湿地研究
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最新号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • ―「しのばずラボ・わくわく体験プログラム」の実践から―
    河村 幸子, 飯沼 慶一
    2022 年 12 巻 p. 1-22
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    動物園や水族館(以下,動物園)では,地球規模での野生動物の保全教育は盛んに行われているが,地域の環境を対象とした教育実践の事例は少ない.ラムサール条約では,登録地に限らず,全ての湿地において保全に関する教育実践の重要性が述べられているが,湿地を持つ動物園における湿地教育プログラムの内容や実施方法の視点は研究されていない.本研究の目的は,日本の動物園における湿地教育の視点を明らかにすることである.そこで,この目的を達成するために,恩賜上野動物園で2年7 ヶ月に渡って実施した実践プログラムで収集したエピソード記述や,来園者と学生に対する質問紙調査をもとに分析を行った.その結果,動物園における湿地教育の視点は,①自然環境保全や野生動物保護の教育プログラム,②地域の動物や環境を対象,③主なCEPA 活動,④インタープリテーション,⑤参加,⑥教育と交流,の6 点が重要であることがわかった.
  • 髙木 康平, 丸山 望, 宇野女 草太, 日置 佳之
    2022 年 12 巻 p. 23-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    岡山県津黒高原の畑地造成跡地に成立したオオミズゴケが生育する湿地を調査地とし,人為攪乱とオオミズゴケが生育する湿地の成立要因についての解明を試みた.まず,聴き取りと空中写真判読により,本調査地が1970 年頃に畑地として造成されていたことを明らかにした.次に,階層別植生図の作成,地下水位,水質,日射量の測定及び地形解析を行った.決定樹分析によりオオミズゴケが成立する環境要因の閾値を求めたところ,地下水位と日射量に下限値が設けられた.オオミズゴケは,この閾値を基に求めた潜在的生育地内に多く分布し,それは造成地や谷底面の地下水位の高い場所であった.また,ミヤコイバラ等の低木下に分布しており,弱光条件が適していることが示唆された.本調査地では,透水性の悪い造成地に,周囲から湧水が流入して地下水位の高い場所ができ,そこに低木が侵入することで,オオミズゴケの生育に適した環境が形成されたと考えられる.
  • 野崎 健太郎, 松本 嘉孝
    2022 年 12 巻 p. 43-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    名古屋市千種区の近接する3 つの湧水と雨水を対象にして,2015 年から2017 年にかけて水質の季節変化を記載し,それらに及ぼす人間活動の影響を調べた.続いて,この調査結果を教材として用いて,小学校理科の教育実践を行った.湧水の起源となる雨水の水質は,pH 4.4~5.3,電気伝導度2 mS m-1,溶存無機態窒素濃度(DIN:dissolved inorganic nitrogen)470 μgN L-1 であった.湧水の水質は,人間活動の影響が無い金明水では, pH 5.1~5.5,電気伝導度2 mS m-1,DIN 13μgN L-1 であったが,都市部の本山ではpH 5.8~6.5,電気伝導度10 mS m-1,DIN 2000 μgN L-1,椙山小学校ではpH 6.3~9.5,電気伝導度24 mS m-1,DIN 5000 μgN L-1 となり,都市中心部に近い湧水ほど,水質は弱酸性から中性および弱アルカリ性へと変化し,電気伝導度と溶存無機態窒素濃度が高い値を示した.したがって,都市部の人間活動は,湧水の水質を大きく改変していることが明らかになった.教育実践は,小学校第5 学年理科の河川の授業で行った.授業の主題は,「身近にある川のはじまり-椙山小学校から川がはじまる」とし,ねらいは,「1 川は斜面から湧出する湧水からはじまる」,「2 湧水の水質には人間活動が大きな影響を及ぼす」の2 点を設定した.授業には,地理院地図の3D 機能を用いた地形解析と,本格的な手法による亜硝酸態窒素(NO2--N)濃度の比色分析を組み込んだ.この教育実践で,生徒の印象に残った内容は,1 位が亜硝酸態窒素濃度の分析,2 位が湧水は川のはじまり,であった.これらの生徒の評価は,授業のねらい1 と2 に関係することから,湧水は理科教材として有用である可能性が示唆された.教材の質を高める今後の研究課題としては,都市部の湧水で高い濃度を示す溶存無機態窒素の起源解明,教育効果の測定,教科教育への位置付け,災害教育における教材化の4 点を挙げた.
  • 櫻井 善文, 矢部 和夫, 片桐 浩司, 椎野 亜紀夫
    2022 年 12 巻 p. 73-87
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    美々川では,高い窒素負荷により過剰繁茂したクサヨシ(Phalaris arundinacea)の浮島が流路を閉塞させ沈水植物が衰退した.本研究では沈水植物復元のため,沈水植物が残存していた流路の幅に倣い,流路幅を調整しながらクサヨシを部分的に除去した.除去後は流速が速くなり,泥深度は減少し,底質が粗くなり,水深は4 年目以降に浅くなった.クサヨシの除去後,バイカモ(Ranunculus nipponicus)は翌年から毎年増加し続けたが,エゾミクリ(Sparganium emersum)は翌年増加し,その後はほぼ一定であった.一方,クサヨシとドクゼリは減少し,5 年目には消失した.Canonical Correspondence Analysis の結果,表層流速および底質の粗粒化はバイカモの被度と正の相関があったが,クサヨシとは負の相関があった.エゾミクリは水深と正の相関があった.したがって,これらの水生植物の変化は,部分的除去後の物理的環境の変化の結果であると考えられる.流路内におけるクサヨシの繁茂は7 年間抑制されたことからクサヨシの部分的除去は効果的な対策方法だと考えられる.
  • 浅野 涼太, 増井 勝弘, 大野 彦栄, 大関 佑弥, 三浦 弘毅
    2022 年 12 巻 p. 89-96
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    ウシガエルは1918 年に食用を目的とした養殖のため持ち込まれたものである.1932 年からは海外への輸出がはじまり,当時の日本では重要な水産資源であったが1969 年にアメリカ合衆国に輸出されたウシガエルから農薬汚染が発覚し,アメリカ合衆国への輸出が停止となった.現在では在来生物を脅かす厄介者として駆除の対象となっている.我々は実際に鳥屋野潟で行われていたウシガエル漁の再現を試みた.
  • 田尻 浩伸
    2022 年 12 巻 p. 97-104
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    越冬期のカモ類は夜行性で,日中は安全な湖沼で休息し,おもに夜間,水田等で採食する.目視による観察が難しいマガモAnas platyrhynchos の夜間の行動を明らかにするため,採食地である水田にタイムラプスカメラを設置して調べた.調査は石川県加賀市にあるラムサール条約湿地の片野鴨池周辺において,2019 年12 月15 日から2020 年1 月20 日までの37 日間行なった.撮影は夕方17 時から翌朝7 時までの14 時間のあいだ5 分ごとに行なった.記録されたカモ類はマガモ,カルガモ A.zonorhyncha,トモエガモ A. formosa の3 種で,マガモ以外はまれであった.マガモの行動は採食,背眠,羽繕い,警戒,闘争,飛翔,求愛,その他に分け,画像ごとにそれぞれの行動を取っていたマガモ個体数を数えた.これらのうち採食行動がもっとも多く記録された行動で20-70%を占め,ついで警戒,羽繕い,背眠と続いた.求愛行動は記録されなかった.本研究により,マガモが水田を採食地として夜を通して利用していること,背眠や羽繕いなど体調維持に必要な行動も行なっていることが明らかとなり,越冬期のマガモの生息環境としての水田環境の重要性およびカモ類の保全のために片野鴨池周辺で行なわれている冬期湛水による水田環境の管理が有効であることが示唆された.
  • 富田 啓介
    2022 年 12 巻 p. 105-112
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    植田邦彦が1989 年に提唱した「東海丘陵要素」は,東海地方,周伊勢湾地域の低湿地(湧水湿地)を中心に生育する固有・準固有あるいは隔離分布する植物の分類群を指す.この植物地理学的な概念・用語は,東海地方の丘陵地に広く分布する湧水湿地の植物相の特色をよく捉えたものとして,湧水湿地の生態解明や保全・利用に関わる幅広い学術分野に受容され,社会的な普及も進んだ.一方,こうした植物地理学の範疇を超えた使用の広がりの中で,この概念・用語が正しく理解されないリスクが増している.この用語・概念の本来の意味を正しく伝えるために,植物地理学を専門としない読者が想定される場合には,例えば東海丘陵要素の植物群などと補い,語の表す対象を明示するといった工夫が考えられる.
  • 鹿野 雄一, 菊川 裕幸, 奥田 ゆう, 林 昭次, 三橋 弘宗
    2022 年 12 巻 p. 113-116
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
  • 鹿野 雄一
    2022 年 12 巻 p. 117-119
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
  • 生態学フィールド調査法シリーズ11 植物プランクトン研究法
    野崎 健太郎
    2022 年 12 巻 p. 121-122
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
  • 笹川 孝一, 佐々木 美貴, 芝原 達也, 田開 寛太郎
    2022 年 12 巻 p. 123
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
  • 湿地学会事務局
    2022 年 12 巻 p. 124-125
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
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