【目的】高齢心不全患者を対象に,在宅での運動習慣が1 年後の骨格筋量およびサルコペニアの変化に及ぼす影響を検討した.
【方法】対象者は,某A病院で心臓リハビリテーションを2021年9月から2022年12月まで継続した患者31名(平均年齢77±9歳,男48%)であった.対象者には,リハビリテーションの開始時および1年後に骨格筋量,握力,歩行速度を測定した.骨格筋量は四肢筋量を身長で補正した骨格筋指数で評価した.また,サルコペニアは,Asian Working Group for Sarcopenia 2019の基準を用いて判定した.運動習慣は,屋外での散歩を週3回以上かつ週に90分以上実施している場合と定義した.
【結果】対象者のうち,散歩を習慣的に行っていたのは17名(55%)であった.運動習慣のある群では,1年後に骨格筋指数が微増したのに対して,運動習慣のない群では減少し,群間で開始時からの変化量に有意な差が認められた(0.11±0.06kg/m2 vs. -0.21±0.07kg/m2,P=0.003).また,重回帰分析では,年齢,性別,開始時の値を調整しても,運動習慣の有無が骨格筋指数の変化量と有意に関連していた.一方,握力および歩行速度は群間に有意な差はみられず,サルコペニアの有病率についても,運動習慣の有無との間に明確な関連を認めなかった.
【結論】高齢心不全患者において,在宅での散歩の継続は1年後における骨格筋量の維持に寄与したものの,筋機能の維持・向上を含むサルコペニアの改善には,レジスタンストレーニングなどを組み合わせた包括的な介入が必要と考えられた.
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