水稲の有機栽培においてコナギの除草法の確立が課題となっている。コナギに対する水稲の光競合による抑制力は,群落内と群落外の光合成有効光量子束密度の比率で表した相対光量子束密度(以下,相対光量子量)で評価できる。そこで,水稲の栽植密度を変えて群落内の相対光量子量とコナギの残草量および蒴果生産数を比較した。その結果,栽植密度によってその程度は異なるものの,相対光量子量は移植後27日目頃から低下し始め,出穂期(移植後82日目)以降はほぼ一定に推移した。また,調査期間を通して栽植密度が高くなるほど,相対光量子量は低くなった。併せて,相対光量子量とコナギ1 m
2あたりの乾物重との関係について検討したところ,有意な正の相関関係が認められた。コナギの蒴果生産数は栽植密度が高くなると減少した。以上のことから,水稲の有機栽培において栽植密度を高くすると水稲群落内の相対光量子量が低下し,それによってコナギの生育が抑制されることが明らかになった。
抄録全体を表示