福祉と看護の研究誌
Online ISSN : 2759-5625
Print ISSN : 2433-6947
ISSN-L : 2433-6947
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 小木曽 加奈子, 田中 千絵
    2024 年 11 巻 p. 15-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,パッションについて,国内外の文献の知見を整理し,パッションに関わる意味付けや関連要因を明らかにすることを目的とした。文献検索にはPub Med,医学中央雑誌web版を用いた。最終的に12文献(10英文献・2和文献)を分析対象とした。対象となった文献の主要評価項目としてパッション尺度(以下,PS)が最も使用されており,9文献(75.0%)であった。これらのPSの種類は一つではなく短縮版や和文献では日本語版などもあった。やり抜く力や粘り強さという意味をもつグリッドを評価する尺度は5文献(41.7%)であり,グリッドに関する尺度も複数みられた。また,パッションを調和のとれた情熱と強迫的な情熱の2つの側面から意味付けを行っている文献(7文献・58.3%)が多かった。パッションは,その個人の年齢(3文献・25.0%),性別(3文献・25.0%)などや人種(1文献・8.3%)や文化的背景(1文献・8.3%)にも影響を受ける。また,グリッド(3文献・25.0%)及びWell-being(2文献・16.7%)や幸福感(2文献・16.7%)にも関連することが示された。わが国においての研究は少なく,パッションは文化的背景や人種も関連要因であることが示されたため,わが国においても幅広い年齢層を対象とした基礎的な調査も必要であろう。
  • 安藤 百合香, 田中 千絵, 兼松 由紀子, 百武 大介
    2024 年 11 巻 p. 21-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,独居高齢者の退院支援に対する看護について文献の知見を整理し,独居高齢者の退院支援に対する看護および関連要因を明らかにすることを目的とした。文献検索には医学中央雑誌web版を用い,最終的に11文献(和文献)を分析対象とした。主要評価項目としては,【独居生活を支える日常生活(IADL)】,【満足感のあるQOL】やエンド・オブ・ライフ期にある独居高齢者への退院支援看護師の役割など多岐であった。用いられている尺度としては,独居高齢患者の自宅退院に向けた退院支援看護実践尺度であった。関連要因としては,地域包括ケアシステムにおける看護職の在宅シフト支援コンピテンシー尺度が示された。統計手法を用いた研究が希薄であるため,看護職のアセスメント力など看護職の実践力にも影響を受けると考える。
  • 清水 蓮, 田中 千絵
    2024 年 11 巻 p. 26-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,介護ロボットの普及における課題を明らかにすることを目的とした。文献検索には医中誌Webを用いた。最終的に16文献を研究対象とした。なお,本研究では,医中誌Webにおいて原著論文の形態の文献が少数であり,総合的な判断を得るため,解説及び特集の形態の文献も研究対象とした。介護ロボットの普及を阻害している要因は,80コード,16サブカテゴリーとなり,【現場とニーズのミスマッチ】【定着するまでの障壁】【導入による負担の増加】の3カテゴリーとなった。わが国では介護ロボットに関する研究が少なく,萌芽状態である。よって,今回の文献検討で得られた知見を活用して,研究を進めていくことが必要であると考える。
  • 田中 千絵, 小木曽 加奈子, 樋田 小百合
    2024 年 11 巻 p. 33-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,「人生100年」といわれる現代において,看護学生がどのような看護を実践したいのかを明らかにし,今後の老年看護学教育への示唆を得ることである。A県の看護系大学の2校に所属する2年生と3年生にアンケート調査を行い,「人生100年時代において実践したい看護」について自由記述で回答を求め,カテゴリー化した。その結果,4つのカテゴリーが抽出され,カテゴリーは【オプティマル・エイジングに向き合う看護】,【患者の思いに寄り添う看護】,【高齢者のWell-beingにつなぐ看護】,【自己研鑽することによる質の高い看護】であった。看護学生は,「人生100年」といわれる現代において,死を意識しながらも,高齢者の人生を思い浮かべ,その人らしく生きられるような援助をしたいと考えていた。老年看護学においては,他分野との視点を統合させつつ,より看護の役割を発揮できるように教授していく必要があることが示唆された。
  • ―看護系大学の2年生と3年生に着目をして―
    小木曽 加奈子, 田中 千絵, 樋田 小百合
    2024 年 11 巻 p. 40-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,看護系大学の2年生と3年生に着目をしてコロナ禍における看護学生の賞賛獲得欲求・拒否回避欲求とソーシャル・サポートとの関連を明らかにするために,A県の2校を対象に質問紙調査を実施した。その結果,2年生81名(49.7%),3年生84名(52.8%)の有効回答が得られた。【賞賛獲得欲求】に関連する項目のモデルのVIFは3.765であり,【友人のサポート】の“6.私の友人たちは本当に私を助けてくれようとする(以下,友人サポート6)”と“9.私には喜びと悲しみを分かちあえる友人がいる”(以下,友人サポート9),が関連していた(自由度調整済みR2,以下R2 adj =.120)。【拒否回避欲求】に関連する項目のモデルのVIFは1.000であり,同居経験,が関連していた(R2 adj =.039)。賞賛獲得欲求・拒否回避欲求尺度に関連する項目のモデルのVIFは1.010~3.801であり,【友人のサポート】の友人サポート6,友人サポート9,同居経験,が関連していた(R2 adj =.131)。賞賛獲得欲求・拒否回避欲求には,友人からのサポート及び同居経験が重要であることが示唆された。
  • 肥田野 ちえこ, 田中 千絵, 兼松 由紀子, 百武 大介
    2024 年 11 巻 p. 48-54
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,看護師の認知症高齢者に対する感情労働について文献の知見を整理し,認知症高齢者に対する感情労働及びそれに関連する要因を明らかにすることを目的とした。文献検索は,医中誌webなどを用い,最終的に10文献(和文献)を分析対象とした。その結果,認知症高齢者に対する感情労働は,【感情のコントロール】,【ネガティブな感情】,【看護への向き合い方】,【ポジティブな感情】の4つのカテゴリー,16のサブカテゴリーからなった。統計学的な関連を示した文献は,7文献(70.0%)であった。個人特性としては,年齢7件(70.0%),看護師の経験年数8件(80.0%)であった。看護に対する向き合い方は,否定的な感情9件(90.0%),肯定的な感情5件(50.0%)であった。認知症高齢者をケアする看護師は,様々な感情労働があり,自身の感情をコントロールしながら対応している。時には否定的な感情をもつこともあるが,認知症高齢者を理解しようとすることで,看護師の感情にも変化がみられ,認知症高齢者のケアの質が向上されると示唆される。
feedback
Top