ごみ中塩素 (Cl) 分析法の概説を行い, 方法間でのデータの差異の事例を示し, それぞれの方法で求められるデータの意味について考察した。分析方法は, 大きく分けて, 燃焼管法, ボンブ法およびるつぼ燃焼法の3通りがある。実試料を用いて, 複数の試験・研究機関で行った実験から, 燃焼管法での計測値が, ボンブ法およびるつぼ燃焼法より有意に低い値を与える可能性があることがわかった。燃焼管法が低値を与える理由として, アルカリ (土類) 金属 (Na, Mg, KおよびCa) の影響が考えられる。生成したアルカリ (土類) 金属塩化物は, 試料燃焼温度が600℃の時にはボート中の灰にClが残留し, 一方, 9試料燃焼温度が900℃の時にはそれ自体が揮発するものの, 燃焼管内壁に吸着し, いずれにしても吸収液まで到達しない。しかし, 燃焼管法で吸収液に移行するCl量は, 燃焼時のHC1生成量を表しており, 揮発 (燃焼) 性塩素の評価方法として有効である。
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