雑草研究
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60 巻, 4 号
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原著論文
  • 池尻 明彦, 片山 正之, 杉田 麻衣子, 井上 浩一郎
    2015 年 60 巻 4 号 p. 137-143
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    山口県のダイズ圃場における残草実態を把握するため,2012年の8月下旬から9月下旬と2013年の9月上旬から9月下旬に現地調査を行った。2012年には47経営体,計320圃場,2013年には43経営体,計236圃場について調査を行い,残草した雑草の種類と残草量を記録した。県全体において残草が認められた圃場数を調査圃場数で除して算出した残草圃場率が高かった草種はイヌビエ,イヌタデ,タカサブロウ類,メヒシバおよびアメリカセンダングサで,2か年とも30%以上であった。ヒユ類の残草圃場率は13~26%で,地域に偏りなく県内全域で残草が認められ,雑草害が著しい圃場も確認された。一方,ホオズキ類・イヌホオズキ類の残草圃場率は5%以下で,残草地域に偏りがあった。帰化アサガオ類は約15%の圃場で残草し,分布はほぼ県全域で,全面が帰化アサガオ類に覆われている圃場も確認され,山口県でも帰化アサガオ類の侵入・蔓延が進んでいると推察された。また,草種ではマルバルコウとマメアサガオが多かった。圃場内に帰化アサガオ類が認められない場合でも,畦畔や農道では生育が確認されており,今後圃場内への蔓延が懸念された。
  • 島宗 知行, 鈴木 幸雄
    2015 年 60 巻 4 号 p. 144-150
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    水稲の有機栽培においてコナギの除草法の確立が課題となっている。コナギに対する水稲の光競合による抑制力は,群落内と群落外の光合成有効光量子束密度の比率で表した相対光量子束密度(以下,相対光量子量)で評価できる。そこで,水稲の栽植密度を変えて群落内の相対光量子量とコナギの残草量および蒴果生産数を比較した。その結果,栽植密度によってその程度は異なるものの,相対光量子量は移植後27日目頃から低下し始め,出穂期(移植後82日目)以降はほぼ一定に推移した。また,調査期間を通して栽植密度が高くなるほど,相対光量子量は低くなった。併せて,相対光量子量とコナギ1 m2あたりの乾物重との関係について検討したところ,有意な正の相関関係が認められた。コナギの蒴果生産数は栽植密度が高くなると減少した。以上のことから,水稲の有機栽培において栽植密度を高くすると水稲群落内の相対光量子量が低下し,それによってコナギの生育が抑制されることが明らかになった。
資料
学会賞受賞業績
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