薬局薬学
Online ISSN : 2434-3242
Print ISSN : 1884-3077
11 巻 , 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
総 説
  • 髙田 充隆
    2019 年 11 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    要 旨:近年,膨大な医療情報が医療ビッグデータとして蓄積されている.これらのデータは,実際の医療によって得られたデータという意味でリアルワールドデータと呼ばれている.リアルワールドデータには,まだ,誰も気が付いていない真実の因果関係を示す情報が眠っているといわれており,このリアルワールドデータを用いた疫学研究や薬剤疫学研究が盛んに行われている.現在,我々は,リアルワールドデータをデータマイニングの手法を駆使し,宝物を発掘するような感覚で,薬と未知の事象との関係を掘り起こそうとする研究を行っている.実験研究を中心に発展してきた薬学・医学研究ではあるが,今後は,医療の現場で蓄積されるリアルワールドデータを対象としたヒューマンヘルスデータサイエンスの重要性が増してくると考えられる.本総説では,リアルワールドデータを活用した研究について,その現状と今後の展望についてまとめる.

  • 岡原 一徳
    2019 年 11 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    要 旨:フレイルとは「加齢に伴い各種臓器の機能が低下し,身体の予備能力が低下した状態」を指す疾患概念である.一方,認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)のうち「食欲低下などの摂食障害と意欲低下(アパシー)」が顕在化している特徴的な患者群が存在し,これらの患者ではフレイルが併発している場合がある.フレイルは認知症の発症要因および悪化要因とされているため治療介入が必要であるが,薬剤療法はまだ確立されていない.人参養栄湯[TJ-108 ツムラ人参養栄湯エキス顆粒(医療用)]は,古来より健忘のある高齢者の虚弱(フレイル)に用いられてきた処方の一つで,術後の体力低下,疲労倦怠,食欲不振,貧血などに対する効能効果を有する.実際,最近になり人参養栄湯がフレイルなアルツハイマー病患者の食欲低下やアパシー,さらには認知機能を同時に改善することが報告された.本総説では当院における知見も含めて,フレイルな認知症患者に対する人参養栄湯の効果,またその作用メカニズムについて概説する.

原 著
  • 宮本 朋佳, 西 麻衣, 角田 隆紀, 石崎 由衣, 杤尾 香奈, 黒田 幸佑, 西井 有希, 小泉 祐一
    2019 年 11 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    要 旨:病院では薬剤部以外との連絡手段として電話を用いている.しかし,電話件数が多いため調剤が頻繁に中断され,調剤過誤にもつながる可能性が考えられた.これまで電話対応業務の効率化に関して有効性を証明した報告はなされておらず,効率化のための対策を行い有効性が証明できたので報告する.薬剤部への電話内容を調査し,医師,看護師,薬剤師に対してアンケート調査を行った.結果,薬剤部への電話件数は81 件/ 日であり,うち臨時調剤依頼が最も多いため,気送管搬送システムを利用した臨時調剤依頼方法を構築し,電話回線の適正使用を他部署に周知した.電話件数は68 件/ 日に減少し,臨時調剤依頼の電話対応時間は対策前40.6 秒/ 件(33 分/ 日)から28.6 秒/ 件(19 分/ 日)に短縮された.電話対応時間の減少のために,気送管を用いた情報伝達方法の構築と,電話回線の適正な使用が有効であることが証明でき,薬剤師が調剤に集中できることにつながり,医療安全にも貢献すると考えられた.

  • Daiki Iida, Norio Sakamoto, Kazuya Murata, Noriaki Nagai, Manabu Kitak ...
    2019 年 11 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/07/08
    ジャーナル フリー

    Summary: The New Orange Plan is required to contribute to the early detection of dementia by pharmacy workers who play the role of community health care. Therefore, awareness of dementia indispensable for early detection of dementia, and training of communication skills are necessary. The purpose of this research was to examine how the understanding and consciousness of dementia changed by the attribute of the trainee by holding the workshop. Comparisons in the questionnaire responses before and after the workshop were analyzed by hierarchical clustering analysis. As a result of this research, most of the trainees who had low knowledge and consciousness before the workshop were the pharmacists worked for shorter periods (81.8%). Contrary to our expectations, it was shown that the pharmacists worked for shorter periods are less aware of dementia than the pharmacy clerks. In health care workers, it was suggested that awareness of dementia correlated with periods of engagement, not a job type. Also, the group with low change after the workshop was about half of the pharmacy clerks and the pharmacists worked for longer periods, and about 3/4 of the pharmacists worked for shorter periods. Analysis of the questionnaire collected before and after this workshop recommends the necessity of conducting highly useful training for the pharmacists worked for shorter periods which were less affected by this workshop.

ノート
  • 香月 正明, 窪田 敏夫, 八尋 健, 入倉 充
    2019 年 11 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/08/06
    ジャーナル フリー

    要 旨:保険薬局では様々な理由により,在庫しているがほとんど動きがない,いわゆる不動在庫医薬品が数多く存在する.この不動在庫医薬品は使用期限が過ぎると廃棄医薬品となり,薬局経営に大きな影響を与えている.そこで本研究は,不動在庫医薬品の現状把握および削減のため方法模索を目的としアンケート調査を実施した.その結果,各薬局の不動在庫医薬品の金額は,「不明:29 店舗(28.2%)」と回答した薬局数が最も多い結果となった.このことより,不動在庫医薬品を削減するためには,自店舗の不動在庫医薬品の状況を把握することが重要であると考えられる.また,不動在庫医薬品になった原因については,「その薬を処方されていた患者さんが来局されなくなった」「処方が出なくなった」などの原因が多く,これらの原因について事前に薬局で策を講じることは容易ではない.そのため,不動在庫医薬品が発生した後の薬局での対策が重要であると考えられる.

  • 茂木 肇, 仲村 翔太郎, 荻原 政彦, 齋藤 耕一, 木村 光利
    2019 年 11 巻 2 号 p. 142-150
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    要 旨:本研究では,高血圧治療薬であるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(dCCB)による逆流性食道炎(RE)の発症リスクに関する明確なエビデンスを構築するため,dCCB のタイプ別(L 型,N 型,T 型),用量別および服用期間別におけるRE の発症率の違いをアンギオテンシンII 受容体遮断薬(ARB)と比較することにより評価した.その結果,アムロジピンやニフェジピンのようなL 型dCCB は,低用量からRE 発症率が有意に高く,投与期間に依存してRE 発症率の有意な上昇が認められた.これに対し,交感神経終末膜のN 型カルシウムチャネルの遮断作用を有するシルニジピン,ベニジピンや反射性交感神経増強作用が弱いアゼルニジピンは,用量別,投与期間別におけるRE 発症率の有意な上昇を示さなかった.これらの薬物は,RE の発症に深く関係する下部食道括約筋の弛緩を抑制するため,L 型に特異性が高いアムロジピンやニフェジピンよりもRE 発症率が低かったものと考えられる.

  • 荒井 國三, 佐藤 里美, 松沼 恭一, 橋本 佳奈子, 柴田 実香
    2019 年 11 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要 旨:ワルファリンは経口抗凝固療法剤の代表的なもので,特に高齢化とともに増加している心房細動,深部静脈血栓症などの血栓・塞栓症患者管理として重要な薬剤である.ワルファリンに基づく抗凝固療法を確実にするためにプロトロンビン時間国際標準化比(PT-INR)の管理は重要である.本研究において医師と薬剤師の作成・合意によるプロトコールに基づきワルファリン服用中の患者の治療支援を試みた.患者は薬局においてPT-INR 簡易・迅速測定装置(コアグチェック®)を用いて自分自身のPT-INR を測定し,そのデータに基づいて薬剤師は患者のワルファリン用量に関する情報を医師に報告した.本取り組みで介入した2 症例において,観察期間中1 例では出血傾向が見られたが,1 例では目的INR 治療域に維持され出血や塞栓などの有害事象は起きなかった.

症例・事例報告
  • 緒方 孝行, 畠山 規明, 鶴田 悦子, 森 博美, 松野 英子
    2019 年 11 巻 2 号 p. 158-164
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/06/21
    ジャーナル フリー

    要 旨:リバスチグミンパッチ(以下,リバスチグミン)は認知症治療の経皮吸収型製剤として,その簡便性から広く臨床の場で使用されている.しかし高頻度の皮膚障害が発現することが知られており,その対処法も明確なものは確立されていない.今回,リバスチグミンの皮膚障害に対してステロイド・保湿剤併用療法の有効性を検討した.90 歳代女性,要介護2 で現疾患はアルツハイマー型認知症.イクセロン® パッチ貼付部位に痒みの訴えがあり,その対処法を検討した.リンデロン® V クリーム塗布では変化なし,リンデロン® VG 軟膏塗布ではVAS(Visual analog scale)はやや改善,ひっかき行動は継続した.そこでステロイドローション塗布後,保湿剤を上塗りするというステロイド・保湿剤併用療法を提案し実施したところ,VAS で改善が見られ,かつ皮膚状態に対しても有効性が確認された.この療法はステロイド単剤と比べ,リバスチグミン誘発の皮膚障害に対して有効である可能性が示唆された.

  • 村瀬 惇, 北小路 学, 大鳥 徹, 松野 純男
    2019 年 11 巻 2 号 p. 165-172
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
    [早期公開] 公開日: 2019/08/23
    ジャーナル フリー

    要 旨:医療における薬剤師の役割を検討するために,直近3 改定分の「診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」をテキストマイニングにより解析した.共起ネットワーク分析では,「入院」「患者」「見直し」などの語句が強く結びついた群が形成され,「患者」が「薬局」「薬剤」「管理」や,「在宅」「訪問」「看護」などの語群とも結びつくことが判明した.さらに,対応分析では,2014 年度に「病院」「在宅」といった医療を受ける場所に関する語句が配置されたのに対して,2016 年度では「医師」「薬剤」といった治療に関する語句が,2018 年度では「入院」「療養」「外来」といった医療機能に関する語句や,「地域」「訪問」「支援」といった地域における患者ケアに関する語句が配置された.薬剤師の役割を地域医療にシフトさせる行政の方針が明確になった.

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