IrDA方式による赤外線データ通信方式は,豊富なアプリケーションプロトコルの出現(IrTranP, IrWW, IrOBEX, IrBurst, IrFMなど)により, PDA,パソコン, 携帯電話,ポータブルプリンタなど携帯情報端末や情報周辺機器に多く採用され身近な近距離無線通信方式として市民権を得ている. 一方,赤外線通信トランスポートレイヤ以下(IrLAP, IrLMP, TinyTP)の基本プロトコルの改良改善については,基本プロトコルが1994年に制定されて以降小規模な改定が施されたほか根本的な改良はなされていない.筆者らは,IrDA技術委員会において, IrDA物理層(IrPHY)の通信特性に基づいて, IrDA基本プロトコルを最適化することにより,大型コンテンツデータ転送において,同一IrDA物理層を用いても実質のスループットを大幅に向上することが可能である通信方式について検討を重ね2005年8月にIrDAの新プロトコル方式としてIrSimple[11]が標準規格採用された.本稿では, IrSimpleのIrDAプロトコルの最適化の手法について解説する.
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