遺伝子班の研究テーマとして昨年あげた, 二つのテーマについての進展状況を報告する.
(1) 大腸癌におけるK-
ras, p53遺伝子変異と癌の進展・予後の解析
(2) 家族性大腸癌 (HNPCC) 家系集積を行い, 多重癌の特性を解析する
研究テーマ (1) については, 班員小林らは大腸癌54例について, 肝転移群と非転移群でK-
ras, P53, DCCの遺伝子異常を新鮮大腸癌切除標本材料を用い検索し, DCCLOH検出例, K-
ras点突然変異非検出例は肝転移高危険群であることを認め, p53の下流の細胞周期調節遺伝子であるP21
CIMIWAF1 のmRNA発現低下を高率に認めた.
研究テーマ (2) のHNPCCの原因遺伝子がクローニングされ, RERが比較的容易に検索できるようになったので, テーマ (1) との整合性を考え, 一般大腸癌, 多発癌, HNPCCの多数症例を対象として, RERとLOHを同時に測定可能にするautosequencerによる解析方法を開発した.
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