区およびミカン区で雑草の発生個体数が少なかった。特にウメ区で効果が安定的であった。しかし,発生した雑草の乾物重が雑草種によっては無除草区と同程度まで増加した。ミカン剪定枝にも発芽抑制効果が認められたが,雑草種によっては個体数が多く,乾物重の増加が大きい雑草種も認められた。以上から,ウメの剪定枝には雑草防除効果があるものと考えられた。ミカン剪定枝にも発芽抑制効果があるが,雑草防除効果はウメ剪定枝ほど安定的ではないと考えられた。また,これらの剪定枝散布によるイネ減収の可能性も示唆された。
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