廃棄物学会誌
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9 巻, 3 号
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  • 津田 幸男
    1998 年 9 巻 3 号 p. 199-201
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 田辺 信介
    1998 年 9 巻 3 号 p. 202-210
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    海棲哺乳動物は, 体内に高濃度の有機塩素化合物を蓄積している。この原因にっいて検討したところ, 以下のようなことが明らかになった。
    1) 熱帯地域の途上国における有機塩素化合物の利用が, 地球規模の汚染を加速し, 海洋への負荷を増大させている。
    2) 有機塩素化合物のフラックスは大気から海水へと流れており, 海洋はこの種の物質のたまり場となっている。
    3) 海棲哺乳動物の体内には脂皮と呼ばれる厚い脂肪組織があり, ここが有機塩素化合物の貯蔵庫となっている。
    4) 海棲哺乳動物は, 授乳により大量の有害物質を次世代へ受け渡している。
    5) 一部の薬物代謝酵素系が欠落しているため, 海棲哺乳動物の有害物質分解能力はきわめて弱い。
    海棲哺乳動物では, 現在の汚染レベルで性ホルモンの攪乱や薬物代謝酵素の誘導が起こっており, 有機塩素化合物の毒性影響は今後さらに顕在化する怖れがある。
  • ―その管理体系の考え方―
    酒井 伸一, 高月 紘
    1998 年 9 巻 3 号 p. 211-225
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    残留性, 生物濃縮性, 揮散移動性, 毒性を有する有機物質が残留性有機汚染物質 (POPs) である。物理化学特性との関係では, オクタノール水分配係数, 土壌吸着平衡定数, 生物濃縮係数が相互に関連し, さらに分解性ファクターなどが関連して半減期が定まることとなる。さらに地球規模の移動性に関連する揮散性に対しては, 蒸気圧, オクタノール大気分配係数などが重要である。これらの物理化学特性を反映して, 地域規模, 地球規模での空間分布が決定され, さらにその分布に至る時間遅れが規定されることとなる。循環・廃棄との関係では, 意図的用途に生産され, その後使用が取り止められたPOPsである廃PCBや廃農薬などの適正処理が求められる。燃焼過程において, こうした意図的生成物としてのPOPsが副生成物として生じ得ることをコプラナーPCBの例で示した。そして, ダイオキシン類やコプラナーPCBなど非意図的副生成物の発生抑制, 環境サイクルコントロールが肝要である。
  • ―五大湖におけるPCBの研究―
    益永 茂樹
    1998 年 9 巻 3 号 p. 226-234
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    残留性有機汚染物質 (POPs) の環境動態が最も詳しく研究されているは, 北米五大湖におけるポリ塩化ビフェニール (PCB) 汚染である。そこで, ここではPOPsの環境動態の理解のため, 五大湖におけるPCBの研究で得られている知見を紹介する。PCBの生産と使用によって汚染された五大湖では魚や野鳥の汚染とその悪影響が問題となり, 汚染源対策がとられた。汚染レベルの改善は準んだが, 未だに採れた魚の食料としての利用を制限する勧告が存在する。最近の研究では, 減少したPCB流入量より遙かに大きい量のPCBが湖と大気の間で, あるいは, 堆積物と湖水との間でやり取りされていることが明らかになってきた。また, PCBの大気を介した長距離輸送の様子もわかってきた。
    そして, ダイオキシン様毒性を持つPCBの生物濃縮にも注目が集まっている。
  • 細見 正明
    1998 年 9 巻 3 号 p. 235-246
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    化学的分解処理技術が, 焼却処理の代替技術として注目されてきた経緯についてまとめた上で, POPsの代表物質で, 大量に保管されているものの環境への放出が懸念されるPCBと最近の話題の中心であるダイオキシン類の化学的分解処理技術について紹介する。化学的分解処理技術として, アルカリ触媒分解法, 化学抽出分解法, カリウムターシャリーブトオキサイド法, 金属ナトリウム法, 紫外線照射/微生物分解法などを取り上げた。これらの化学的分解処理技術は, 脱塩素化反応 (PCB中の塩素は, ナトリウムあるいはカリウム塩として除去) を基本としており, 0.5mgPCB/kg油以下まで処理可能である。反応時間は, 50ppm前後の低濃度のPCBでは10分オーダー, 10, 000ppmの高濃度では2~4時間オーダーである。またPCBと同様にダイオキシン類やPOPsの有機塩素系農薬の脱塩素化, 無害化が可能と考えられる。
  • 野馬 幸生
    1998 年 9 巻 3 号 p. 247-262
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    残留性有機汚染物質のうち緊急対応の対象となっているPCBs, 有機塩素系農薬, ダイオキシン類の廃油中の分析法について, PCBsにおけるクリーンアップ法と測定法を中心にまとめた。測定法としては, 低分離能のパックドカラム装着のGCとECD (LRGC/ECD法) , 高分離能のキャピラリーカラム装着のGCとECD (HRGC/ECD法) , 高分離能のキャピラリー・カラム装着のGCと低分解、能のMS (HRGC/LRMS法) , 高分離能のキャピラリーカラム装着のGCと高分解能のMS (HRGC/HRMS法) の4つの方法が用いられているが, いずれの方法においても廃油中の微量分析には, クリーンアップ操作が最も重要である。油の種類により除去すべきマトリックスは異なるため, 各クリーンアップ操作により除去しうる物質を整理して示した。4つの測定法には, 正確性を第一とする方法と, 迅速性, 簡便性を優先する方法とがあり, 目的や定量限界に応じて使い分ける必要がある。正確性の高い測定法と迅速性のある測定法との相互比較を行うことにより, 汎用的な機器測定時における精度を保証できるデータの蓄積と評価が今後の課題である。
  • 中杉 修身
    1998 年 9 巻 3 号 p. 263-272
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    PRTRは, 化学物質の排出量を報告させることによって事業者に自主管理を促進する手段として, 米国, カナダ, 英国, オランダなどで既に導入されているが, OECDの勧告を受けてわが国でもパイロット事業が行われている。この中では, 暴露と有害性の両面からから高いリスクを有するとして選定された178物質について, 大気, 水, 土壌への排出量と廃棄物としての移動量を報告することを事業者に求めている。また, 移動発生源や家庭などの面源については行政が排出量を把握している。
    環境に蓄積するPOPsによる環境リスクを低減するには, 排出濃度よりも排出量を削減することが重要であり, 排出量を管理させるPRTRはPOPsのリスク低減に有効に働くと期待されるが, POPsの多くは非意図的な生成に伴う排出が主であり, 予め発生源を特定し, 報告を求める事業者を特定しておくことが必要となる。
  • 1998 年 9 巻 3 号 p. 273-276
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
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