大学生・大学院生の新卒採用と正規社員の中途採用に注目し、それぞれの採用実績人数の決定要因について分析を行った。分析の特徴として、パネル調査の利点を活かし、個別企業の要因である Fixed Effect(固定効果)をコントロールし、個別企業の要因を除去したうえで、どのような要因が影響しているかを見ていくことである。2006~2014 年度の経年変化をグラフで見ても、リーマンショック前後の変化は新卒採用と中途採用で変化があるだけでなく、従業員規模や産業においても違いが見られた。また、売上と 1 期前の実績人数でコントロールした多変量解析においては、新卒採用について、調査年固有の効果、1 年前の採用人数で決定することが判明し、これまで言われているように、ほぼ前年の人数に従って採用人数を決めている。その年固有の経済ショックなどに応じて変化させる、それは企業によって対応が異なるのではなくほぼ多くの企業で同様の対応を取るといえることが分かった。それに対し、中途採用については、調査年固有の効果、1 年前の採用人数だけでなく売上も決定要因に含まれることが分かった。売上が企業の業務量の代理する変数であるとすると、企業の業務量が増えたときに中途採用を増やす傾向があることがデータ分析によって明らかになった。
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