水田雑草防除に使用可能な資材を探索し,その防除効果を評価するため,ウメ,ミカン,カキ,およびモモの剪定枝とスギ・ヒノキ樹皮について,コマツナの発芽試験による抽出液の評価とライシメーターおよび圃場での施用実験を行った。圃場実験ではそれぞれの資材をイネ移植直後もしくはノビエ2葉期に100∼500 gm
-2施用し,移植後31∼47日に雑草調査を行った。また,イネの生育および収量についても調査した。コマツナの発芽試験では,ウメ剪定枝およびミカン剪定枝で発芽抑制が認められた。圃場実験では200 gm
-2以上施用したウメ区およびミカン区で雑草の発生個体数が少なかった。特にウメ区で効果が安定的であった。しかし,発生した雑草の乾物重が雑草種によっては無除草区と同程度まで増加した。ミカン剪定枝にも発芽抑制効果が認められたが,雑草種によっては個体数が多く,乾物重の増加が大きい雑草種も認められた。以上から,ウメの剪定枝には雑草防除効果があるものと考えられた。ミカン剪定枝にも発芽抑制効果があるが,雑草防除効果はウメ剪定枝ほど安定的ではないと考えられた。また,これらの剪定枝散布によるイネ減収の可能性も示唆された。
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